軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

我が国の守護神?

そんなことを考えていると、羊飼いさんが言う。

「こんなに、上質な蜂蜜酒を貰えたんだ。

これのお礼もしないといけないね。

何か欲しいものはあるかい?」

すると、何故か悪役妖精がわたしと羊飼いさんの間に割り込む。

そして、羊飼いさんに向かって、何か言っている。

いや、悪役妖精、他の人の前に出ても良いの!?

それに、悪役妖精の声なんて、羊飼いさんには聞こえないんじゃないかな?

でも、羊飼いさんは「そうは言ってもなぁ~」とか少し困った顔をする。

えぇ~!

「ひょっとして、妖精の声が聞こえるの?」

わたしが訊ねると、羊飼いさんは目をぱちくりさせる。

「え?

君、彼の声が聞こえないの?」

「うん」

「うぅ~ん?」

羊飼いさんは不思議そうに首を傾げる。

えぇ~!

しかも、「君はずいぶん 歪(いびつ) なんだね」とか言われてしまった。

えぇ~!

「でも、うちにいる女の子達も聞こえない!」って言っても、羊飼いさんは釈然としないって顔で、こちらを見てくる。

えぇ~!

悪役妖精が何かを言い、羊飼いさんが「そうなのかい?」とか応えている。

そして、羊飼いさんがこちらを向く。

「まあ、 追々(おいおい) 聞こえるようになるよ。

それより、何か困ったこととかあるかい?」

「困ったこと?」

「うん、蜂蜜酒のお礼に何か手助けが出来ればと思って」

そうだなぁ~

困ったことと言ったら、領主様の問題かな?

お宝探しで町中が困っているし。

そのことを話すと、羊飼いさんは不思議そうにする。

「そんなもの、君が力を振るえばいくらでも何とかなるんじゃないかな?」

「いやいや!

暴力とかで解決したくないし!

それに、そうすると後を収めるのが大変なの!」

出来れば、わたしの立場も含めて、前の気楽な状態に戻したい。

そのことを語ると、羊飼いさんは「うんうん」と熱心に聞いてくれる。

そして、ニッコリと微笑んだ。

「なるほど、暴力無しで町の平穏を取り戻したいんだね」

「うん」

「実はその点なら大丈夫だよ」

「ん?」

「実は君の言う所の、〝お宝〟なんだけど、僕はそれが何か知っているんだ」

「え!?

そうなの!」

わたしが驚いて訊ねると、羊飼いさんは楽しそうに言う。

「ああ、そうなんだ。

そのことを――領主? だっけ?

〝それ〟に教えれば、この騒動も終わるよ」

「えぇ~……。

大丈夫なの?」

なんだか心配だ。

領主さんは乱暴なことも辞さない勢いでお宝を探していたし……。

いや、そもそも、周りにいる黄金羊さんの毛だって、高く売れるってヴェロニカお母さんは言っていた。

お宝の情報だけでなく、羊さん達も奪おうとするんじゃないかな?

わたしのそんな危惧を、羊飼いさんは笑って見せた。

「大丈夫だよ。

僕はこう見えて、相応の年月、生きているからね。

それに、元々、煩わしくなった〝ゴミ〟も片付けなくちゃならないと思っていたから、ついでだよ」

大丈夫なのかな?

まあ、こんなに多くの羊さんを連れて歩いて、今まで無事なんだから、何かしらあるんだろうけど……。

「気をつけてね」

と言うと、羊飼いさんは嬉しそうに頷いた。

あ、ということは……。

「ねえねえ、そうなるとお宝って本当にあるの?

それ、何なの?」

わたしが訊ねると、羊飼いさんは目をすーっと細めた。

「君も お宝(それ) 、欲しいのかい?」

「ん?

欲しいと言うより、気に――」

脳天に衝撃が走った。

「 痛(いった) ぁぁぁい!」

頭を押さえつつ視線を向けると、悪役妖精が拳を振りながら、プリプリ怒りつつ何かを言っている。

いや、怒りたいのはこっちなんだけど!

「なんで殴るのよ!」と怒鳴っても、まるで〝お前が悪い〟と言わんばかりに、身振り手振りをしてくる。

訳が分からない!

すると、羊飼いさんが可笑しそうに笑う。

「まあまあ、年長者の忠告は聞いておいた方が良いと思うよ」

「えぇ~!」

そもそも、悪役妖精って年長者なの?

胡乱げな目で見るも、悪役妖精は〝その通りだ!〟と言うように胸を張っている。

えぇ~!

すると、悪役妖精は身振り手振りで続ける。

え?

寝る?

え?

ああ、寝ているシャーロットちゃんね。

急ぐ?

そうだね、早く帰って上げなくちゃね。

気づくと、近衛兵士妖精君達が牛さんを家畜運搬車に乗せてくれていた。

ありがとう!

「ごめん、病人がいるから家に帰らなくっちゃ」

と断ると、羊飼いさんは大きく頷きながら「それは、早く帰った方が良いね」と言ってくれた。

「じゃあ……。

あ、名前なんだっけ?

わたしはサリー」

羊飼いさんはニッコリ微笑む。

「僕の名前は〝 〟と言うんだ」

ん?

「今、なんて言った?」

何か、名前らしき箇所が酷く聞きづらかった。

すると、羊飼いさんは何故か楽しげに言う。

「そうだね、エメラルド、とでも呼んでくれたら良いよ」

エメラルドさんかぁ~

前世、キラキラネームっぽいと言ったら、失礼かな。

まあ、不思議とこの羊飼いさんなら違和感がないけど。

「じゃあ、エメラルドさん!

また会えたら!」

手を振りつつ、牛さんの乗った家畜運搬車を進めると、羊飼いさんも「うん、また機会があれば」と手を振り返してくれた。

家畜運搬車で結界石を蹴らないように注意しつつ、我が 家(国) に到着!

畑の間を進んでいると、玄関からイメルダちゃんが出てくるのが見えた。

側には妖精姫ちゃんや龍のジン君、妖精メイドの黒バラちゃんや近衛兵士妖精の潮ちゃんも飛んでいる。

「ただいまぁ~」

と言いつつ階段から降りるイメルダちゃんに近寄る。

イメルダちゃんも「お帰りなさい」と返してくれるその時、姉的妹ちゃんの背後の扉が再度開く。

そして、金色の何かが飛び出てきた。

姉姫ちゃんだった。

なんか、姉姫ちゃん、金縁の白い軽鎧にランス(?)だっけ? 騎士さんが持っていそうな先が尖った槍を右手に持っていた。

髪を束ねていて、鎧の中もそれに合わせているのか、白地に金の模様の柄の入った上着に、同色のハーフパンツを履いていた。

キリッとした表情も相まって、ますます前世の姫騎士様っぽい雰囲気があった。

そんな姉姫ちゃんが何やら、プリプリしながら身振り手振りをする。

え?

今日こそ、わたしの出番だった?

なのになんで、悪役妖精を連れて行った?

いや、そんなことを言われても……。

振り返っているイメルダちゃんや妖精姫ちゃんが呆れた感じでそんな妖精ちゃんを見ている。

イメルダちゃんが苦笑しながら言う。

「なんか、ずっとあの調子なのよ」

「そうなんだ……」

いや、仮に付いて来ても、姉姫ちゃんの出番はなかったと思うけどなぁ。

致し方がなく、真剣な表情を作りつつ、言う。

「姉姫ちゃん、わたしね、姉姫ちゃんが家にいてくれると思うだけで、凄く心強かったよ」

姉姫ちゃんは〝ん?〟と不思議そうな顔をする。

わたしはキリっとした顔で言う。

「なぜなら、姉姫ちゃんこそ、我が 家(国) の守護神だからね!」

姉姫ちゃんは〝そうなんだ!〟というような衝撃を受けた顔をする。

そして、何やら満足げな顔で〝皆、わたしが守る!〟というように胸を張った。

チョロい!