軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

78.アンジェリーナの騎獣

俺はまたミュス狩りと貸本屋を行き来していた。

騎獣についての本もあったので読みふけった。けっこうな種類があるらしい。

「虎タイプ、絶対毛並みいいよな。虎タイプいいな。白いの……いや、王道のオレンジタイプもかっこいいからなぁ」

ブツブツと呟きながら物色する。

飛行タイプと、地面から少し浮いたところを行くタイプもあるらしい。水面の上も滑るように走るのだと言う。

「欲しいぃぃ」

「あら、騎獣を飼うの?」

「はい、今度知り合いが連れて行ってくれるそうで」

「いいわね、街を行き来するのもかなり楽になるわよね」

「そうみたいですね」

えー楽しみすぎる!!

「アンジェリーナさんも騎獣を持っているんですか?」

「ええ。あちこちに本の買い付けに行ったりしたからね。ただ、人しか乗せないから、商人とかには不向きよね。荷馬車は引いてくれないのよ」

「へぇーちなみにどんなタイプですか?」

「私はオーソドックスな馬よ」

乗馬スタイルのアンジェリーナさんとか最高……。俺も馬でっ!! それでもって2人で並んで始まりの平原を駆け回りたい。

《称号【知の泉】を獲得しました。知力がプラス10になります》

なんぞ?

ちょうどお暇時間なので、本を返却し、クランハウスへ戻る。

ソファに座ってステータスウィンドウを開いてみたら、称号という項目が増えていた。

称号の効果は知力プラス10。

うーん、何でだろう。『生を犠牲にし、知識を求める者よ』とも書いてある。

知識とか知とか知力とか、本にまつわるとしか思えない……。

読んだ本リストを開くと、

「あ、」

さっきのでちょうど100冊だ。

セツナ∶

称号もらった〜

ピロリ∶

あら、なに!?

セツナ∶

【知の泉】。

半蔵門線∶

調べるでござる〜!

セツナ∶

効果は知力プラス10。

柚子∶

じゅ、じゅうじゃとぉ!?

魔法使い垂涎の称号じゃぁ!!

せっちゃん、どうやって? どうやってもらったのじゃ?

セツナ∶

たぶん、本を100冊読む。

柚子∶

ひゃく……日に5冊読んで20日間か。

ピロリ∶

5冊読むの結構時間食うでしょう。

柚子∶うーん、図書館昼間しか開いてないしのう……毎日1冊コツコツとをすべきじゃろうか?

半蔵門線∶

初だと思うでござる。それか性能が良いから隠されているか。

ピロリ∶

後者もあると思う。

柚子∶

うーむ。まあちょっと試してみるのじゃ。どの程度通えるか。正直、知力プラスならアクセサリーとかもあるしなぁ。タイパがどんなものか見てみようぞ!

半蔵門線∶

セツナ殿、プレイヤーに共有するでござるか?

セツナ∶

しない!!

半蔵門線∶

その心は?

セツナ∶

本読むために貸本屋に人が来たらやだからっ!

半蔵門線∶

www

ピロリ∶

www

柚子∶

www

半蔵門線∶

他3人にも共通認識としておくでござるよ?

セツナ∶

クラン内ならおけ!

八海山とか案山子も知力欲しいだろうし。

まだまだ夜はこれからだ。

俺は日課のミュス狩りに出向くことにした。

ログイン後、朝までミュスを狩り、冒険ギルドに納品し、アンジェリーナさんだ。

と、ちょうど彼女が外に出てきたところだった。

「あっ……今日はお休みですか」

残念。

「少しお仕事が入っちゃって……そうだ、セツナくん、時間はある?」

「はい! たくさんあります!」

アンジェリーナさんに使える時間は山程あります!!

「じゃあ、一緒に行かない?」

地の果てまでも!!!

アランブレはとっても広い。いやほんと。こここそ渡しの船が必要なレベル。

アンジェリーナさんについて行くと、中央を越えて、さらに奥に行き東へ折れる。

やがて見えてきたのは立派なレンガの建物だった。

「来たことある?」

「いえ、初めてです」

「あらそうなのね、王立図書館よ」

確かクエストがどうのと言ってなかったか?

「あの、俺図書館入る許可もらってないんですけど……」

「大丈夫よ、アルバイトだから」

「アルバイト?」

「ええ、手が必要だから手伝ってくれると助かるんだけど」

にこりと小首を傾げるアンジェリーナを前に、断るという選択肢は皆無だ。

筋力+30なってますからねっ! 本もたくさん運べますから。

正面玄関ではなく、左手に曲がって奥の小さな扉に向かった。窓口があり、アンジェリーナがノックすると、人が顔を出した。

「やあ、アンジェリーナさん、呼び出しかな?」

「そうなのよ~、で、書庫整理の人手連れてきたんだけどいかが?」

「それは! 助かります。また本が増えてもう我々じゃ手が回らなくなってきていたんですよ~」

親しげに話す男にイラッとしつつ、俺は後ろで大人しくしていた。

「結構腕力もありそうだね。バイト代もだすから、よろしく。入館証を発行するから少し待ってくれ」

そうして渡されたのは、俺の写真入りのもの。いつの間に!

「帰りに返してくれ」

俺は頷く。セキュリティ厳しいんだなぁ。

そういえば、図書館に入るためのクエストが面倒だとかなんだとか聞いたけど、これとは別なのか?

後で聞いてみよう。まあ、ようは図書カードとは別のようだし、違う気がする。

入館証は胸ポケットとかに差してクリップで留めるタイプだった。今は街歩き用のシャツと、パンツ、旅人のローブというユーザーがよく着ているシンプルなローブを着ているので、ローブの胸の辺りに無理矢理とめておいた。

「それじゃあセツナくん、お利口さんにコールマンさんのお手伝いお願いね」

「はいっ! はっ?」

えっ、ちょま。あ、アンジェリーナさぁあん!?

……置いてかれた。

お、置いていかれたぞお!?

「さ、セツナさんこちらにお願いします」

入り口にいた人とは別に、いつの間にか来ていた男に声を掛けられた。入館証に彼の顔写真と、コールマンという名が見えた。

「とても助かります。なかなか人手が足りなかったもので」

俺は、ちょっとショックでだんまりになってしまう。

アンジェリーナさんと仲良くキャッキャうふふお手伝いが出来ると思ったのに。

外観はレンガだったが、室内は、床は茶色の絨毯が敷かれ、濃いめの色の木の腰壁に、ベージュの壁紙だ。すごく落ち着いた色。

両側にいくつも扉があるが、ネームプレートのところに閉架図書01とか02とかあるので、表の棚に並ばない、裏にしまわれている本たちだ。

「05までは終わったから、今日は06からかなぁ……あ、アンジェリーナさんの紹介なので信用してはおりますが、【持ち物】とアイテムポーチのロックをさせていただきます。お腹が空いてしまったときは声を掛けてください。飲食禁止なので飲食スペースまでお連れします。そこで休憩をとればいいですからね」

まあ、来訪者は持って行き放題だな。大人しくされるがままになる。

《一時的に【持ち物】とアイテムポーチの使用が制限されました》

「こちらです」

さて、何をさせられるのだろう。