軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

09元母と父に会いに行く。再会はきっと涙涙の儚い夢かも。だって絶望を届けに行くのだから

ノンファンはせっかく生活も落ち着いたので少し残っている雑務を考えてみたらふと、思い出したのでうーんと唸る。隣にいた男が顔を覗き込み、口元を上機嫌にたわませる。

「どうした?今日は新作アイスクリームを食べに行くんじゃないのか?」

「その前に一つ遊びに行こうかなって」

「アイスクリームは遊びに行くに入らないのか?」

「娯楽は娯楽だけど種類が違う」

「例えば」

まだわからないらしく眉を下げていく。ヒントをあげようと手をかかげて指を一つ立てる。ピーンと人差し指。

周りにはひらひらと花が待っている。今あるのはベンチと花が爛々と咲いており、朝露がぽたりと落ちる音も静かな空間にあった。ここは精霊王の住まう森。

建物なんてその気になればポーンとできてしまうが、今のところ寝たり寝なかったりと様々だ。人間として生きていたが、今はこうして精霊王としても生きているから楽だ。

魔法がすぐ使えるというのは生活を豊かにする。特に慕ってくれている妖精たちや仲が良く、今も近くにいてくれている元側近で今は幼馴染に戻ってくれた、頼りになる男もいる。

「私の人間としての生みの親たちがまだ終わってないかなって」

「ああ。一番の全ての元凶か」

「そうそう。今はどこにいるのかと思っていたら、まだ祖国に拘束されてるみたい」

今パッと調べたら祖国の王家の所有する牢屋にいて、今は萎びたきゅうりみたいになっている。妖精眼でなんでも見られるので、こうやって様子見も容易い。

「獣王のところに移送されなかったんだな」

「連れて行くって言ってたのに。私たちのことで二人のことなんて、とっくに忘れちゃってるってこと」

「一番罰するべきだったと思うんだがな」

妹なんかよりもずっと。自分よりずっと。ブラーシュがなら挨拶に行こうかと腕を出す。一緒に行ってくれるらしい。好意に甘えるとしよう。

「なにを罰にしようかな……三倍の痛みはあるから生きるのは大変そうだけど」

息をするだけで肌がピリピリするし、衛生的ではない場所にいるのだから生活しにくそうだし。

「すでに塀の中だからな」

罰の中の罰を与えられている。世間の非難だって免れない。妖精の愛し子の姉。それより上の妹を冷遇し、祖国で獣の王の番に断罪された大罪者。

ノンファンからすると法律に当て嵌めても、ちょっとだけしか罪に本来ならならないが公衆の中で堂々とやったことにより、国際的にキツく罰されないと世論が納得しない。

実は精霊王の妹こと、己を大怪我させた獣王も国際的に裁判にかけられている。元母と元父たちなんてどうなるのか、さっぱりわからない。

ちょっくら見に行こうかと一人連れ立って、母たちの住処になっている牢屋へ直接コースで向かう。

祖国の王に見つかったらごめんなさい、すみませんでした、申し訳ないとか今更ながらの謝罪をウザったくされるだろうから、絶対にお断りである。

「着いた」

パッと移動すると、あっという間なのですぐに牢屋の錆臭さが鼻をつく。臭いを遮断させておく。匂いに気を取られて、なにもできなさそうなくらい、変な匂いがする。

「ん。王城の中でも低ランク……一番下だな」

ブラーシュは機嫌良さそうにしている。一緒に行けることが嬉しいらしい。幼馴染は手を組んだまま牢屋へ近づく。

今から面白いけど面白くない応酬になるだろうから、できたら離れていた方がいいんだろうけどね。ちょっと言ってみたら、離れないと言われた。

長年離れていたから、もう離れたくないという意味なのだ。長年とは桁が違う。人間みたいに何十年なんてものじゃないほど、気が遠くなる時間が経ってしまった。

それに関しては申し訳ない。うっかり消滅した過去に対してはめちゃくちゃ反省している。

ひょっこりと出てくる過去のあれこれに頭を回していると、彼はフフフと笑って楽しげに顔を見つめてきた。

「あ、あそこだ。ある意味特別待遇」

「一人一つの部屋で、貸切は確かに特別待遇だな」

二人でふむふむと納得した。今は声が聞こえないようにしているから、誰かに聞かれることもないし、気配を知られることもない。誰かがここにきても、誰もこちらに絶対気づかないということだ。

「萎びてる」

「プライドなんてもう無さそうだな」

「私みたら魚みたいに跳ねるんじゃない?」

「まさか助けてもらえると思っていたりしないか」

「ああいう人たちってそういうところあるし、あるあるだから」

ああいう親はそういうことを言う。本でも何でもかんでも。だって子供を永遠に所有物と思っているから。

びっくりするかもしれないけど、本気で逆らうことイコールあり得ないことなのだ。何か理由があっても、意見を言うことは自分たちに反乱を起こすこと。

言うことを聞かないことは自分を軽んじていること。言うことを聞かないなんて産んでやったのに感謝もないのか、なんて平気で思う人種。

本で見たことある、予習もしてきた。異常な子供っぽい、大人になり切れない親の心を。姉が番を伴って自分たちを断罪したことすら、なんと思っているやら。

媚を売る可能性の方が高いかな。ノンファンにもちょろちょろ媚びを売り出すに違いない。精霊王の髪全部を賭けてもいい。やっぱり自分のは無しで、獣王で姉の番のガオンの毛も全剃り賭けてもいい。

「こんにちは。面会に来た」

まずは軽い挨拶から。挨拶なんて生まれた家でやった覚えなんてない。ご飯なんて食べられなかったから動けなかったし。フラフラとなって漸くありつけたって有り様だった。

「だ、誰だ」

「子供?」

男の女、父と母は揃って顔を上げると弾かれたように声を出す。お互い隣同士らしい。普通は男女分けるのに夫婦だから免除されたのか、お互いを見せしめに並ばせたのかも。

どっちにしろファインプレーである。これは実質褒めてはいない。当たり前だから。王たちだってまだこちらに謝ってもないんだから、父母たちと同じ穴にいる状態だ。

どっちも同罪。