軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

悪役妖精と一緒に狩りに行こう!3

ママの洞窟近辺にも時々現れる、厳つすぎる水牛さんだ。

え?

彼らって、こんな所に住んでいるの?

フェンリル一家にとっては取るに足りない相手だけど、少なくとも ワイバーン(偽竜君) よりも強いと思うけどなぁ。

もっとも、草食系魔獣なので、下手な突っつき方をしなければ、向かってくることはない。

向かってくることはないんだけど……。

なんか、カンカンに怒っているようで、凄まじい勢いで突っ込んでくる。

前世で言えば、土砂満タンのダンプカーが猛スピードで突撃してくる圧がある。

そんな岩バッファローさんの前を走る 白狼君(リーダー) 達は……。

涙目で走っている……。

時折、〝助けてぇ~主様ぁ~!〟と言うように「キャン! キャン!」と鳴いている。

何やってるの、あの子達は……。

仕方がないなぁ~

わたしがドライフルーツの入った小袋を腰に付け直していると、それを制するように小さい影が前に出でた。

近衛兵士妖精の青空君達だった。

何やら、青空君を初めとする男子系近衛兵士妖精君達が、〝倒してしまっても良いんだろう!〟とでも言いそうな笑顔でこちらを見てくる。

えぇ~

しかも、四人の近衛兵士妖精君達は抜剣すると、〝うぉぉぉ!〟とかいう雄叫びが似合いそうな勇ましい表情で、岩バッファローさんに突っ込んでいく。

えぇ~

いや、あの、大丈夫かなぁ?

いくら近衛兵士妖精君でも、真っ正面から向かっていって、勝てる相手じゃないと思うけどなぁ~

チラリと悪役妖精に視線を向けると、青羽根の妖精は苦笑している。

大丈夫かなぁ~

ただ、流石のお調子者っぽい男子系近衛兵士妖精君達でも、無策で突っ込むことはしないようで、岩バッファローさんの手前で上昇すると、剣を振るった。

幾本もの魔法の刃が岩バッファローさんに向かって放たれる。

いや、あの、アウトレンジから一方的に――それ自体は良いんだけど……。

岩バッファローさんのゴツゴツした皮膚を裂くことまでは出来ないと思うけどなぁ~。

実際、直撃した攻撃は、岩バッファローさんの肌に薄らと線を残すだけだった。

それでも、頭にきたのか岩バッファローさんのターゲットが、白狼君達から近衛兵士妖精君達に移る。

「ウモォォォ!」

と怒声を上げた岩バッファローさんに一瞬、ビクっと震えた近衛兵士妖精君だったけど、自分たちが上空にいる優位を思い出したのか、四人が集まり〝ここまで、攻撃できないだろう! ばぁ~か! ばぁ~か!〟というように身振り手振りをしている。

「いや、あの――」

わたしが注意をする前に、怒り頂点といった様子の岩バッファローさんが膝を曲げると――飛び上がった!

そして、十五メートルほどの高さにいた妖精君達を首を振って吹き飛ばした!

「近衛兵士妖精くぅぅぅん!」

近衛兵士妖精君達は〝うわぁ~!〟という様に散り散りになって飛んでいく。

そう、岩バッファローさんは飛ぶことは出来ないが、あれぐらい飛び上がる事ぐらいは出来るのだ。

時々、青空君達みたいに調子に乗っていた ワイバーン(偽竜君) が同じようにぶちかましを受けて落ちている様子は何度も見ている。

流石はママの洞窟近辺で生き残るだけのことはある。

いや、そんなことは良いとして!

「皆、大丈夫!?」

と言いつつ、見渡す。

……地面に落ちたのか、見当たらない。

妖精君達(彼ら) 、小さいから草に隠れると見つけにくいなぁ。

なんて思っていると、同じく、彼らを見失っただろう岩バッファローさんと目が合う。

いや、というより、わたしの後ろにいる白狼君達に気づいたのかな?

熱(いき) り立つ彼は、右前足で地面を蹴りながら、突撃の準備をし始めた。

そして、首を低くして――突っ込んでくる。

ふむ……。

前に出ようとしたケルちゃんを制し、わたしはそのまま待つ。

そんな、わたしを吹き飛ばそうと突っ込んできた岩バッファローさんは――鈍い音を響かせながら直前で止まった。

まあ、右足で出した白いモクモクで止めたんだけどね。

もちろん、何トンもありそうな岩バッファローさんのぶちかましを受けるのだ。

魔力を圧縮した重量アップもしている。

わたしの足だけでは土の地面だと埋まりそうなので、左足から出したモクモクを広げてその辺りの対策はしている。

わたしの足でのモクモク操作も、なかなか様になってきていると思う。

『ごぉ!? ごおぅ!?』

と無防備に困惑している岩バッファローさんに、わたしは右拳を振り上げ――その瞬間、目標たる水牛さんの太い首が落ちた。

「ちょっとぉ!

美味しいところだけ、かっ攫わないでよ!」

とわたしが文句言う相手は当然、悪役妖精で、 当(とう) の妖精は呆れたように〝この程度の相手に美味しいとかない!〟と手を振った。

近衛兵士妖精君達は皆、無事だった。

ただ、酷くは無いものの怪我をしているようだったので、治療して上げようとする。

「確か、植物育成魔法の要領で回復させるんだったよね」

と悪役妖精に確認するも、冷めた目をした妖精は〝そんな馬鹿共を回復する必要など無い〟というように、身振り手振りをした。

いや、確かにちょっとお馬鹿さんだったけど、可哀想でしょう!?

近衛兵士妖精君達もシュンとしてしまい、〝回復しなくて良い……〟と身振り手振りをしてきた。

いやいや、回復しようよ!

宥めつつ、何とか癒やして上げる。

そして、岩バッファロー君を解体する。

しかし、弱水牛君を1頭の予定だったのに、とてつもなく大きい獲物になってしまった。

白狼君など、血抜きや内臓の除去をしている間に、仲間を呼び集め嬉しそうにしている。

はいはい、内臓だけだからね!

しかし、多いなぁ。

バラして、凍らして、乗る分は荷車に、残りは白いモクモクで引きずろうかな?

そんなことを腕を組み考えていると、何かが集団で駆けてくる気配を感じた。

なんだろう?

視線を向けると、ん? あれ、白馬かな?

王子様が乗っていそうな真っ白な馬が1頭、サーベルタイガー君に追われている。

白馬君はなかなかの速度で必死に逃げているが、サーベルタイガー君も執拗に追いすがっている。

体力的に厳しそうな白馬君じゃ、逃げ切れないかなぁ。

ん?

あの子、白馬じゃなくユニコーン君かな?

そんなことを考えていると、ユニコーン君はこちらを見て、ギョッとした顔になり――何かに気づいて、なぜかこちらに突っ込んでくる。

え!?

何!?

「ひぃ~ん! ひぃ~ん!」と鳴いているユニコーン君はわたしの側までやってくると懇願するように、わたしの周りを回り出す。

えぇ~!

困ったなぁ~!

ひょっとして、この子、領主様のユニコーンかな?

付けている首輪とか 鞍(くら) とかに見覚えがある。

顔見知りのわたしに、助けを求めてきたとか?

でも、これって、獲物を横取りした感じになるんじゃないかなぁ~

サーベルタイガー君達の方を見る。

わたしに気づいたサーベルタイガー君は距離を置いて、こちらを睨んでくる。

えぇ~!