軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

396.賢者に会うための赤い実

荷物をしっかり準備していざ賢者への道。

『賢者で星座関わりだと、ケイローンでござるね』

『ああ、ケンタウロスよね。馬に身体がくっついてる。射手座の』

『同一人物ではないらしいな』

そんな話をしながら進んでいく。と、レベルが上がった。

レベルが上がると俺はすぐ器用さに振ってしまうが、みんなそれぞれきちんと考えてステータスを上げているらしく明らかに強くなる。

『せっちゃんは足も速いし知力も【知の泉】であがっているし、十分強くなってるのじゃ。あとは自分の好きなようにしたらいい。殴るのはピロちゃんに任せておけばいいのじゃ』

とは、柚子。

『俺っちたちも好きなようにやってるしねッ!』

案山子もそう言うが、二人はちゃんと自分の役割魔術師としての強化も怠っていない。ようやく案山子も貸本屋通いを始めたそうだ。【知の泉】がバレたようで、貸本屋が賑わっている。それでなくてもイケメン目当てのプレイヤーが多い第七都市だが、全部満席の立ち読みまで現れる始末。

それでも、第七都市や第五都市は席数が多い。アランブレはテーブルが二つしかない。やっぱり内緒にしておかないと。あのゆったりした空間を邪魔されたくない。

ちなみに俺は定期的にちゃんとアランブレに帰っている。隙間時間はフル活用。ちゃんと本の数も積んでいる。読む速度が速くなっているのが地味に効いていた。

もちろん賢者に関してもしっかり読んできている。

『ほら、魔術師の師匠のご先祖様、ローハンザラハルも賢者に会ったって』

俺がアランブレで読んだ本の話をすると、柚子も頷く。

『魔法使いの憂鬱、というタイトルの本じゃろ? あれ、魔法使いのじいさんの愚痴本だったのじゃ。その中の賢者に会ったっていう項目は私も覚えているのじゃ』

柚子の言うとおり、愚痴だった。

愚痴とマウントと愚痴! 賢者の元で特別な兄弟子にしこたまやられたときの怨嗟の記述といったらなかった。

『賢者は弟子に考えさせるタイプみたいなのじゃ』

『あら……時間がかかるタイプなのかしら』

『どうじゃろ……? 魔術の真髄を学びたいとお願いしたけどずっと薪割りさせられたって書いてあったのじゃよ』

それの愚痴を長々と読みました。

『さてと、この辺りだなー。どうだ? 赤い実あるか?』

『手分けして探すには危険が危ないでござるから、まあ気長に探すでござるね』

そう言ってる間に【気配察知】さんがバブーンの接近を知らせてくれる。

夕方街を出て、今はもう真っ暗。夜中だ。【夜目】があるから助かっているが、普通だったら森の中を歩くことすらできない。

ハマドリュアスバブーンを倒してから、俺たちは再び目をこらして森をさまよった。

『あ、アレじゃないッ!?』

案山子が左手の木をさす。

その先には、つるりと丸い、赤い実。

『知恵の実でござるね……』

『賢者だからってことお?』

赤くて可愛いリンゴがなっていた。

半蔵門線が石を投げようとするのを止める。

「【引き寄せ】」

生活魔法万歳。

『さすがマイスターでござるね。拙者も覚えたでござるけど、この距離だと発動しないでござる』

『私もだいぶ埋めてきたのじゃ。貸本屋に結構揃っているのじゃ』

あれ、全部は揃ってないのか。アンジェリーナさんが教えてくれたんだけどな。

一つ見つけたらその周囲の木にいくつもなっているのを見つけて、人数分を手に入れる。

『それじゃあ食べるぞ-!』

せーのでみんなでパクリと。かなり小ぶりでなんなら一口でいけてしまいそうだが、種や芯があるので囓りました。

『ほどよい甘み酸味と固さッ! これはフジ系ッ!』

とても美味しいリンゴだった。

そしてリンゴを食べたら世界が変わる。

『おおお!?』

ソーダが驚きに声を上げ、みんなもびっくり。だってなんか、木が光り出したんだ。

『キラキラしてて綺麗ね』

『知恵の実を食べたら、賢者への道筋が光り出す?』

『なんたらまっしゅるーむ系を食べて幻覚でも見えてきたのではござらぬか?』

キノコは、このゲーム内でも危険な食べ物らしく、案山子が何やらいつも試していた。

『まあとにかく行ってみようか』

八海山の言葉にみんなが頷き、最大限に注意して進む。

不思議とモンスターには出会わなくなった。【気配察知】さんがぶっ壊れたのかと思った。何も遭遇せずにただひたすら進む。

『とっても綺麗なのじゃ』

『緑や黄色や青の蛍光色が夜の森に映えて幻想的な道だわ』

みかけ女子二人が楽しそうだ。

俺もちょっとワクワクする。

そうして光の道が途切れた先には森の中に似つかわない大きな広場とこじんまりとした小屋があった。

小屋の窓から明かりが漏れている。

『あれが賢者の棲まいッ!』

『明かりがついてるってことはまだ起きてる?』

『えーでも、こんな夜中にお邪魔するのは迷惑なのじゃよ~』

『そうねー。でもここから離れたらリンゴの効果が切れたらきっと来られないやつよ』

『んじゃ……ここで飯でも食ってるかぁ』

ということになりました。丸太が横に倒れていたりするので、めいめいそこへ座って持ってきていた案山子のご飯を取り出す。

『せっちゃん何気に海鮮好きじゃな』

『いやあ、聖騎士団のやつら生ものよりもカツ丼と牛丼に流れるからさ。どうしても余る。もちろん好きってのもある。サーモンといくらの親子丼めっちゃ美味い』

ずっと持っているのを食べているんだ。

『あそこの鮭はまた取りに行きたいな』

『鮭トバ作りたいッ!』

『行くのじゃー! そーちゃんの盾の耐久値だけが心配じゃ』

『音がすごいでござるからね』

『鮭トバ持って行ったら修繕費負けてくれないかなあ』

などとのんきにお食事会をしていたら、突然小屋の扉が開いた。

「人の家の外に誰か来たと思ったら、なぜ君たちは訪ねてこないで食事をしているのだ。しかもそれは何だ。見たことがない!」

ちょっとオコなケンタウロスさんがいらっしゃいました。

上半身裸と思っていたのに、なんかシャツ着てらっしゃるよ!! 配慮? 配慮なのか?

俺たちは慌てて食べたものをしまう。

「いや、夜中に申し訳ないなと思って朝になるまで待とうかと……」

「気配を消しもしないでたむろっている方が気になる!」

【気配察知】を持ってらっしゃるのかな。それは申し訳ない。