軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

お酒の話を聞く!

だけど、灰色ウサギ君の集団、その中央にいる彼は、格好の的だ。

周りにいる、灰色ウサギ君が一斉に襲いかかった。

その瞬間、赤色の風が舞ったように見えた。

それは、赤ライオン君の毛だった。

彼の毛は伸び縮みが自在で、飛びかかった灰色ウサギ君が十数匹、捕まり、絞め殺されている。

そんな様子に、ヤバいと察したのだろう――他の灰色ウサギ君は散り散りになって逃げていく。

そんな彼らを、赤ライオン君は追う事もなく、悠然と見送った。

赤ライオン君、流石の強さだね。

わたしは感心したけど、獲物をかっさらわれた形のサーベルタイガー君達は頭にきたのか、その内の何匹かが口や毛が灰色ウサギ君に塞がれている赤ライオン君に飛びかかった。 赤ライオン君は咥えていた灰色ウサギ君を離すと、前足を数度振るった。

向かっていったサーベルタイガー君達の頭が吹き飛ぶ。

いや、流石にサーベルタイガー君が 赤ライオン君(あれ) に向かっていくのは無謀だと思う。

小さい一角で、しかも群れでとはいえ、ママの洞窟周りの森に住む事が出来るのが彼らだ。

集団でとはいえ、若い地竜を狩る事すら出来る。

更に言えば、あの赤ライオン君は、その中でも結構な強者のように見えた。

ひょっとしたら、ボス戦に負けたナンバー2とかかもしれない。

う~ん、頭も良いし、戦うとなると面倒なんだけど……。

倒しておいた方が良かったかな?

荷車を引きながら、思う。

我が 国(家) の場合、結界があるので問題ないけど、あれが町の方にやってきたら、一大事だ。

とはいえ、狩りでもないのに倒すのも……。

逡巡していると、赤ライオン君はチラリとこちらを見た。

そして、獲物を咥え直すと、わたしから離れるように駆けていった。

……まあ、町から離れていくから、取りあえずは良いかな?

しかし、 ワイバーン(偽竜君) 、赤大軍蟻君に続き、赤ライオン君かぁ~

暖かくなったからか、やっかいなのが現れ始めてきたなぁ~

やっぱり、イメルダちゃんを連れて行くのは、避けた方が無難な気がする。

林に到着したので、白狼君達は帰っていく。

一応、近くを通りかかっただけで突っかかってきた 弱(じゃく) 水牛君を三頭ほど倒し、その内臓を上げたので、満足して帰っていった。

門番のジェームズさん達と挨拶をしつつ、町に入る。

解体所で弱水牛君を売った後、冒険者組合に向かう。

中に入ると、打ち合わせようテーブルに小白鳥の団の皆が座っているのが見えた。

わたしに気づいたヘルミさんが手を振ってくれたので、振り返しつつ近づく。

「依頼を受けに行かないの?」

訊ねると、ヘルミさんは上機嫌に笑う。

「昨日まで忙しくしていたからね!

今日は報告して終わり!」

何でも、前日まで林の中で採取できる、とある薬草を探すために朝から晩まで歩き回っていたとの事だ。

クッカさんが苦笑しながら言う。

「見つけやすい薬草のはずが、なかなかなくてさ。

しかも、途中、 大狼(だいおおかみ) にまで絡まれて大変だったわよ」

そういう依頼とか受けた事ないけど、なかなか大変そうだ。

「大変だったね」と持ってきていた葡萄のドライフルーツが入った袋を渡して上げると、小白鳥の皆は「ありがとう!」と嬉しそうに受け取った。

リリヤさんが葡萄のドライフルーツを口に入れながら「あの薬草、変な宗教団体が取り尽くしてるって本当かな?」とか言い、クッカさんが「ただの噂じゃないの?」と興味なさげに言った。

目を閉じて口をモグモグさせるヘルミさんが、なにやらしんみりと言う。

「う~ん、 ドライフルーツ(これ) も良いけど、葡萄酒が飲みたくなってきた」

「葡萄酒?

ヘルミさん、お酒を飲むの?」

「飲むわよぉ~

サリーちゃんにはまだ早いけど、成人したら一緒に飲もう!」

そんな、ヘルミさんにクッカさんが悪戯っぽく言う。

「サリーちゃん、 ヘルミ(この子) と飲むのは止めた方が良いわよ。

絡んでくるから」

「いや、絡まないでしょう!」

ヘルミさんは不満そうに言うけど、なんとなく、このお姉さんは凄く絡んできそうな気がする。

「女の人でもお酒って飲むの?」

わたしが訊ねると、「そういうのって男女とか関係なくない?」って小白鳥の皆に笑われてしまった。

ヴェロニカお母さんもそんな事を言っていたし、そうなのかもしれない。

そんな事を考えつつ、食べ終わっただろう皆に、再度、葡萄のドライフルーツを勧めてみる。

みんな、嬉しそうに「ありがとう!」「じゃあ、もう一つだけ」「これ、美味しいよね!」と手を伸ばす。

ドライフルーツを口に放り込みながら、クッカさんが言う。

「でも、わたしの場合、甘いお酒じゃないと、ちょっと苦手だわ」

ヘルミさんやリリヤさんも「わたしもそう」「わたしも~」と同意している。

「甘いお酒なんてあるの?」

と訊ねると、果実で出来たものの中にあるのだとか。

へぇ~

ヘルミさんが「女だと、大体甘い酒を好む気がする」と言っているので、小首を傾げる。

「甘いのって、大人は好まないんじゃないの?」

「まあ、そういう考えの奴もいるけど、甘い方が飲みやすいからね」

とヘルミさんは応えてくれる。

へぇ~なんか不思議な感じがする。

そうなると、ひょっとすると、ママも甘いお酒が好きかな?

果実系かぁ~

ワインも葡萄だし、明日作ったら、そちらを送ってみようかな?

あと、ヴェロニカお母さんの思惑に乗るのは癪だけど、蜂蜜酒って手もあるか。

でも、お酒なんて味の善し悪しなんて分からないんだよね。

シルク婦人さんなら分かるかな?

ちょっと、聞いてみよう。

などと考えていると、ヘルミさんが「そうそう」と言いつつ、足下に置いてあった袋を持ち上げ、探る。

そして、「葡萄のお礼に、良ければ」と何やら黒ずんだ棒を渡してくる。

???

受け取ると、金属製の横笛? みたいだった。

全体的に黒くなっているけど、所々、銀色の箇所がある。

ヘルミさんが言う。

「森で薬草を探している時に拾ったの。

わたし達、笛なんて吹けないし、興味がないから上げる」

「え?

いや、落とし物なら――届けるんじゃないの?」

警察に、と言おうとして、異世界に無いと思い直した。

それでも、衛兵さんとかに渡すものじゃないかな?

そのことを話すと、「衛兵に渡しても、がめるだけでしょう!」と小白鳥の皆は笑っていた。

衛兵さん、信頼度が低すぎる!

まあ、冬の時期のあれこれを思い出せば、順当な評価かもしれないけど。

ヘルミさんが更に続ける。

「それに、町でも無く、街道でもない林の奥まった所で拾ったものは、別に届け出る理由は無いし」

ま、まあ、そうかもしれないけど……。