軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

399.お久しぶりのタパパくん

無事山椒をゲットし、他のメンバーのおつかいアイテムはそれぞれが自分で集めなければならないということで、しばらくまた別行動。

となれば早速第七都市の聖騎士団へ行く……前にアンジェリーナさんのところへ。忙しい。一週間くらいだらっとここでゆっくりしようと思う。どうせ第七都市にはまたソーダたちが話を進めるからと呼ばれるだろう。

聖騎士団もそれからでいいし、メインクエストのエルフの研究者さんもいいかなって。

だらっとさ。

本読みたいじゃん!

そう、俺の黄金ルーティーン、昼は貸本屋夜は始まりの平原。

賢者ケイローンもミュスは始末しろって言ってた。言ってたよね。うん。言ってた。

賢者より偉いはずの獅子座の神様にだって言われているのだ!

昼はアンジェリーナさん。夜はミュス抹殺隊。

のはずだったのだ。

「セツナーっ!」

俺を呼ぶのは誰だ。

頭の上に名前がなかったら忘れておりましたよ。 空人(そらひと) のタパパ君。

「久しぶりだね。タパパ君。元気してた? こんな夜遅くに外は危ないよ?」

「危ないわけないじゃん、ここら辺にいるのミュスくらいだよ」

その通り。あと、バッドバットね。愉快なコウモリ君。

でも最近は俺が明らかに強くて近寄ってくれなくなった。

えーとなんだっけ。空色の玉を見つけたんだよね。【鑑定】したら『空人の種』だったやつ。

「爺ちゃんが色々調べてくれたんだよ? セツナ全然来ないから」

「あー、ごめんね。聖地に行ったり忙しかったんだよ」

「来訪者ってホント、あっちこっち遊びに行くんだな! てことでさ、ちょっと来てよ!」

「え、もう夜だよ。寝る時間でしょう?」

子どもはお布団に入る時間だよ。

「さっきまで寝てたから大丈夫」

サムズアップしてる。無茶な設定してくるな……。

久しぶりの空の国だ。おお、プレイヤーが結構多い。宮殿は夜でも明るくプレイヤーがそこら中にうろうろしていた。俺はタパパ君にまねかれるがまま後をついていく。

羽根がある者ない者、みんな和やかに話をしているようだった。うん、よきかな。

タパパ君の爺ちゃんこと、ラパパお爺ちゃんが待っていた。もうお年寄りは寝ている時間ですよ。

「やあ久しぶりじゃな」

「ご無沙汰しております」

お元気そうでなによりです。

「さっそくじゃが、先日受け取った玉じゃがな、あれは空人の力の源となるものだった。さらに、あのファンルーアの土地は浮島の初めの土地だったようだ。しかるべき手順を踏めば浮島をもう少し増やすこともできそうだ」

「浮島って増やしたいんですか?」

「すっかり身体が空の国になれきっていてな、地上で暮らすのはなかなか難しい。かといって土地がなければ空の国は次第に衰退していくだろう。事実、地上と仲違いをしていた数百年の間に人口は半分ほどになってしまった」

「それは食糧の問題ではないのですか?」

「以前の人数を考えるに、確かにそれもあるかもしれない。が、やはり人はその空間に対して存在できる数というものがあるようだ。 無翼(ムルス) の空人がやがて地上へ向かって行ったのもそのためだったかもしれない」

むむ……卵が先か鶏が先か問題かと思っていたけど……これって、土地問題?

「もしかして、 有翼(イータ) ではなく生まれるのって、土地の広さに合わせて自浄作用が働いているとか、そんな……」

「その可能性もあるかもしれぬと思っているんじゃよ」

なんてこと。

「やっぱり 有翼(イータ) であるって大切ですか?」

「大切かそうでないかと問われれば大切であろうよ。何せ、翼がなければ落ちたら死んでしまうからな」

それはそう。空の国に住む上で翼がないってのはかなりのマイナスだ。何より危ない。

「最近はテラエトゥーラの者や来訪者がたくさん来るからな。賑やかになってきた。とはいえ、 無翼(ムルス) の者がすぐにテラエトゥーラへ降りてみようと思うかといえば、なかなかそうはいかないものだ」

この間まで戦争していた国だもんな。知らない外国で暮らそうなんてのはなかなか難しい。

「浮島を空に浮かしているのは浮遊石による。これの製造に適した土地がまた必要なんだ。そして浮遊石を作るとその土地で農作物が育ちにくくなる。暮らしにくい土壌になってしまう。だが、今テラエトゥーラが我々に望むのは空路と浮遊石だ。空路はもちろん任せてもらって構わないが、浮遊石を作ろうとすれば土地がいる。そしてそこには暮らせなくなる。空に新しい土地が必要なのじゃ」

空の国の人に新しい土地を、か。

「というわけで、今交渉中だ。土地をくれっていうのはなかなか難しいからな。しかもアランブレではなくファンルーアだ。少しずつだな」

「前に向かって進み始めたのはよいことですね」

みんなが幸せになればいいけど、このままじゃファンルーアが土地を取られるだけになるってやつだな。

「さて、問題なのはこちら。空人の力の源なる種だ」

空色の玉がラパパ爺ちゃんの手のひらの上でころころ転がされていた。

「これがどうやってタパパの言う祠に辿り着いたのか。そして、これはいったい誰が作ったものなのか」

「えっ!? 空人が作ったんじゃないんですか? こう、死に際に結晶化してみたいな」

俺が言うと、爺ちゃんちょっと動揺していた。

「空人が結晶化? いや、そのような話は聞いたことがないが……」

そうなの? あるじゃんね、よく。

「この玉を持っていると力が湧いてくるのは確かなんじゃ。おかげさまで痛かった腰がぴんしゃんこの通り。力があるものだというのは、よくわかる。だが考えてみて欲しい。これがもし、人が空人になるためのものだとしよう。これを作ったのが空人だと思うか?」

ああ、それは明確に違うだろう。ファースト空人がいたはず。ミトコンドリア・イブみたいなやつ。

「これを見ていると不思議な気持ちになってくるのだ……よかったらこれの来た道を辿ってはくれまいか?」

そうして、俺はラパパ爺ちゃんからこの空人の種を託されたのだった。

「よかったらタパパも連れて行ってやってくれ。君との旅がとても楽しかったようだ」

たぶん俺とのというより各地でご飯食べまくったのが楽しかったんだと思いますよ。