軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

悪役妖精と一緒に狩りに行こう!2

強い日の光が上から降ってくる。

うむ、中々良い天気だ!

畑の様子を見回っているイメルダちゃんの、その側にいたケルちゃんに「お~い、ケルちゃん!」と声をかける。

わたしに気づいたケルちゃんが、こちらに駆けてきた。

「狩りに行こう」というと、飛び跳ねんばかりに喜びながら「がう!」「がう!」「がうがう!」と吠えている。

可愛い!

荷車、どうしようかな?

ケルちゃんに装備させるタイプと、わたしが運ぶタイプ……。

今回は、ケルちゃんにも自由に動けるようにして上げたいから、わたしが持っていくタイプにしよう!

荷車を車庫から出し、よし、出発だ!

そこに、近衛兵士妖精の青空君達が飛んできた。

そして、身振り手振りをする。

え?

荷車は 青空君(僕たち) が運ぶから、ケルちゃんに乗って?

いやいや、流石に悪いよ。

え?

青空君(僕たち) も狩りをしたい?

いや、でも荷車を運ぶんだったら、青空君達は戦えないよ?

え?

途中で交代してくれれば良い?

まあ、構わないけど……。

ハンバーグ用なので、はっきり言って、一頭有れば十分過ぎるぐらいなんだけど……。

でも、なにやら、青空君達、凄くやる気満々なので、口に出しづらい。

悪役妖精も気分転換で付いてくるとか行っているから、ひょっとして、近衛兵士系の妖精達、今、やることが無いのかもしれない。

まあ、たまには良いかと思い、荷車を青空君達に任せる。

そして、ケルちゃんの三首を「よろしくね」と言いつつ撫でて上げる。

嬉しそうに頬ずりをするセンちゃん達に一通りハグをすると、その背に乗る。

ん?

腰の辺りを擦られて視線を向ける。

ケルちゃんの尻尾ちゃん事、リアちゃんだった。

蛇の姿になったリアちゃんが、赤い目を寂しそうにしながらこちらを見てくる。

あ、ごめん、リアちゃんを仲間はずれにしたら駄目だよね。

「ごめんごめん!

リアちゃんもよろしくね!」

と撫でて上げると、わたしの手に嬉しそうな顔で頬ずりをした後、尻尾の姿に戻った。

そんなやり取りをしていると、正面に何かが乗る気配を感じる。

視線を戻すと、悪役妖精が三首の付け根辺りにちょこんと乗っていた。

何やら、正面を向きながら偉そうな感じに腕を組んでいる。

……まあ、良いけどね。

青空君を初めとする四人の近衛兵士妖精君達が荷車を持ってきてくれるようだった。

……そんなに付いてきても、獲物はそれほどいらないよ?

側に近寄ってきた白雪ちゃんは――苦笑しつつ、残ってイメルダちゃんの護衛をすると身振り手振りで言ってくれた。

ありがとう!

そんなやり取りをしつつ「気をつけてね」と言ってくれたイメルダちゃんに手を振りつつ、結界の外に出る。

……白狼君達が注意深くしつつ付いてくる。

まあ、今回は悪役妖精も睨むことは無い。

気にすることなく、ちょっと嬉しそうにケルちゃんの上に乗っている。

普段のピリピリした感じはない。

まあ、悪役妖精も色々大変そうだから、良い気分転換になれば良いと思う。

森を走り、川を渡り、森を抜け、草原に出る。

いつもの赤ライオン君が歩いている。

視線をこちらに向けているけど、彼には用は無い。

ケルちゃんが気にしたけど「良いから、先に進んで」と背中を叩いたら、そのまま進んでくれた。

悪役妖精も特に不満は無いらしく、機嫌良く辺りを見渡している。

ん?

茶色い毛の集団が草原を駆けているのが見える。

あれは飛び猿君?

前世、日本猿っぽい彼らは平地や森を移動する魔物だ。

多い場合、数百程度の集団で行動する彼らは、ジャンプすれば百メートルほどの高さまで飛ぶことが出来、鋭い鉤爪のある指で魔鳥や魔獣を捕まえ捕食する。

更に言えば、その爪には毒が有り、引っかかれると体が痺れるらしい。

なので、普通であればかなりやっかいな魔物ではある。

とはいえ、当然のことながらわたしを含むフェンリルファミリーにとっては、不味い上に、騒々しい、馬鹿みたいにぴょんぴょん跳び回る変な猿にすぎない。

あの程度の爪では、わたし達家族の皮膚に、ひっかき傷すら付けられないしね。

……しかし、本当に相変わらずうるさいなぁ。

何やら何百匹も一斉に鳴くので「キッキキ! キッキキ!」と騒々しい!

わたしが顔を顰めていると、悪役妖精が振り返り、〝あれ、いるのか?〟と身振り手振りで訊いてきた。

「いらない」と端的に応えると、青羽根の妖精は、ケルちゃんの背中から飛び上がると、すーっと飛び猿君の方に飛んでいく。

そして、腰に差している剣を抜き、横薙ぎに振った。

一瞬、何も起きないように見えた

けど、次の瞬間、飛び猿君達の中央で大爆発が起きた。

爆音が響き、空気が激しく揺れる。

何百匹もいた飛び猿君達は吹き飛んでいった。

うわぁ!

凄い!

飛び猿君達、五百メートルは吹き飛んだんじゃないかな?

地面に落ちても、ゴロゴロ転がっている。

わたしは暴風で飛びそうになるフェンリル帽子を押さえつつ、感動した。

わたしが今まで見てきた雷撃や火炎とも違う、前世のダイナマイトとかの爆発に見えた。

悪役妖精が戻ってきたので訊ねてみる。

「ねえ!?

何をやったの?」

ただ、ケルちゃんの背に座った悪役妖精は、ニヤリと笑うだけで答えない。

「教えてくれても良いじゃない!」

と文句を言っても、〝ほらほら、行くぞ!〟と手振りで言うだけだ。

本当にケチだね、この妖精は!

白狼君(リーダー) が恐る恐る〝貰って良いですか?〟と言うように「がうがう」訊いてきたので、「上げても良い?」と一応訊いておいた。

悪役妖精は鷹揚な感じに〝好きにしろ〟と手を振った。

白狼君達の何頭かと別れた後、しばらく進んでも、弱水牛君はいなかった。

このまま進むと、町の近くの林にまでたどり着きそうだ。

「……ていうより、さっきの爆音で、逃げちゃったんじゃないの?」

わたしがそう言いつつ、ジト目になると、ちょっと焦った感じの悪役妖精は〝いや、あっちの方にいるだろう、多分!〟とか言うように、身振り手振りをしている。

いや、絶対適当に言ってるでしょう!

そんなやり取りをしていると、 白狼君(リーダー) が近寄ってきて「がうがう!」言ってくる。

なんとなく、〝我らが引っ張ってきましょうか? 主様!〟とでも言っているようだ。

『お願いできる?』とがうがう言うと、〝任せて下さい!〟という用に胸を張る。

そして、リーダーと共に白狼君の皆は駆けていった。

こういうことに関しては、彼らは頼りになる。

わたし達はその場に留まり、少し待つことにする。

ケルちゃんには干し肉、わたしや妖精の皆には小袋に入れていたドライフルーツを分け合い食べていると、何やら巨大な何かが近づいてくる気配を感じた。

視線を向けると、土煙を上げて何かが駆けてくる。

あれは―― 弱(じゃく) ……。

じゃない!

岩バッファローさんだ!