軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

燃やしても問題ないもの?

ヴェロニカお母さんの側にいるケルちゃんが、撫でられているユニコーン君を羨ましそうに見ている。

「ヴェロニカお母さん、何を焼いているの?」

訊ねると、ニコニコ顔のお母さんはわたしに視線を向けながら言う。

「この子が付けていた物、酷く汚れていたじゃない。

物作りのおじいさん達が作ってくれるって言ってくれたから、姫ちゃんに燃やして貰ったの。

何か不味かったかしら?」

「不味くは無いけど……。

あんなに立派な物なのに、勿体なくない?」

わたしは視線を燃え上がっている物に向ける。

よほど高温で燃やしたのか、あれだけ頑丈そうだった 鞍(くら) や 鐙(あぶみ) も黒ずんだ炭のようになっている。

あ、首輪らしき残骸もある。

汚れていたからって、まだ使えたものも有ったんじゃないかなぁ。

その側、魔女っぽい三角帽子を被ったお姉さん系妖精ちゃん達が飛んでいる。

あまり見かけない子だけど、彼女たちが燃やしたのかな?

そんなことを考えていると、後ろから近づいてくる気配を感じる。

視線を向けると、イメルダちゃんが近づいてくる所だった。

その目はユニコーンに釘付けだ。

「これは……。

なかなか良いユニコーンに見えるけど、こんな子が捨てられたの?」

と言いつつ、視線を太もも付近に向ける。

そして、苦い顔をする。

「この程度、すぐ治るでしょうに」

と、毛がハゲてしまった部分を見て言った。

あ、いや、それは多分、 軍隊雀(ぐんたいすずめ) 君にやられた箇所だ。

そのことを指摘しようと思っていると、その前に、ヴェロニカお母さんが言う。

「下らないことで、簡単にこういったものを手放す貴族なんていくらでもいるわよ。

中には、馬に鳥の糞が落ちただけで、斬り殺したって話も有るわ」

「うわぁ~」

わたしは思わず声を漏らしていた。

いくら何でも、最低過ぎる!

イメルダちゃんも、嫌そうに顔を顰める。

「そう考えると、この子にとって逃げて来れて良かったってことだね」

などと言いつつ、わたしはユニコーン君の側による。

ユニコーン君は〝本当に!〟という様に「ひぃ~ん」と鳴きながら、頬ずりをしてくる。

よしよし、綺麗で可愛い子だ。

撫でて上げつつ、ふと、視線をユニコーン君の 角(つの) に向ける。

ねじれているけど、なかなか、立派な 角(つの) だ。

そういえば、前世Web小説にはユニコーンの角は万能薬みたいに書いてあるものがあったなぁ。

そのことを訊ねると、ヴェロニカお母さんは面白そうに笑った。

「流石にそのような効能は無いわよ。

怪我の回復の助けになるとか、解毒効果はあるらしいけど。

なので、戦場によく連れて行くの」

側を飛んでいた妖精姫ちゃんも笑いながらコクコクと頷いている。

「へぇ~」

怪我は今のところ、わたしの治癒魔法があるから不要だけど、解毒は良いなぁ。

わたしはともかく、ヴェロニカお母さんや妹ちゃん達には非常にありがたい。

あと……。

「わたしの手が空かない時に、皆が移動しなくてはならない場合に良いかも」

「ああ、そうね」とイメルダちゃんが頷く。

ケルちゃんもいるから、よほどのことが無い限り問題ないとは思うけど、一応だ。

この子、わたしに助けられたとはいえ、サーベルタイガー君から逃げることが出来るぐらいには足が速い。

なかなか、頼もしい子だ。

「ヴェロニカお母さん、この子に乗れる?」

訊ねると、ヴェロニカお母さんはニッコリ微笑みながら「乗れるわよ」と言う。

イメルダちゃんに視線を向けると、苦い顔をしながら「わたくしはまだ教わってないわ」と首を横に振った。

いや、イメルダちゃんだってまだまだ幼いから、その辺りは仕方がないよ。

ヴェロニカお母さんも目を優しくさせながら「わたくしが教えるから大丈夫よ」と言った。

「はい、お願いします」とイメルダちゃんが頭を下げるのに頷き返すヴェロニカお母さんは、わたしに視線を向ける。

「サリーちゃんにも教えておいた方が良いかしら?」

「え?

わたしはいいよ。

走った方が早いし」

頼もしいは頼もしいけど、サーベルタイガー君につきまとわれる程度では、わたしには敵わない。

多分、白狼君達よりも遅いんじゃ無いかな?

ケルちゃんよりは速いかもしれないけど。

イメルダちゃんが「いくら何でも、ユニコーンよりは速くないでしょう?」と呆れた顔で言ってくるけど、上げた右足をペチペチ叩きながら「〝これ〟はわたしの数少ない自慢できる箇所なの!」とどや顔をして見せた。

イメルダちゃんには「はぁ」と呆れた顔をされたけど、実際その通りなのだから仕方がない!

ヴェロニカお母さんは面白そうに笑いながら「でも、習って損なことはないと思うわよ」と言う。

そうかなぁ~

「まあ、イメルダちゃんが出来るようになった後、考えてみるよ」

と答えておいた。

朝、起きた。

そっと、ベッドから抜け出し、シャーロットちゃんの様子を窺う。

うむ、辛そうな様子は無い。

スヤスヤと可愛らしい寝顔をしている。

昨日の午後辺りから、すっかり調子も良くなったみたいなので、大丈夫だろうとは思っていたけど、それでも心配だったからね。

掛け布団を妹ちゃんの肩まで掛けて上げると、服を着替えて部屋から出る。

中央の部屋(食堂) に入ると、いつものようにケルちゃんが待っていた。

なんだか、元気が無い。

まあ、分かる。

外から雨音が聞こえてきているのだ。

「今日は家で大人しくしてようね」

と三首プラス尻尾ちゃんを撫でて上げるも、シュンと項垂れてしまった。

こればかりは仕方がない。

すると、何かが近づいてくる気配を感じる。

視線を向けると、白いワンピース姿の姉姫ちゃんだった。

ニコニコしながら身振り手振りをしてくる。

え?

守護神として、凄い技を考えている?

え?

右手に封印し力を解放し、向かってくるもの、全てを消し去る?

中二病的な必殺技かな?

嬉しそうに身振り手振りで〝完成したら見せて上げる!〟とか言っているけど、どうなんだろう?

本気で凄い技なのか、ただ、痛々しく気まずい空気を放つだけのものなのか……。

この妖精ちゃんの場合、どちらもあり得そうだから困る。

「完成した時は教えてね。

あと、使う場所は妖精姫ちゃんにきちんと相談してね」

とだけ言っておく。

姉姫ちゃんは楽しそうに大きく頷くと、わたしの小さい家の方に飛んでいった。

見たいような、見たら後悔しそうな、なんとも言えない気持ちになった。

身支度を整え、スライムのルルリンと妖精メイドのサクラちゃんを肩に乗せ、壺と籠を持つ。

ゴロゴロルームから顔を出したヴェロニカお母さんに「シャーロットの様子はどうかしら?」と少し心配そうに訊ねられたけど「もう、大丈夫だと思う」と答える。

「そう、良かったわ」と嬉しそうにするヴェロニカお母さんに断り、飼育小屋に行く。