軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

賢いと褒めるべきか……な?

「ごめんなさい」と謝りつつ、籠を渡すと、ハルベラさんは「これからは気をつけて」と言いつつ、蓋を確認する。

「魔道具はきちんと機能しているわね。

後は、スライムのルルリンちゃんだったっけ?

その子に魔道具がきちんと効いていれば問題ないんだけど……」

と言いつつ、ハルベラさんは籠の蓋を開ける。

そして、中に手を差し入れて、ルルリンを持ち上げた。

ルルリン、されるがままで、ぐにゃりと形を変えつつ動かない。

「……」

「ルルリンちゃん、眠っているみたいね。

変わった子だから、ちょっと心配していたけど、この子にもちゃんと効いているみたいだわ」

いや、ハルベラさん!

その子、眠った振りをしているだけだから!

ご主人様が思いつかなかった姑息な手でハルベラさんを騙そうとしている、悪いスライムだから!

なんて、勿論言うはずもなく、わたしはニッコリ微笑みながら「蓋を閉めるとすぐに、気持ちよさそうに眠っちゃった!」と言っておいた。

従魔登録はすぐに終わった。

既に受けていた注意を軽くおさらいをしたぐらいだ。

あとは、許可する旨が書かれた木札を受け取り完了だ。

また、農家の人たちを紹介してもらう件について、明日のお昼過ぎなら時間が貰えそうと教えて貰った。

明日かぁ~

結構急だけど、問題ないかな?

わたしがハルベラさんにお礼を言っていると、小白鳥の団団長のヘルミさんが改めて声を掛けてきた。

「ねえねえ、サリーちゃん!

そのスライム、見せて!」

わたしがハルベラさんに視線で問うと、美人受付嬢さんは苦笑しながら「逃がさないように注意してね」と頷いてくれた。

わたしが籠からルルリンを出して、ヘルミさんの前に持ち上げると、小白鳥の団長さんは「本当に白いのね」と興味深そうに見つつ、白いスライムボディーを撫でた。

他の小白鳥の皆や女性冒険者の人たちも集まってきた。

「なんか、柔らかくて触り心地が良いわね」と嬉しそうにするヘルミさんに、リリヤさんが言いづらそうに「でも――ゴミとか食べているのよね」と訊ねてきた。

恐らく、ゴミと言うより、汚物と言いたかったんだと思う。

クッカさんが 咎(とが) めるように「ちょっと!」と言ってるけど、その辺りはまあ、仕方が無いと思う。

スライムの用途って、基本、それだしね。

わたしが「この子は基本、果物とか ドライフルーツ(乾燥果物) を食べさせてる」と言うと、皆は呆れた感じに「スライムなのに贅沢してるわね」と言っていたけど、安心したのか「わたしも触らせて」「わたしも!」と言って、ルルリンのぽよぽよボディーを楽しそうに触っている。

小白鳥の団団長のヘルミさんがそれを横目に訊ねてくる。

「犬の従魔もいるんでしょう?

連れてこないの?」

「ん?

まだ、魔道具が出来ていないから、連れてこれないよ」

と言いつつ、ハルベラさんに視線を向けた。

受付嬢のハルベラさんは困ったように、少し眉を寄せて「もう少し待って」と言った。

「連れてきたら、わたしにも見せて欲しいの」

「ヘルミさんに?」

「ええ、わたし犬が好きなのよ!

ふふふ、サリーちゃんが飼っているんだもの、その子達も、きっと可愛いんでしょうね」

などと、ヘルミさんはニコニコする。

わたしが飼っているからって、可愛いとは限らないけど……。

とはいえ、ケルちゃんは可愛いけどね。

「どれくらいの大きさなの?」

と訊かれたので、「これぐらい!」と両手を広げて、サイズを示した。

「大きいわね」と皆、目を丸くしていた。

まあ、現在のケルちゃん、前世、ライオンより大きいからね。

「毛がもふもふしてて可愛いの!

しかも、大きいから時々、乗せて貰ってるよ」

と言うと、ヘルミさん「羨ましい!」と叫んだ。

そして、「わたしも乗せて貰いたい!」と真剣な表情で詰め寄ってきた。

えぇ~

まあ、ヘルミさんはヴェロニカお母さんより少し背が低いぐらいだから、大丈夫だと思うけど……。

「ケルちゃんが嫌がらなかったらね」

と答えると、満面笑みのヘルミさん「早く会いたい!」と言ってた。

そんな、美人団長さんを見つつ、ちょっと面倒くさいと思ったのは内緒だ。

冒険者組合を出て、解体所に行き、鰐革を受け取った。

その後、スライムのルルリンが行きたがっていた家具屋さんに行った後、前に行った牧場に向かう。

あれから、地味に大変だった。

冒険者組合では、ルルリンを回収しようと思ったら、いつの間にかやってきていた火蜥蜴の団のおじいちゃん達に掴まってしまったのだ。

ルルリンの白色ボディーに知的好奇心が刺激されたようで、「興味深いのぉ~」などと言いながら「どのように魔力を与えたのだ?」とか「どれくらいの魔力を与えたのだ?」とか矢継ぎ早に訊かれ、辟易としてしまった。

いや、そんな事を言われたって分からないよね?

でも、なかなか納得して貰えず、結構長い時間、拘束されてしまった。

しかも、ケルちゃん達の話も耳に入っているらしく「スライムがここまで面白い事になっているのじゃ、その魔犬達も想像を超えるものに違いない」とか言っていた。

まさか、ヘルミさんより面倒くさい人たちがいるとは、思いもよらなかった……。

もう!

わたし、それなりに忙しいのに!

何とか冒険者組合から出ると、ちょうど、赤鷲の皆がやって来たので、アナさんに「例の物」とこっそり蜂蜜入りの壺を渡した。

アナさんも嬉しそうに微笑みつつも「ありがとう」とお礼を言ってきた。

喜んで貰えたのなら、何よりだ!

次に、鰐皮を受け取りに解体所まで向かう。

その時、解体所の所長グラハムさんに「是非、鰐を狩ってきてくれ!」とお願いをされた。

解体所に顔を出した冒険者達が欲しがってうるさいとの事だ。

まあ、雷魚君を獲りに行くついでに、狩ってきても良いかな?

そのことを言うと、グラハムさんは嬉しそうにしていた。

解体所を出た後、ルルリンが行きたがっていた家具屋さんをハシゴした。

またしても、興奮しきりのルルリンと、ついでに近衛兵士妖精の潮ちゃんに振り回されて、あっちらこっちら見て回る事になり、ほんと、大変だった。

まあ、ある程度は構想が固まっていたようで、前回ほどは時間がかからなかったけどね。

家具屋さんから出て、荷車をゴロゴロ引きながら、牧場まで向かう。

すると、生地屋さんの前に 煌(きら) びやかな馬車が二台、止まっているのに気づく。

その周りには、護衛騎士っぽい人たちが立っていた。

ヴェロニカお母さんのハンカチを買いに来てるご令嬢のかな?

なんて思っていると、生地屋さんの入り口から、ご令嬢達が出てきた。