軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

79.閉架図書の整理整頓

「セツナさんにはこの部屋の整理を頼みたい」

そうやって案内された場所は、棚と、キャスター付き木箱。

「この木箱にナンバーが振られているだろう? それをこの床の、木箱を置くスペースに移動させて欲しい」

ほうほうほう。

「キャスター付きだから、前には難なく進むんだが、壊れていてバックできないんだよ。反対側から押したら進む」

ほう。

「一度押しすぎたら全部戻してになるから、そのときは隣の部屋にいる俺を呼んでくれ」

……ほう。

「それじゃあ頼んだよ!」

「……はい」

つまりこれは……懐かしのレトロゲーム、倉庫番!!!!!

《ミッション! 閉架図書の倉庫番が始まります。木箱は押せば進みますが、引いても下がりません。リセットをする場合は隣の部屋の司書に話しかけてください》

俯瞰して見れない倉庫番きつくね!?

とりあえず全部の木箱を確認する。ラックというか、木で作られた簡易の棚も多く、なかなか難しそう。頭の中で整理してみるが……しきれん。なので動いて確認しつつやってみることにした。

ここを押したらここまできて……いや、まずは絶対これはここに収めるという木箱を確定させよう。

木箱を置くスペースには立体的にたぶん俺にしか見えないようなスケルトンの箱が出現している。

まず奥のこれは絶対ここ。というか、奥に行くためにはこれを押すしかない。ということで一マス分だけ進めてみたり。とにかく、呼びに行くのが面倒なので慎重にやっていたら、行き過ぎた。

「うおおおおくっそ…………」

泣く泣くお隣の司書に声を掛けてリセットしてもらう。

まあ、次はあそこはミスしないぞ。

そしてやっと最後までできた。というか、木箱何この中途半端なところに置いてwww と思っていたら……。

「それじゃあ次はこの木箱を開けて中の本を棚に並べるよ。基本木箱の隣の棚に本を並べる。指定の番号があるだろう? 順番も数字をよく見ればわかるから」

木箱動かす意味よ……いやまあ、うん。ミッションなんで頑張りますよ。まだクリア宣言来ないから、きっとここまででだ。

数字を見ればよく分かるとあったが、NDC分類とかか? と思ったら……なん、だと……突然のナンプレさせられた。棚を9×9マスに見立てて、ちょっと本薄いのとかやりにくい! と思ったらウィンドウが開いて普通にサポートナンプレ出てきました。

くっそ、俺の親はニ○リヘビーユーザーだぞっっ!!

最速で解いてやるわあああ!!!!!

最初の棚は超初級。4つ目までは楽勝。5つ目と6つ目がちょっと大変だったが、なんとか終わりました。

《ミッションクリア!》

運営さんにパズル好きがいるのかこれ。

「セツナさん、どうですか……おお、もう終わったんですか。これはすごい……。助かりました。いや、本当に。一部屋全部終わるなんて思ってもみなかったです」

おれ数○よりカッ○ロのが好きだけどね。

「次を始めるには時間が足りませんね。アンジェリーナさんももうすぐ終わるそうですし、図書館内で本を読んで待っていますか? それとも先に帰られても――」

「待ってます」

「ではこちらへ」

図書館クエストやってないけど入れるらしいラッキー!!

そして、閉架図書は木で作られた簡易な棚だったが、図書館は、それはそれは、本の洪水だった。本棚にはしごかかってるんだよ。ええー。すご。リアルでそこまで本大好き本の虫ってわけじゃないけど、これは圧巻で素晴らしい。

本の棚の近くは少し照明が落とされていて、読むスペースは明るく光で照らされている。床は絨毯が敷いてあって歩くのに足音がしない。

棚が濃い色の木で出来ていて、一つ一つに装飾が施されていたり、凝りまくっててすごいなあ。

手近な棚の1冊を手に取る。

神話だったので、暇つぶしがてら読んでいた。

「お待たせセツナくん」

「お仕事終わりましたか?」

俺は読みかけの本を棚に戻す。

「ええ、こちらも無事に。大活躍だったらしいわね」

正面からは出られないようで、俺はアンジェリーナさんについて先ほどの出入り口へ向かった。表の重厚感に溢れた空間から、元の世界へと引き戻される。

出入り口のところには同じ人がいて、俺は入館証を渡す。

「いやー、セツナさんの働きに司書が感動していました。是非明日も来て欲しいくらいだと」

「えーっと、俺来訪者なので明日は難しいかな……」

アンジェリーナさんとできなかったし。もうやだし。

「私もまた来るわね。明日明後日と仕事だからその次かしら」

「じゃあ、セツナさんもそのときもし来れたら是非」

「時間が合ったらね。セツナくんは冒険者だから、色々とやりたいこともあるでしょうし」

くそう、日付合わせに来てくれてるぅ……。ログイン時間とか知ってるもんな。多分それでAIが自動的に時間決めてるぞこれえええ!!

「アンジェリーナさんの助けになるなら」

「閉架図書の整理は大切なことですもんね」

あくまで、アンジェリーナさんのためだからなっ!! 覚えておけ司書さんよ!!

今日のところはここでお別れだ。俺はまたミュス狩り。と思ったが、ソーダから声がかかった。

『セツナ~! ローレンガの運搬のお仕事入りました』

『あ、了解。クランハウス行く』

『鞄の中整理しろよ』

あー苦手なんだけどなぁ……。

クランハウスに着くと、皆がアイテムポーチと【持ち物】の中身をひっくり返していた。

これ、ゲーム時間内15分経つと自動で消える。

「ええい、部屋でやれ部屋で!!」

「部屋のタンスに入りきらなかったら、ここのタンスストレージに入れるのよぉぉ!」

ソーダはどうやらもう終わったようだ。

散らかしてるのはピロリと柚子と案山子。

「店閉まるから早く行きたいんだよ」

「アイテムポーチやっぱりもっと大きくしたい~」

「したとしてもなるべく空けてもらわないと!」

前回言うほど【持ち物】に酒が入らなかった3人だ。

まあ、俺もだが。

ただ、俺はアイテムポーチを新調したばかりで、余裕があった。今回はあれからしばらく経っている。

アイテム整理、苦手です。だって何があるかわからないからさ~持っておきたいじゃん?

「とりま部屋タンスに詰め込めるだけ詰め込んでくる」

「頼む。こいつらダメかもしれん」

ソファに座って俺もアイテムポーチよりも先に【持ち物】の中身を出した。あとはタンスの中と見比べる。

我ながらカオス。

うーん、初期の初期に太公望池から釣り上げた謎の物体も色々あるのだ。あーあとで案山子に【鑑定】してもらってから捨てるか悩むか。

まあまだ始めたばかりの俺は、なんとか身軽になることに成功。

これならもっとミュス狩りする時間が長くなるな。整理整頓大切……苦手だけど。