軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

398.ケイローンさんとお話

さて、と残りのクランメンバーがじろりと見られる。

「君たちにはそれ相応の対価を払ってもらおう」

きっとこれが修行パートだ。あの魔法使いもこき使われたやつ。

「そこの君はいいのかな?」

「何か欲しい知識ができたときにお願いします」

八海山はそう言って辞退した。今は退魔の書弐を手に入れたところだから、どこかで躓いたときに聞きたいそうだ。

「君は、銃だったな。結論から言うとある。ただ、盾と上手く使えるかは君次第だ。君にはこの課題を」

そういってペラリと紙を渡されたソーダ。

『クエスト来た。物集め、おつかい系っぽいな』

そうやって、ピロリと半蔵門線もクエストをもらっていた。

「さて、君だが。ミュスがどういった生き物かは知っているか?」

「闇属性の憎きモンスターですね!」

「ミュスに並々ならぬ憎悪を抱いているように見えるな……なぜだ?」

なぜって? 俺とアンジェリーナさんの逢瀬を邪魔した生き物だからですよ。最初の貴重な時に、あいつを狩り続けていたときに、俺の中に刷り込まれたのだ。ミュスは滅すべきと。

「獅子座の神様とも約束しましたし? ミュスは始末すべきってね」

ふむ、とケイローンは何やら考え込んでいる。そして気づいたように顔を上げた。

「さあ、君たちは忙しいだろう。もう行きなさい」

そういって手を軽く振ったら、風魔法が発動した。

『おわーっ!? セツナ! これたぶん強制退去させられてる! なんかイベント来るぞ!』

『えーってことは、ミュス関連かな? ミュスかぁ』

ステータスウィンドウのミュスの項目をざーっと目の端に映しておく。

そんな結構大切な話になるのか、ケイローンさん何してるんだこの人? ゲーム内の本では賢者については探したが、あれだな、リアルの方でケイローンについて調べないとな。

仲間の飛ばされた方を見ていると、ケイローンに呼ばれた。

「小屋に入ろう。来なさい」

歩くたびにカッカッといい音がする。お馬さんなんだよね。背中に乗せてくれたりしないかなあ。失礼なとか怒られそうなので言えないけれど。

おうちの中に椅子などという物はなかった。馬の身体で通るのが問題ないようなるべく物は置いておらず、ローテーブルにクッションとフワフワの絨毯が敷かれている。玄関で入念に蹄の裏の泥を落として、さらに生活魔法【洗浄】をかけている。

「君もここで靴を脱ぎなさい。我が家は土足禁止だ」

なん……だと……。【洗浄】したからOK扱いなのか? なら俺も靴を【洗浄】すれば……などと不埒なことを考えているのはお見通しのようで、目の前でじっとこちらを見て仁王立ちしているので、脚の装備を外しました。

靴下ってないんだけど、衣類を着て靴を脱いだときはくるぶしまでの短いソックスを穿かせてくれるんだよね。

デフォルトの白下着みたいな感じで。

毛足の長いふかふか絨毯の上を移動し、たぶん定位置のクッションがたくさんのローテーブルの横に、ケイローンは座った。俺も促されてあぐらをかく。

「さて、ミュスについてだ。もう一度聞こう。君は奴らに対して何を知っている?」

「ええと、街のどこにでもいて、たまに突然変異になって、獅子座の神様が目を光らせている相手で、原初の魔物」

そう、そうそう。ミュスは原初の魔物。

その言葉を出した瞬間、ケイローンの目が光った、ように見えるくらいギラッと、こちらを見る。

「君は、ミュスが原初の魔物と知っているのだな」

「獅子座の神様とお話しましたね」

あちらから教えてくれた単語だ。

「ミュスはこの世界のどこにでも現れる魔物だ。原初の魔物。そう呼ぶ者もいる。闇に属し、闇のために動く。闇の目として世界中で見張っているのだ」

「見張る?」

「神々を、そして、預言書を」

おお、預言書の話が出てきた。これはしっかり聞いておかねば。

「闇に潜む者もまた、預言書を手に入れようとしているのだ」

「預言書には何があるんですか?」

「さあ、すべてがあるなどと言われているが、私にはわからない。私は預言書は見ていないからな。だが、好奇心旺盛な君たちなら、見ることができるかもしれないな……第七都市に闇の魔物を研究しているエルフがいたはずだ」

あ、メインストーリーさんだ。

「その者にもよく話を聞くといい。いいか気をつけろ、やつらはどこにでもいて、我々の話を聞いている。ミュスには、よくよく気をつけることだ」

「はい! 見つけ次第デストロイします!」

俺の返答にケイローンは顔をしかめた。

「君は 細剣(レイピア) 使いか。付与剣だな。闇属性には聖属性がよく効くのだ。そういえば、第七都市の聖騎士団員に、聖属性の 細剣(レイピア) 専用スキルを知るものがいたはずだ。彼女を訪ねるがいい。紹介状を書いてやろう」

それはちょっと嬉しい。

「助かります!」

ソーダから、最近ミュス研究家が爆誕していると聞いた。預言書がらみのメインクエストを進めるにあたって、必要になってきそうだと検証勢が一生懸命やっているとか。ミュスから謎の紙切れを集める人たちが増えているそうだ。

「あ、堕落ってわかりますか?」

「……怠惰に落ちぶれたといった意味でなく?」

「モンスターにそういった名を持つ者を見つけたんです。俺たち【鑑定】がありますから」

アレも闇だ。

「……堕落、……が最も嫌った……」

何やらぶつぶつつぶやいて、まったく動かなくなってしまった。

何度呼びかけても反応がないので諦めよう! きっとスイッチが入った。何しても無理なやつだ。

『お話終わったけどみんなはどこ?』

『おー、今案山子の山椒取りに来てる。あのリンゴ見つけたあたりに放り出されたんだよ。来れそうなら来たらいいけど、途中ハマドリュアスバブーンが山ほどいるぞ』

一人ならいけるかな? ダッシュで。

そう、世に言うトレインである。

モンスタートレイン発動!! 五体のハマドリュアスバブーンを引き連れてみんなの元へ参上!!

『こらセツナおまwww』

『とりあえずとっとと【 薄氷(うすらい) 】してちょうだい!』

『こお、こおらせるのじゃぁぁ』

『【投擲】はやめてくれ。立て直すぞ』

『うぇーいッ!! たのしーッ!』

半蔵門線がHP真っ赤で回復連打してた。ごめん。ポーション投げておいた。