軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

45.ニホン酒とテーブル搬入

クランに飛んで、ストレージを漁り、つまみも持参で参りました。

「朝からすみませんね」

「酒を飲むのに朝も昼もねぇ! 入れ入れ」

朝の酒はありなのだろうか??

石造りのおうち。中はもちろん石だけじゃなくて木枠で窓を作ったり、床は木だ。面白くてついキョロキョロしてしまう。

濃い緑のお高そうなソファ。

親方、金持ちだなこれは。

「おうおう! ニホン酒じゃねぇかっ! ひっさしぶりだ。ローレンガで作ってるのがこっちまではなかなか届かないんだよ。なんせ飛行船の距離だろ? あったとしてもバカ高けぇ」

ぐい呑みどころかコップだ。うーん、これはおちょこも買うべきだったな。でもなぁ、金がなぁ。

「またローレンガ行くのでお使いは承りますよ」

「ほんとか!? それならぜひに、だな。金ねぇだろ? 先払いだ。後で渡すぜ。まずはコイツをいただいて」

一口ぐいっといくと、くぅぅぅと声を漏らしている。

なんだか、もっと買ってくればよかったな、これ。お土産で思いつかなくてすまなかった。アンジェリーナさんへしか考えてなかったわ。

すかさず、カニ爪グラタンとトンカツを出してみた。

「お、つまみか? 悪いな。いただくぜ」

旨い旨いと喜んで食べてる姿は作り手冥利に尽きる。俺じゃないけどね。

「ローレンガの建物は木で出来た物がほとんどでしたね。俺の住んでいた場所の、昔の姿によく似ています」

「ほお~話には聞いているが、こりゃ仕事が一段落したら1度建築の勉強がてら、旅行に行くのも検討すべきか?」

「まあ、風土にあった建築があるので、ここはこれでいいとは思いますけど、それでもハザックさんにしたら学ぶところは多いんでしょうね」

「俺もだが、弟子たちにも見せてやりてえなぁ」

その後はローレンガの街の話や、ハザックの最近の仕事の話、そして先日不正の疑惑が持たれた商会が、仕事を切られて街から追放された話などをしていた。

と、マルスからハト座のメールが届く。もうすぐクランハウスに着くとのことだった。

「すみません、ちょっとこれから用事があって」

「おう、ならこれを頼む」

立って奥から持ってきたのは、じゃらじゃらと音の鳴る布袋。

「全部で50万シェルだ」

大金んん!! だがちょっとこれは拙い。

「親方……今、俺、あの街の人に感謝されてて、みんな値引きをやたらとしてくれるんですよ。そこにこれだけの大金分のお酒を買ってくるのはちょっとできないです。もう少ししたら適正価格で売ってくれると思うんで、それ以降でいいですか?」

「お前、ローレンガでも何かやったのか? まあいいよ、お前の思うタイミングで買ってきてくれ! とりあえずこれと同じやつを」

そこまで言うならまあ。割引期間中に1本くらいならいいだろう。

ということで一気に金持ち気分になりました。人のお金だから手つけないけどね。

カニ爪グラタンすごく気に入ってくれたので、もう少し追加してお暇する。

そのままクランハウスへポチッとな。

家の前で待っていると、えっさほいさと大きなテーブルを2つ運んできた。……扉の大きさに合わない。まあ、足を先に入れてとかなんとかするのか。ゲームだしなんとかなるのか!

「お待たせ!」

「いえいえ、重いのにお疲れ様です」

椅子も長椅子があるから本当にお疲れ様だよ。

しかし、すごく良いテーブルだ!! 板に厚みがあって、言ってた通り足部分の彫りが繊細で美しい。

ちなみに代金はソーダがすでに払っている。

受取書にサインして完了。

「こんなすごいテーブル、みんなも喜びます」

「いやいや、こちらこそ。また何か家具が必要になったら連絡を。前に言ってたロフト型のベッドも相談を受けるよ」

「先立つものができたときにはお願いします」

ミュス狩りじゃ一生無理だし、正直部屋はログアウト用なので……泡銭が入ったらで。

別れたところで八海山にチャットを送る。

『時間のあるときにお迎えお願いします』

さすがに俺もローレンガをもう少し堪能したい。

『これからみんなで砂金採りするよ。すぐ迎えに行くね』

連絡と到着が同時だった。せっせと漁ってたEP回復用料理を慌てて【持ち物】に詰め込むと、八海山のパーティーを受諾する。

「すごく、いいな」

テーブルをすっとなでると満足そうに頷いていた。

「またご用の際は声をかけてください、だって」

「破産してしまう……」

テーブル代はかなりクラン資金を圧迫したようだ。

「アクセサリーの件も話し合いたいと言ってたよ」

「眠り石、クラン用にしたら? で、みんな耐性できたら俺の1つだけ置いといてもらって売ればいいんじゃない? みんなで狩ったんだし。たまたま俺のところにどっさり入っただけだし」

「基本的にボスドロップは振り分けで手に入れた人の物になる」

「そうはいっても、俺がやってたのは、妖精2匹小脇に抱えて走り回っただけだしなぁ」

「あれは、動画編集のしがいがあると、ソーダが喜んでた」

流す前にチェックさせてもらお。

街の雨が上がっていた。爽やかな風が吹き、心なしか行き交う人の数も増えているような気がする。

『川の方もいいみたいだぞ。近くで砂金採集キットとか売ってた。ぼったくりっぽい値段。どうする?』

『まあ別にぼったくりでも……正直街のあちこちに行って道具かき集めるのがめんどうよ~』

『それはそうッ!』

『早く、赤ガラスの材料をゲットするのじゃ~』

みんな気が急いていた。

「ちょっと酒の買い出し頼まれたから、それを終わらせてから行くよ」

「わかった。それじゃあまた後で」

お遣い忘れたら悪いので、とりあえず50万シェルのうち1本だけ買っておこうと思う。

せっかくだからその後どうなったか尋ねがてらタカヒロの店に向かう。

今日も店の前を丁寧に掃いているタカトシがいた。

「こんにちは」

「セツナ様。先日はお世話になりました」

多分10歳以下なんだよ。タカトシくん。すごいなぁ。

「また1本お酒を買いに来ました。お土産に渡したらとても気に入ってもらえたので」

「それはそれは、光栄です。さあどうぞ。父も奥におりますので、呼んで参ります」

英才教育っ!?

同じ物を買うか、またちょっと違う物を買うかで悩んでいたらすぐにタカヒロがやってきた。

「セツナ様ようこそ。おかげさまで杜氏が、水質が戻ったと言っております。しばらくすればまた御神米を使った酒を造ることができるようになります」

「良かったですね。水瓶の神様も喜ばれるでしょう」

また飲んだくれそうだ。