軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

327.貸本屋をご紹介

気難しいお爺さん系な気がするから、きちんとご挨拶からお願いしますと言ったら、それはもう丁寧にご挨拶。

行儀の良い子はOKらしく、一応カモフラージュに本棚を行き来する。

『こんな場所、初めてですわ。確かに、NPCのお店の通りでもないし、プレイヤーの露店通りでもない。領主関連や神殿からも遠く住宅街の中。滅多に来る人はいないかもしれませんわね』

『たまたま見つけたんだけど、ゆっくりできるからいいんだよね』

『でもこれで本が見つかれば騒がしくなるかもしれません。よろしいのですか?』

『まあ、別にいつもいるわけじゃないしねー』

入り浸ってるのはアランブレですし。そちらがすぐにバレなければ。そのうちバレるのはまあ想定している。

『セツナ様は本当に他の方が通らないルートを辿っていらっしゃるんですね』

『意識したことはないけどね~。そんなバリバリ進める気なかったし。結局なっちゃってるけど』

『それだから、こういった場所を見つけられるのかもしれないですわね』

初心者向けの棚を見ていると、あったあった。例の本。

「こちらをお借りしたいのですが」

「1500シェルだ」

ダミーというか、1冊だけというのもなんなのでと、初心者用のものを3冊借りるアリンさん。俺も別の棚から適当に借りる。

「なんだ、彼女か?」

気を遣って小声で聞いてくるオルロさんに、俺は即座に否定。

「ちが「違いますわ」」

かぶせて思い切り否定されました。

オルロさんは俺を見て肩をすくめる。可哀想な目で見ないでくれるかな!?

それに、貸本屋繋がりでアンジェリーナさんの耳に入るのが嫌だ!

『ありませんね』

『残念。図書館だね』

まあそんな気はしていたんだけどね。

図書館クエスト頑張ってもらおう。

『そう考えると、ヴァージル様との絆を得るのは本当に、偶然に偶然を重ねなければならないのですね』

『ミュスやってたらなんとかなりそうだった気がするけど……ほら、他の鯖で地下下水道行ったって言ってたし』

『何度でも言わせてもらいますけれど、あのようなミュス狩りは狂気の沙汰なのですよ?』

『あ、はい』

あのころはミュスを始末できて、アンジェリーナさんのところで本を読めればいいと思ってました。

『とりあえずまずは親衛隊の幹部で話し合って、試してもらうのを依頼する人を選別しますわ。その後、ヴァージル様クエストをやっていない知り合いのプレイヤーにやっていただいて……』

『クラン内の人は?』

『本鯖のクランは全員ヴァージル親衛隊ですのよ?』

『あ、はい』

同じ趣味の子で集まってるのか。

『金策が必要になりそうですわね……頑張らねば』

『俺へのお礼はいいから本鯖頑張ってね』

『お気遣いありがとうございます。先日の聖地の写真も本当にありがとうございます。聖地の話はいつ頃動画になるのでしょうか? ヴァージル様が試合に出ることになった経緯などを知りたいのですが』

『俺のチャンネル、ショート専門だったのに……』

俺のぼやきに菩薩の笑みを浮かべるアリンさん。

『ふふ、諦めてくださいませ、私たち、1つ、危惧していることがございますの』

柔らかな笑みが真顔になる。

『絆は、全ワールド通して1人しか結べないという可能性があります』

『ひぃっ……』

え、そうなの!?

『他の絆を結んだ方々を真似てフラグを踏んだはずの人が、絆を手にできなかったという話が結構聞かれていますのよ。確かに、絆は偶然が生み出すものですが、それでもクリアできるようになっています。由香里さんのお相手のお嬢様なんて、とても可愛らしいでしょう? 男性プレイヤーがこぞって、いえ、女性プレイヤーも試そうとして討ち死にしているのです』

『まさかヴァージルも……』

『可能性がありますでしょう? だからね、セツナ様。セツナ様が供給してくださる動画や写真はとても、とても大切なのです』

『あ、はい』

『動画編集者をご紹介したいくらいですが、秘匿している情報もございますでしょう? だから、頑張ってくださいませ』

ヴァージルを手に入れた者としての業が深い。

オルロに返却し挨拶をして図書館へ。

この鯖のアリンさんはあまりミュスを狩っていないらしい。予想通り謎の紙切れは出なかった。

『本鯖で1度行ってみますわ』

『頑張ってください』

『セツナ様も、また何かヴァージル様の続報が来たら是非お声がけください』

そう言って、1人の男を愛する女性は去って行ったのだ。

俺何してたか忘れちゃったよ。うん。

まあ第6都市への道出したし、ソールさんもすぐ見つかったようだ。ただ、まだ門が開いていないとか。

また謎解きあるのかな? 第7都市が開く予定なのは、あれか、飛行船で行けるから開いちゃうやつ。

せっかくなのでアンジェリーナさんのところで乙女座について調べることにした。

乙女座は、モデルがいくつもあるのではっきりと定まってはいないが、有名どころだと冥界の王プルトーンに攫われたデーメーテルの娘、ペルセポネと言われていたり、豊穣の女神デーメーテルとも言われていたり。

このゲーム内の乙女は……自由でした。

自由恋愛の民なのかな?

おかしいな、正義の女神が元だったっていう話もあったのに。

乙女座の神は、この世界のすべてを愛する女神だという。太陽が昇れば東の街へ行き愛を囁き、日が沈めば西の街へ行き恋人とひとときを過ごす。夏になれば南で愛する者とバカンスを楽しみ、冬は北で暖炉を囲んで夫とキスをする。

ヤベえヤツだこいつは!! 女版ゼウス!!

そんな乙女、恋の記録をつけるための羽根ペンを持っているらしい。

違うだろ! それ、正義を記録するための羽根ペンだろう!!

俺はそう聞いたのに、ゲームでは恋の記録らしい。

恋愛遍歴を記した日記とやらもあるらしいです。もっとマイルドに書いてあったけど、要約すると乙女の恋日記だって。

過去の恋も現在の恋も未来の恋も全部素敵な私の恋★

みたいなことがね、書かれてました。

誰だよこれ編集したの。神話系は、詠み人知らず、みたいに作者なしで編纂されてますよ。

ちなみにそんな乙女座が1番愛した神がいたらしい。誰か書いていなかった。誰なんだろうな。神様ってことは十二神? 水瓶座……はねえな。どうやら面食いっぽい。魚座もないね。

双子か? 双子なのか?? それで相手にされてないとかか??