軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

83.大忙しの治療院

まあだいたい水系はこんな感じで対応することが多いそうだ。

半蔵門線は柚子や案山子へヘイトが向かったのをソーダと一緒に取り戻す係。

『もちろんもう少し複雑なところもあるけどな。手順踏まないといけないやつとか。部屋ギミックあるやつとか』

『部屋ギミック系は半ちゃんが大忙しなのじゃ』

『自分が2人欲しいときあるでござる。セツナ殿の参加は大歓迎。レベル上げするでござる』

『レベル上げかぁ』

『同じレベル帯がいれば気兼ねなくなのでござろうが……たまに、レベル関係なしイベントとか発生するのでそこら辺で稼いだり、クエストで経験値もらって頑張るのがいいと思うでござるよ~』

『ミュス狩りだけじゃさすがに上がらなそうだからなあ』

ちょっとライフワークに力を割きすぎているか?

『まあ、ぼちぼちやるわ。ああいった連携も見てて面白いから参加はしてみたい気はするし』

『今度ギミック系ダンジョン連れて行くでござるよ』

『そうだな、それもいいかも』

みんなはこれからネタクナイノダを飲んでローレンガの少年倒しに行くらしい。

『納品一段落ついたから、いまのうちなのじゃ』

『セツナも行くか?』

『いや、俺このモモルもう一回冒険者ギルドに持って行ってくる。昨日最低納品数しか納品できなかったし』

『治療院、だっけ? まあ、気をつけて』

ということでここでお別れ。

カエルフィールドを出てクランハウスへ飛ぶ。

冒険者ギルドに行くと、青髪のお姉さんがにこりと微笑んだ。

いつきてもいるんだよな。冒険者ギルドブラックが過ぎる。

「おはようございます。セツナさん」

「おはようございます。この間のモモルの実なんですけど、時間がなくてあれしか採れなかったから、また採ってきたんです」

「まあ! ありがとうございます。ただ……もう依頼はないんですよ。一応あれでギリギリだが足りたとのことなので」

「足りてたならよかったです」

【持ち物】に入れておいて依頼が出てたらまた出せばいいかな?

「あの! 直接持って行ったらもしかしたら買い取りはあるかもしれないです。あちらも大急ぎだったようで次の納品依頼を出す間も惜しいようでしたから」

「それなら行ってみます」

「買いたたかれるようなら少し待ってみてもいいと思いますよ」

青髪のお姉さんの笑顔が深かった。

治療院は来訪者が担ぎ込まれて治療費を強制的に搾取される、危険な場所だ。別名追い剥ぎ院。すっぱり死なせてくれれば経験値だけなのだが、下手にNPCが周りにいると担ぎ込まれてしまい、経験値とともに金までむしり取られる。なんとも無慈悲な施設だ。

神殿の近くにあり、神官が治療に務める場所だった。

獅子座の神様の彫像を横目に見つつ、さらに奥の建物へ向かった。

朝早いが調子の悪そうな人々が並んでいる。

俺はその列の横を、失礼しますよっと通り抜けて先頭の扉まで向かい、神官服の人に話しかけた。

「すみませんが――」

「順番に見ますので列に並んでください」

「いや、そうでなく――」

「すべての方を平等に見ますので、きちんと列に並んで――」

「モモルの実納品したいんですけど」

最初にもう言うべきだったんだな。

神官はピタリと口を閉ざした。

「先日冒険者ギルドに依頼があって、時間がなかったから5個しか採ってこられなかったんで、一応追加を採ってきたんですが、依頼はなかったので。もし必要ならと直接伺いました」

入り口の神官二人は顔を見合わせて、やがて俺と話していた1人がどうぞこちらへと先導した。

治療院の中は薬の匂いがする。基本不快な匂いはカットされるので、それだけだった。中はとても綺麗に清掃されていて、入ったところに並ぶ椅子に、患者さんが腰掛けている。とても長く広い廊下だった。その廊下の片側に扉がいくつもある。

「入り口でどんな症状か聞き、患者を振り分けるんです」

俺がキョロキョロとしているのを見て、説明をしてくれた。

「モモルの実は外科によく使われます。ここ数日街の東で強い狼が出没し、多くの怪我人が出ました。治療をする過程でモモルの実を使うのですが、ギリギリの状態です」

広い廊下の一番奥の部屋を開けると、そこには銀髪の女性が治療にあたっている。

神殿の治療は、俺が知っているような切ったり縫ったりするようなものと合わせて、聖職者特有の回復魔法を使う物だった。魔力は有限なのでこういった併せた治療が行われるそうだ。魔力を使った回復は、よっぽど危篤の者や、怪我よりも病気の者に使われるそうだ。

「助かる。もちろん代金は支払おう」

治療院の医院長メアリアは、机の引き出しから金を出す。

「……ちょっと多いですね」

「そうかな? うちはこれで依頼している。ギルドが仲介手数料を引いているからだろう。まあ、本来なら功績が入る分が、今回直接取引となって入らないのだからその分と思えばいい」

気前がいい、姐さんだな。

「それではありがたく。狼は始末されたんですか?」

「いや、まだのようだ。兵士たちが駆り出されているが、なかなかすばしっこくて捕まらないようだ。こちらに攻撃してそのまま逃げていくらしい」

頼りにならんと兵士たちが言われてる。可哀想に。

「セツナさんは来訪者で冒険者なのだよな? もしよかったら倒してくれよ」

「いやー、俺は弱っちいんですよね~友人に聞いてみます」

街の兵士がやられるのに俺が敵うわけなかろう。

「そうなのか。まあ、最悪騎士団が出てくるだろうし、今、東の門は閉鎖されているからこれ以上被害は出ないと思うがな」

《ミッション! 凶暴化した狼を倒せ! 東の林に現れた、狂暴な狼を倒そう》

セツナ:

お助け~!!

八海山:

どうした?

セツナ:

アランブレの東の林に出た狼倒せって、ミッションなんですけどたぶん俺には無理。

ピロリ:

セツナくんからのヘルプが続くわね~!

ソーダ:

クランハウス集合で。

物を持って行けとかなら喜んでなんだが、モンスターを倒せ系はちょっと大変なんですよ~! 俺か弱いから。ほどほどにして欲しい。

メアリアさんたちに別れを告げて、ぴょいとクランハウスへ。

「セツナ、ミッションタイトルは?」

「ええと、『凶暴化した狼を倒せ!』だね」

「東の林のやつかな。治療院に怪我人が多くてってところから始まるヤツでござるね」

「そうそう。ほら、モモルの実持って行ったらそれが必要な理由話してくれて始まった。兵士が返り討ちにされてて、もうすぐ騎士団が出てくるだろうって」

「つまり、急げってことだな」

「東門からはどこの街に繋がってるわけでもないし、ダンジョンも2つほどあるがそこまで人気のダンジョンじゃないから、あちらに向かう冒険者はほとんどいないな」

「セツナ、後で受注手順きちんと教えてくれ。掲示板に上げる」

「了解」

「それじゃあ行こうか」