軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

84.闇魔法と狼さん

東門へ向かうと、確かに閉鎖されていた。小さい通用口だけが開いている。門の向こう側に獅子の絵が描いてあるのかな?

兵士が十人ほどうろうろしている。

ピリピリと気の張った気配に、事態が深刻なのだと改めて知る。

「今はここは通れない」

「治療院で狼が出たと聞きました。俺たちは冒険者です。狼の退治に行こうと思います」

兵士は少し驚いた風で隣の同僚とこそこそ話している。

「それなりに腕に自信はあるつもりです」

ソーダが言うと、やがて彼らは頷いた。

「かなりの人数がやられている。十分気をつけてくれ。影に注意しろ」

『忍法影縫いの術の触りが見えたでござるっ!!』

『影かあ、闇魔法かな? たまにモンスターが使ってるよな。対抗手段なくて笑うやつ』

『今までの流れだと闇魔術イコール邪教よねー』

『お、邪教って話広まってるの?』

『宗教系クエストとか、闇魔法関連で聞くな』

ヴァージルが、聖魔法が使えなくなって、相手が闇魔法を使う邪教かもと言っていた。

『ヴァージルさんがそれで今、聖地に報告に行ってるよ』

『聖地! ちらほら聞いてるけどやっぱりあるのか』

『一緒に行くって聞かれたけど、騎獣ないからって言われて』

『騎獣! そろそろ実装かな。始まって1ヶ月くらいに実装話漏れ聞こえたけどこなかったよな』

そんな話があったのか。

『騎獣実装されたら、マップ間移動楽になるしいいなぁ。買うのかな?」

『いやー、石が化けたから、採掘?』

『石!? ますます楽しみねっ!』

シュヴァルツさん、めっちゃ綺麗だったからねー。俺もとても楽しみです。

林は一本道だ。舗装されたものではない。人が通って通って踏み固めて作られた道だった。過疎マップとは言っていたが、人が通らない場所ではないようだ。

林と言われて来てみたものの、大きめの木がそれなりに生えていて、薄暗い。

影はかなりある。

たまに案山子が採取していた。

『食べられる野草多いな~ヨモギこんなに採れるなんて幸せッ! ローレンガで餅米買ってきたし、チーズ屋のばあちゃんからぼた餅教えてもらったから、よもぎ餅もいける、はずッ!』

『ぼた餅食べたいのじゃ』

『んじゃこれ終わって帰ったら作ろうかなッ? おかげさまで【蒸す】が出た。ローレンガのチーズ屋のばあちゃん、めちゃくちゃ教えてくれるんだよねッ! ありがたいッ!!』

『孫気分なんじゃない? そのうちチーズ屋継ぐかとか言われたりして』

『すでに言われたッ。けどさすがにお断りしたッ!!』

『すでに言われてるのかよ……後継者争いとかに巻き込まれないように気をつけろよ~』

サブクエストにはお家騒動系も多いらしい。

討伐系、おつかい系、お悩み解決系、貴族関係、それらも含めたお家騒動系。

後継者争い系に巻き込まれて、それが貴族の場合、失敗するとその街を歩きにくくなったりするらしい。ことあるごとに兵士に呼び止められ身分証を確認される。すると、街の住人から白い目で見られる。

泣く泣く、ほとぼりが冷めるまで拠点を別の街にすることもあるという。

『俺とばあちゃんの絆はそんなもんじゃないッ!』

『まあ、気をつけて』

案山子は……年上女性に好かれそうなタイプだ。

と、俺は思う。

……アンジェリーナさんには会わせません。

『さて、セツナ殿の【気配察知】は仕事してるでござるか?』

『えっ!?』

『十時の方向でござる』

半蔵門線からの注意にみんなは一瞬にして戦闘態勢に入る。八海山がバフを飛ばす。

『影ってことは、そこから出てくるのかもしれないな。セツナ、影の異変に目を配ってくれ。半蔵門線は敵位置よろしく』

できるお仕事いたしますよ。

闇属性の敵から攻撃を食らうと、耐性がないと1.25倍のダメージを食らってしまうそうだ。耐性、つまり聖属性。聖職者である八海山は耐性がある。

だが他の面子はゼロなので、ダメージ量が地味に嵩む。

ダークウルフという、闇属性ですっ! と名乗りをあげている狼が姿を現す。大きさはシベリアンハスキーくらい。輪郭がゆらりと揺れて、実体がない?

「【一身集中】!」

ソーダがヘイトを己に向ける。

『影から影へ移動するらしい。気をつけるのが、【ダークネス】暗闇魔法だ。視界が著しくせまくなったところへ影へ潜んで死角から攻撃される』

『耐性ないのセツナだけだろ』

『えぇーっ!!』

『残念なことに柚子ちゃんも耐性2までしか育っとらんのじゃ~』

『そこ2人に注意、把握』

『計11匹でござるね』

俺の気配察知には8匹しかかかっておりませんっ! 性能の差が出てる。

『物理は効かないから、柚子と案山子メイン。まあ、そんなきつい相手じゃない』

なんといってもアランブレ周辺。結構初期に出てくるミッションでもあるらしい。

『そういえば、【ダークストライク】って、闇属性じゃないの?』

『残念なことに無属性ですッ。謎だけどッ。ただその、闇属性引いた人のツリーにもあるんだよね、【ダークストライク】。その人のは闇属性になってたッ!』

『【ダークストライク】は魔法使いが最初に取らないといけない魔法なんじゃ。って、せっちゃんチュートリアルしたならとってるんじゃろ?』

『うん、ある』

『闇属性には他の魔法も0.75になるから、無属性で攻撃が一番てっとりばやいんじゃよ』

『あーやってみようかなせっかくだし』

『やれやれぃ!』

へへ、魔法許可出た。

『俺、ギルド回る段階になって面倒くさくなってチュートリアルやめたからなぁ……』

『ソーダ、あの日残業急に入って発狂してたもんねw』

『仕事押しつけて帰った後輩だけは絶許』

『しかもこのゲームするためだったでござるねwww ソーダのこと知らなかった会社の民南無でござるwww』

クラン入れてくださいよーって言われたけど断ったんだって。

改めて見てみたけど、確かに【ダークストライク】だけツリー単独1つのみだ。

『そしたら。セツナも適当に魔法打っていいよ。ダークウルフ相手に負けるようなことはないし。転ぶとしてもお前だけ!』

『了解!』