軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

326.アリンさんの尋問

現在親衛隊のみんなが常駐しているのは、もちろん親衛隊スレではあるが、ミュス王スレも監視対象らしい。

「監視って……」

金髪ロングヘアー、白いローブに青緑の刺繍。変わらずの清楚系な装い。

「あ、もしかしてそれヴァージルカラーかっ!」

「そうですよ。愛する人の色を身につけるんです」

にっこり頬を染めて言う姿は大変可愛らしい女性である。

「さあ、お話をお聞かせくださいな」

しつこそうなのでクランハウスに行くことにしました。

お上品にストレージの紅茶セットをお出しする。

「アリンさん、本鯖大丈夫なの?」

「本鯖ですか? トップランカーとまではいきませんけど、それなりに頑張ってますよ。あちらはあちらで楽しんでおりますが、ヴァージル様情報が気になって夜しか眠れませんの」

「ゲームがはかどって何よりです」

ミュス王スレでソーダがミュス王を出した人に接触しているのを見て、何か察知したらしい。

「最近マスター様があのようにスレに降臨されるときは、セツナ様関連なことが多いです。そしてセツナ様と言えば愛しのヴァージル様です。しかもミュスでしょう? ヴァージル親衛隊にとってミュスはホットスポットですの。これは何かあると思いましたわ」

恐ろしい嗅覚である。と言うかこれ俺が試されただけとも思えた。

かまかけられた感。

「えーとですね。ヴァージルのクエストを終えてしまったアリンさんには大変残念なお知らせにもなるかもしれないのですが」

「本鯖のヴァージル様露出が増えるのは悪いことではありませんわ」

「そばにプレイヤーの女性アバターがいても」

ヒィ……顔。いきなり表情止めるのやめて。

「……節度を守っていただければ構いませんのよ」

「守れるのかなぁ……」

どうなんでしょう? 俺、アンジェリーナさんと絆になったらすべてを放り出して一緒に貸本屋経営するよ。

「結論から言うと、謎の紙切れをまた見つけました」

「まあ! ヴァージル様クエストへの切符と言われてるあの!!」

「ただ、またミュス関連だったので、うちの鯖でヴァージルにそこまで入れ込んでいなくて、ミュスをほとんど狩っていない人に拾得できるか聞いてみたら、できなかったんですよ。ほら、何がフラグになるかわからないじゃないですか。もし情報流して、他の鯖のまだクエストしてない親衛隊の人がどばっと試して……」

「皆まで言うなでございますわ。お気遣いありがとうございます。検証をしてくださっていたのですね。……それに、その謎の紙切れを他鯖で簡単に手に入れられて……ヴァージル様と絆を取りにいった者が出たらまたそれはそれで大揉めしそうですわね。それほどに、簡単に手に入るのですわよね?」

「まだわからないけど、ミュスずっと狩り続けるよりはましかなという。ただ、まったく狩っていなかったら取れないってのもわかったけど」

「もしかしたら、このサーバーだから取れないのかもしれませんわよ?」

「そうだね、そういったこともあるから、色々と試してみないと」

「ヴァージル親衛隊で、未だクエストをしていない者はごくごく少数ですの。彼女たちは大切にしなければなりませんものね」

「たぶんあの紙切れを持った状態でメインクエスト進めて、ヴァージルに会わないとなんだよなぁ……」

「すでにゲームを始めている者はほとんどが絆は結べないと言うことです。ですので、セツナ様、色々試すのはこちらでやりますので情報を寄越せですわ」

脅しっ!! 可愛く笑顔で脅された! でもまあ、その方が手っ取り早いかねという話に。

「検証して謎の紙切れを手に入れられるならば、今後新規参入者のヴァージル様好きがもしかしたら絆を結ぶことができるようにして差し上げるのがよろしいかと」

「そこを許容できるのが偉いなぁ」

俺、できないよ……。だから未だにアンジェリーナさんのこと隠してるのに。

「その者をクランで囲えばいいのですわ。わりあいヴァージル様はマスター様のクランの方とも行動をともにしているようですし」

あ、欲望だったわ。

俺たちの方で検証するより事細かにやってくれそうなアリンさんに託すことにした。ソーダにも相談してOKということになる。

ソーダ:

ミュス王出した人はやっぱり謎の紙切れ手に入れられたそうだから、ミュスの狩り数によるな。

セツナ:

ミュス王出すほどなのか、それともってやつだね。

ソーダ:

メイン終わらせてないやつが図書館クエスト終わらせるの大変だけど。

セツナ:

イェーメールの貸本屋でも教えようかなと。ただ、貸本屋から出るかわからないや。

ソーダ:

それこそアリンさん使えよ。貸本屋行ってから、ダメならアランブレ行ってこい。貸本屋の存在も少しずつ流してる方がいいと思うぞ。

セツナ:

わかった。

「アリンさん、まずイェーメール行こう」

「イェーメールですか? アランブレの図書館なのでしょう?」

「メインクエスト終わらせる前の段階の人がさ、図書館クエスト終わらせるの大変じゃない?」

「……大変ですわね。一応全支援して終わらせられるものではありますが。おつかいクエスト系なので。ただ、時間がものすごく掛かりますわ」

「みんなあんまり知らないみたいだけどさ。イェーメールに貸本屋さんがあるんだよね」

するとアリンさん目を大きく開いて驚いていた。

やっぱり知らないのか。

「お金はとられるけど、図書館クエストする苦労を考えたら貸本屋にあるならその方が楽かなって。とりあえずそっちで試して、ダメだったら図書館へって、ここの鯖、図書館クエストは……?」

「終わらせておりますよ」

「なら行こうか」

道中ぎょろちゃんを見せてくれとせがまれ、一緒に歩いて移動だ。ぎょろちゃんがみゅすをべろんとやって放り投げてくれるのを俺が 細剣(レイピア) で刺している。

『曲芸のようですわね』

『可愛いでしょう』

『ええ。希望の騎獣が出るまでサーバーを変えている猛者もいらっしゃるようですよ。特に珍しいものが欲しいわけではないようですが、トラ系がどうしても出ないとか』

『トラ系いいよね。足が太い、猫』

『しかも長毛がいいようで。とはいえぎょろちゃんのようなレア種よりはずっと出やすいはずなのに5鯖目でも討ち死にしたとか』

『リアルではなかなかできないことだから、やりたい人はとことんやればいいと思う』

『ですわね』

笑顔が素敵なアリンさんだった。