軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

335.伝手のたどり方

本来のセークティオ持ち主ロウォール子爵にははなから渡す気がない。

順当に行けばモティスファ公爵へ渡し、セークティオがないロウォール子爵に圧力をかけて倒してもらうのが本筋だ。

「いやな、ほら、今この剣を手に入れてるのは俺たちだろ? たとえばモティスファ公爵へ渡しても、学園では他のモティスファ公爵令嬢側の人間たちの利益になるだけなんだよ。もちろん、俺たちもなんかあるだろうけど、感謝されるのはモティスファ公爵だけ!」

つまり、王族に恩を売ろうというのか。

「王様がどっち陣営を実際支援したいかが見当がつかないんだよ。だから、なんなら直接トップの王様にこれを献上するんだ」

「とっても面白いと思いますが、猫じゃらしさん、王族に謁見できると思いますか?」

「思わないっ!」

胸を張って答えられた。

「王様に渡そう案件はとても面白そうなので同意ですが、期限を決めましょう。俺は見ないんですけど、掲示板に剣の名前がちらついたら諦めてウロブルの伯爵様に届けるってことで」

「そうだね。確かにかっさらわれても面白くない。てことで王族に繋がりそうな貴族とコンタクト取れる?」

繋がりそうな貴族……アンジェリーナさんとお仕事をしに行ったお貴族様? 確実に派閥がモティスファ公爵だから、話しに行った時点で剣を差し出すはめになりそう。

「むしろ派閥の人はダメですよね」

「そー! 難易度高い」

「王様に謁見できるような功績もないしなあ」

ないなあ。

「案外商人からの方が繋がりにいけるかもしれない、とか?」

「セツナ君の知ってる商人って言ったら、変態エルフの商人だろ? あれ、金の亡者だぞ」

どうも、他のプレイヤーたちからのファマルソアンさんに対する評価が悪い。そうとう阿漕なことをあちこちでしているのだろう。

「俺は金はあるけど、不当な金は払いたくないタイプだ!」

猫じゃらしが胸を張る。

まあそれは俺も同じだ。

「貴族の知り合いがいても、相手がどちらの派閥かわからないのが問題なんですよね……」

うーん。聞くのが早いかなぁ?

「ちょっと伝手を辿るので、また後で連絡をしてもいいですか?」

「お、どこかいいとこあるやつ?」

「この剣の話のヒントをくれた人のところに行ってきます」

一緒に行こうと誘わなかったことで察してくれたのだろう。分かったら教えてくれと、クランハウスを出ていった。

まだ夜中ではない。オルロならきっと起きている。

俺はぎょろちゃんにまたがりイェーメールを目指した。

案の定、オルロは店のカウンター奥で眼鏡を掛けて本を読んでいた。俺の姿を認めると、少しだけ驚いた顔をした。

「どうした、今から読書か?」

「いえ……ちょっとお知恵を借りたくて」

「ふうん、それは、依頼かな?」

だよなぁ、そうなるよな……。金額が、怖い!!

「欲しいことを言うので、金額を聞いてからでいいですか?」

「もちろん。その場合お前がもたらした情報については――」

お、言わないとかそういった契約するのか?

「こちらに必要なら金を払おう」

「情報抜かれるだけのやつだーっ!!」

「情報屋に問うとき、お前も情報屋に問われてるのさ」

「秘密厳守とかそういった話は……?」

「もちろんあるさ、当たり前だろう。冗談だ」

ニヤニヤ。

おじいちゃん、若い頃やんちゃの民だった気がするなぁこれ。ぐぬぅ。

まあ、こんなやりとりしている暇はない。猫じゃらしを待たせている。

「俺が知りたいのは、国王陛下にお会いできる、または、直接話をできる、今回の騒動から一歩引いたところにいる人と繋がりを作れるか、ですね」

「……また、難しいことを聞いてくるなあ」

「やっぱり難しいですか」

「セツナが関わりのある貴族を1度言ってみてくれ。ここは、今回聞くだけだよ。すぐ忘れる」

「別に後ろ暗いところはないからいいですけど……」

と、いうわけで都市ごとに思い出して挙げていくが、どこも直接は難しそうだ。イコルム子爵のところもバリバリのモティスファ公爵派で、頼んだら即公爵様に連絡が行きそうだ。

「うーん、イェーメールも結局公爵に連絡だろうな。王家に直接何かを言うことはできるかもしれないが、今のアスター家の当主は公爵に進言する方を選ぶだろう」

「ローレンガもお貴族様との関わりは全然で、ウロブルも」

「ウロブルも現当主は公爵派だったな、ファンルーアが子爵派だが、そうなるとファンルーアの子飼いはほぼ子爵派だ」

現当主というところでそういえばと思い出す。

しかし名前は思い出せないのでステータス画面で確認した。

「えーと、ウロブルのヴィランウェバ伯爵のところの前伯爵様? モーゼス様とは少し面識があって、お礼の保留をしていますね」

俺が言うと、オルロは驚いた顔をする。

「すごいところにパイプがあるじゃないか。前伯爵は前国王陛下の学友だぞ。しかもかなり仲の良い、な。娘が現国王陛下の第二夫人だ」

それはどでかいパイプを発見。

「お礼とするにはでかすぎるか……とりあえず当たって砕けても公爵に話が行くだけなので行ってみようと思います!」

「それがよさそうだな」

そう言って手を出された。

「情報としてはそれほどだから、5万シェルに負けておいてやる」

「くぅっ……しっかりしてるっ!」

「情報は高いんだよ」

泣く泣くお支払い。情報ギルドの情報を渡すわけにいかないので俺の持ち出しです。

猫じゃらしに翌日ウロブルで落ち合うよう連絡を入れて、時間つぶしのミュス狩りに精を出す。夜通し頑張って、冒険者ギルドに納品するとウロブルへ飛んだ。

「あ、セツナ、お前いよいよ危ないぞ。絶対学園には近づくなよ」

「うわっ……それは時間がなさそうですね」

「時間がない、というか、全面衝突だな。来訪者も結構関わってるらしくてな。代理決闘だなんだって話が出てる」

「おお……それは拙い」

「学院の中も安全とは言い切れん。いつ難癖つけられるかわからん。研究室に籠もっているのが一番だぞ」

残念ながらそういうわけにはいかず、お礼を言って表に出る。猫じゃらしからは連絡が来ており、朝早くで大変申し訳ないがお屋敷に凸することにした。

「セツナ君、今日夕方に学園で代理決闘だそうだ。しかも何組も戦うらしくて、ピロリもやるってよ」

「喜んで戦いそうだ。ええと、俺たちのスタンスは、これ以上争って怪我人が出るのもよろしくない、なんとか丸く収めるのがいいと思うみたいな、いい子ちゃんムーヴで行きます!」

パーティーを作って門番さんにお願いした。

「いつぞやお助けしたセツナです。モーゼス様にお願いしたいことがあります。お目通り願えますか?」