軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

334.セークティオさがし

オルロさんの書き付けや戦いの記録から、この大きなへこみのあたりでセークティオが失われた可能性が高い、ゲートの向こうへ一緒に行ってしまっているならそれはそれで。

でもゲーム性を考えるならあると思うんだけどなあ。

と、調子っぱずれな鼻歌が聞こえる。

「にゃにゃっと参上、その場は惨状」

何? ラップ??

「ばばっと登場、俺上等」

ラップだ。一応。微妙だけど。

声の主は白いトラ騎獣に乗っている……茶髪の猫耳少年だった。

「猫じゃらしさん?」

「おぇっ!? ちょ、やめて恥ずかしい、聞いてた!?」

ロジック・ロジカルの猫じゃらし、オリオンクエストでお世話になった獣人さんだ。

「俺参上いぇーい?」

「やめてーっ!! ってセツナ君に先乗りされたっ!! 絶対まだ出てない情報だと思ったのに! ちなみに派閥は?」

「えーと、公爵様側ですね」

「セーフセーフ。同じ派閥か~。剣探しだよね」

「ですねー」

猫じゃらしは、ウロブルの伯爵様にコネがあったそうだ。学園には参加していなかったので、のんびり伯爵様の頼み事関連のクエストをしていたら剣の話を聞いたという。

「子爵のくせに公爵家に楯突くってどゆこと!? をひどく遠回りに聞いたら、セークティオの話を教えてもらったのさ」

やっぱりルートがあるんだな。穏健派の剣に辿り着くルートとしてはこれが一番なんだろうね。

俺のはちょっとイレギュラー。でもでも、情報ギルド員の日記(本人は否定している模様)から情報を得たから一つのルートではあるはず。

「セツナ君録画OK?」

「いいですよ~」

「んじゃ参りますか~」

「はーい」

【木登り】で降りて行くのだが、あれ……猫じゃらしさん早い。とても早い。

「ええええええええなんでぇぇぇぇ!!!」

ずるずるずるっと壁を掴む格好をしていたのに落ちていく。

壁にとどまれない猫獣人と、なぜかとどまる俺。

結局底まで一直線で落ちていった。まあ、幸いにもなだらかに底へ向かっているのでジャンボ滑り台を滑っているような感じだ。ちょっと急斜面のやつ。

落ちるのは嫌だったのでゆっくり【木登り】で降りていくよ。あと、服の耐久値減りそうだ。お尻に穴が空くのは避けたい。

「猫じゃらしさん、大丈夫ですか?」

「……うう、怖かった。ジェットコースター拒否勢にはキツい。セツナ君はなんで落ちないの? 俺だって【木登り】持ってるのに」

「たぶん、生活魔法マイスターって称号持ちだから?」

「マイスター!?」

「今出てる全部の生活魔法を覚えてるからですよ」

「oh……それはすごい」

まあ、気を取り直してあたりを捜索することにする。

とはいえ、ぽいっと出てくるようなことはないだろう。何かヒントはないだろうか?

「猫じゃらしさんは、セークティオがどんな剣か聞いてますか? 何か見つけるヒントになりそうなことがあればいいかなって」

「うーん、俺がここに来ることになった流れが、子爵が王家の弱みを握っている。セークティオが繋がりを斬る剣で、それを王家と他の人々の間に使われたくないから、子爵の横暴に黙っていると」

同じようなことしかないのか。

「ウロブルの伯爵様が、もしセークティオが衝撃で地中に埋まっているのなら、来訪者なら見つけることができるかもしれないごにょごにょ、みたいなことを言ってたなあ」

来訪者なら。

つまり来訪者特有スキル。それは、【鑑定】!

「【鑑定】」

何の変哲もない土地を鑑定する。

結果は、『反発に巻き込まれてくぼんだ大地』だった。たぶん、ゲートを閉じる反発、だよね。

「とりあえず端から【鑑定】していくんで~」

「俺も地面蹴りながら歩いてみる。あと4時間くらいで寝ないとだもんなー時間がない!」

そう、今真っ暗。もうすぐ起床時間です。

それでも【夜目】があるから活動できた。片っ端から【鑑定】。あの鍵【鑑定】地獄のとき並みに地面をずーっと調べ続けた。

「セツナくーん! こっち。ここは?」

ログアウトまであと二時間というところで、猫じゃらしが俺を呼ぶ。なんか、ずーっと走ってたけど、何をしているのかと思ったら地面の感触が違うところを走って確かめていたと。肉を喰いながら走るというなかなかお行儀の悪いスタイルだった。

で、周りと違う感触の場所を見つけたのだ。

「【鑑定】、おお! 『他より隔絶された場所』って出ます」

「いいねーっ! 斬ってしまってるってことかな。よし、掘るぞっ!」

俺は採取用シャベルしかなかったのでちまちまと。猫じゃらしは大きなシャベルを持っていたので足でぐっと差し込んでどんどん土をよけていく。

「おっ! 当たり!!」

がっ、と何かに当たったような音がして、俺が急いでその周りの土をかき分けると、剣の刃が出てきた。

「あぶなっ! セツナ君斬らないようにね」

十分注意して土の中から取り出したるは、セークティオ!

「聖剣セークティオって出ました!」

「いぇーいっ!!」

真っ暗な中で長々土をかき分けただけある。

「それじゃあ登って帰りましょうか!」

猫じゃらしがしょぼんとした顔でこちらを見ていた。

俺が先に登って、猫じゃらしが持っていた丈夫なロープを垂らすと、それを持ちながら【木登り】で無事に大穴を脱出した。

「セツナ君いなかったらアランブレに帰ってだったな~俺ウロブルに移動拠点ないんだよね。助かった」

アランブレにはクランハウスがあるそうだ。

さて、これは誰に渡すのが正解か?

「ウロブルの伯爵に渡すか、セツナ君が聞いてきたルートで渡してもいいかな?」

「モティスファ公爵家に渡すのがいいのか、それとも王家に渡すのがいいのか?」

うーんと悩ましいので今日はもう遅いし解散することにした。

剣は猫じゃらしに渡しておく。

「じゃあ明日ログインしたところで話し合おう」

フレンド交換して、アランブレの自室で寝転がってログアウト。今日は頑張ったよ。15分だけ時間を取ってベッドの布団の柔らかさにまみれてみました。

何でも最近、ゲームの中で寝るのがはやっているらしい。モヤシラがそんな話をしていた。

次の日、ログインする。すると、猫じゃらしもアランブレにいるという。

「遊びに行っていいー?」

と聞かれ、一応ソーダに聞いてからご招待しました。ソーダたちはまだ学園であーだこーだしているという。

「いやー、起きてしばらく考えていたんだが、やっぱりこれ、王様に渡す方がいい気がする」

「その心は?」