死に戻りの処方箋
作者: 沢野 りお
あらすじ
目の前で最愛の兄が処刑された。冤罪で……。精神を蝕む薬品の製造と売買、王太子妃への横恋慕からの殺害。何もかもが信じられず、ただ亡き母との思い出が積もる実家の温室を守るため、馬車を走らす。そして、兄を失った私が見たものは、炎に包まれる実家と父、兄の研究に出資していたはずの第二王子の護衛兵たち。すべては……仕組まれていた?振るえる足を叱咤して、家族と守った温室の薬草を悪用されないよう魔道具で破壊し、一人で山へと逃亡する。雨が酷く振る中、私を追い駆けてくるのは、愛したはずの旦那様。第二王子の親友、公爵子息。必死に逃げる私だったが、ぬかるんだ坂道に足が滑り、崖の上から放り出された私の体は細い枝に引っ掛かる。そこへ、追いついた貴方が私へと手を伸ばすのが見えた。「嘘つき」貴方たちの手で殺されるなら、私は死を選ぶ。崖下へと堕ちていく体、溢れる涙が天へと昇っていく。ああ……。お兄様は、私を、妹を人質に取られ逆らえなかったのだわ。なんて、愚かな私。お母様、どうかあの日に帰してください。貧しくても家族で笑い合っていたあの日々に。
目次
プロローグ
出会う一年前
出会う
動く
暴く
終焉と始まり
- 1 -