軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

82.親分から逃げ切れ!

ウシガエルの親分出てきた……。

勝てるの!? これ!!

だが、モモルの実を採るために、結構奥まで来ているんだよね。あやつ、その道中の沼、水のないところにまで上がってきてしまった。

道塞がれちゃったよお~。

よし、逃げる。クランハウス帰還……ができない、だと……。

モンスターからタゲが来てるときはダメと言うのを聞いてはいたが、これか。ポータルは行けるそう。

つまり、ターゲットにはなってるのか。

だがまて、考えて欲しい。

青髪お姉さん、つまり運営が俺に依頼をした。それは、俺が勝てる可能性があるからってことだよ。

ミュス王の時と同じ気配を感じる!!

何か攻略があるんだこれ。

ウシガエルの親分は、俺の肩くらいの丈があった。

手のひらサイズから随分と成長してらっしゃいますね。

周囲には柳に似たモモルを実らせる木。あとは、カエル。

しかし、親分じっとしたまま動かない。んん? 近づかなければ大丈夫?

試しに少し離れてモモルの実に手を伸ばした。目線は親分。

すると、びゅるるるるととんでもない音を立てながら長くて太い舌が来る。

……親分もぐもぐ食べてる。つまりこれは、俺とモモルの実を奪い合うゲームか。

ううん、時間がない。あんまりない。早めに切り上げて帰らないと、ここでログアウトする羽目になる。急ぎのクエストなんだろうから、三日後ログインしてもアウトだろこれ。

舌、切るかぁ。でも切ったら確実にこっちに向かってくる。向かってきたのをかいくぐって逃げ切るルートを頑張ってみよう。切られて悶絶している隙を狙う。

道を空けてもらうために少し奥のモモルまで移動する。親分もぬたぬたと音をさせながらこっちへ向かってきた。

他のちびカエルたちは、親分が出てきた途端、モモルの実を狙うことはやめたようだ。

手を伸ばす。そして来る方向にダガーを走らせる。

が、べちぃいぃぃぃと音をさせて跳ね飛ばされた。

ええええ……。どんな弾力。ダガーを見ると粘液がだらりとこぼれた。これのせいか?

親分は口をもぐもぐしてこちらを眺めている。

とりあえず5個は集まっている。

逃げ道を確保しているところなのだ。

俺はさらに道から外れたところへ親分を誘導するように、奥のモモルへ向かった。

ぬたぬたと親分も移動。他のカエルたちも心なしかこの移動についてくる。

カエル、カエルか……。

俺はダガーをしまう。しまう前に生活魔法で洗浄してぬめりはとっといた。

そして、モモルの実に右手を伸ばす。

びゅるるるという音がする。

同時に俺は、モモルの実と親分の舌の間に、そっと地面のカエルをひっつかんで差し出した。

右手にモモルの実の感触。

左手の平から消えるカエル。

「ごげええええ!!!」

ちっちゃい方の叫び。

「ライト!!」

生活魔法だ。暗闇の中の光は、とても目に厳しい! 俺は目を閉じて、ダッシュ。

「ライト!」

もう1つライト。ライトは、指先に灯すこともできれば、触れたあたりを光らせることもできた。モモルの実の木にライト。その後、地面で踏んだカエルちゃんにライト。

ちっちゃいカエルを踏むのはもう構ってられない。

モモルの実を食べたと思ったら変な物が口に入ってきた親分の反応は、激オコ!!

「ごおおおおお!!」

怒ってるが、食用には適さなかったのか、なんか悶絶している。それか、可愛い我が子たべちゃった系? すまんかった。

隙ができたので俺はダッシュ。後ろから舌が飛んできたとき対策に、身を低くして走りながら、両手でカエルを掴んでぽいぽい後ろに向かって投げていた。

「ごげええええ!!!」

からの、

「ごおおおおお!!」

あ、2匹目ご愁傷様。

そうやってなんとか沼地から元のフィールドに飛び出し、即帰還。

「ありがとうございますセツナさん!! それじゃあ、クエスト依頼を受けていただいてから、モモルの実をいただきますね」

「10個は無理だったんでまた次で」

「あら、また受けていただけますか? そのときは是非クエスト依頼を受けてからにしてくださいね」

「はい」

ちょっとソーダたちにお手本見せてもらおう。

三日後ですよ。いつものログイン。こちらはもう夕暮れ。

セツナ:

ソーダ! カエルの親分ってどうやって倒すの?

ソーダ:

モンスター名をきちんと教えてくれ。

セツナ:

ビッグブルフロッグ!

ソーダ:

お! 親分出たの!?

結局親分じゃねえか。

ソーダ∶

いつ出た? もう倒されたかなぁ……。

セツナ∶

前回ログイン時。今日の明け方だな。

ソーダ∶

ならまだいるかもだし、行ってみるか?

てかまあ、逃げて正解だよ。あれは氷系か雷系ないとなかなか手こずる。柚子いたら一発だな。

セツナ∶

ちょっとお手本見てみたい。

ということでフルメンバーで遊びに来た。

『牛に乗ったら暴れて大変だった』

『みんな1度は通る道ね〜』

『いや、危ないから乗らないのじゃぁ……』

魔法使い組が首を振る。

八海山も首を振っていた。

ぇー?

何の問題もなく、沼地にたどり着く。まだ夜は明けていない。時間的にも同じくらい。

だが、親分はいなかった。

『やっぱりいないわねー』

『親分気まぐれだからな。セツナのときどうやって出したんだ?』

みんなカエルに触らぬように辺りを動き回ってる。

なので、実演してみせることにした。モモルの実も採れるなら採ればいいなと。

実に手を伸ばし、西風のダガーでスパッと舌をちょん切る。

向かってきたカエルをむんずと掴んでぽいっと沼の方へ。

『セツナ殿ワイルドでござるね』

『いやー、昨日は急いでて、無駄な戦闘避けたかった。牛乗りして時間食ってたし』

『カエルとどめささないで舌だけ切られてるのは可哀想だな』

『カエルッ! 一応食材ッ!!』

ぇー。

俺は引き続きモモルの実を採取。カエルちゃんぽいっとな。

そしてこの間と同じ、5匹目を沼に放ったところで、またもや怪しげな気配がする。

『親分来たでござるよ!?』

『え、……もしかして、呼び寄せるのにカエル放り込む?』

『というよりは、子カエルとモモルの実どっちが先に採るか合戦してたら、子カエル連敗で親が出てきた感じかな、と。この後こっち攻撃されないし、でもモモルの実は採らせてもらえなかった。先に食われた』

『子どもの喧嘩に親が出てきたヤツじゃ』

『 セツナ(子) の喧嘩に 俺ら(親) が出てきたけどな』

それでは本気を見せていただきましょうか。

『え、いつも通りぱぱっとしていいのよね?』

『まあ、いつも通り』

『それじゃあ行くのじゃあぁ~』

『【挑発】! 【一身集中】』

親分を引きつけ、他のヘイトも自分に寄せる。

『【フロストサークル】』

柚子の氷範囲魔法。これは北東の方向にモンスターが流れて行く。

『【メテオレイン】』

案山子のメテオレインの円陣が、少しだけ範囲をずらし、柚子の円陣の北東を中心として火の玉の雨を降らせる。

子カエルひとたまりもない。

親分は、すっかり固まってる。まあ、そりゃ沼地で濡れてるだろうからなあ。

そして氷の吹雪が薄れてきたところに、ピロリが殴りにかかる。

何のスキルが出るのかと思ったら、普通にパンチだった。え、素手!?

『親分そんなに強くないのよ。柚子のでもうほぼ瀕死。今ならセツナくんもパンチで始末できたかもね。失敗したわ』

結論、まったく参考にならん。

『ほら、セツナ。これやるよ』

ぽいっと渡されたのは親分の皮だ。カエルの皮……。濃い緑色の皮。

『それ、お前の今はいてるパンツの元な』

あー!! 露店商人さんが言ってたカエルちゃんパンツ!!!