軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

321.アンジェリーナさんのおつかい

ウロブルの学院もちょっと危険と言うことで、俺はアランブレにいる。

いやね、アンジェリーナさんに火の粉が掛かるなんてことはないと思うけど、ほら、危険が危ないと大変じゃん? そばにいていつでも守れるように!! 面倒事は引き受けますよ!

ということで、聖地に長々いた分、貸本屋で英気を養うことにした。

……普段の最高のルーティンだけどね。

最近は雑談もするようになったのだ。前回ナイフを持ってきたときは聖地の図書館の話をしたが、今回は聖地の貸本屋の話を。

「ロンね、彼も仕事熱心よね。聖地は様々な人種が集まっている土地だから、開店時間もかなり長いらしいわ。店員も雇ってはいるらしいけど、彼責任感が強いから」

アンジェリーナさんから語られるロンに微嫉妬してしまう俺。

「そういえば、セツナくん、トーナメントに出たらしいわね! すごいわね!!」

「いや、成り行きで……すぐ負けちゃいましたけど」

「トーナメントに出場するだけでも大変だもの。冒険者として箔がついたわね」

アンジェリーナさんに褒められたってだけで、出場した甲斐があった。嬉しい。

と、そうそう。今日は原初の魔物について調べようと思っていたんだ。

「アンジェリーナさん、モンスターの詳しいというか、学術的に調べているような本ってありますか?」

「学術的……うーん、難しいわね。ちょっと待ってね」

「あ、それかミュスについて書いてある本とか」

「ミュス……?」

「はい。その、ミュスを原初の魔物という名で呼ぶ方がいて……」

「原初の魔物、ね」

考え込むアンジェリーナさん。

「うーん……そういった学術的なものは、ウロブルの貸本屋にあると思う」

「ウロブル、ですか」

今一番行きたくない場所なんだが。

「その顔は知ってるのね。そうなのよ、今ウロブルはごたついてるから、近づかないのが吉。アランブレのお城、貴族街もね。だけどここにはないのよ、残念ながら」

そこまで言われたら仕方ない。ちょっくら行ってみるか~。

夜が明けたら行こう。それまではいつものミュス狩りで時間を繋ぐことにする。

「ウロブルに行くなら届けて欲しい本があるんだけど、いいかしら?」

「はい! 任せてください! 明日の朝とかだと思いますけど」

「急がないから構わないわ。最終的に届けてくれればね」

アンジェリーナさんからのお願いを放っておくわけがない。最短で行かせてもらいます。

朝までミュス狩りをして、尻尾提出。

「最近は下水道で狩りをしてくださる来訪者さんたちが多くて、ミュスの数も増えずにいます。それでも平原にはうろついていますので、ありがとうございます」

受付のお姉さんとはいつも仲良しです!

ミュス狩るだけでQOL上がるのすごくない?

さて、一般的な起床時間、7時になったのでウロブルへジャンプだ。

準備室を抜け出して外へ、青い髪の青年が今日も受付をしているのでおはようございますと挨拶すると、あちらも覚えていたのかニコニコとお返事が来る。

「朝ご飯はまだですか? ウロブルでも朝市がありますよ。もしよかったら行ってみてください」

イェーメールやファンルーアの屋台ご飯美味しかったしな。ウロブルではまだあまり食事をしていないなと思い至り、本を渡す前に行ってみることにした。

大通りから少しだけ離れたところにある、屋台だ。店先に椅子とテーブルもあるし、少し行けば広場にたくさんの椅子とテーブルがあった。前に歩いたときは広場だったから、朝だけ出現するのかもしれない。

甘いバナナの揚げ物を以前食べた。ベトナム風な感じなのだ。ベトナムと言えば、フォーだよね~と思ったけど、なんか豚肉と卵の載ったご飯が美味しそうだったので、フォーと2つとも買って席へ。店先じゃなくて、広場の方に座って食べる。

美味しいや。ふっつーに美味しい。フォーはあっさりしているのであっという間に消えてしまった。コムタムという豚と卵とご飯も美味しい。スムージーすすめられたのも頼めばよかったかもしれない。

海外の朝市に参加したみたいな感じでいいなあ。

と、クランチャットに入電。

ソーダ:

セツナ、公式発表出た。第6都市が開かれるって。謎解き始まるぞ。俺らそっち行けないからルート確保しておいて。

セツナ:

あー、なんたらさん探すところからかな?

ソーダ:

あと、ファンルーアからの聖地便はこのまま開放されたままだし、聖地から7、8、11都市への便も出るって。2ヶ月後だ。

セツナ:

おお!! てことはまずは第7だね。

ソーダ:

こっち、マジで細かいクエスト多いから、忙しいんだ。第6へのメインクエストのとっかかりだけでも探しておいてくれ。すまんな。

セツナ:

はいよ~

新しい都市は楽しみだけど、第5都市も言うほど遊び切れてないなあ。ホント、やることいっぱいゲームだ。やりたいことを絞ると言うより、触れたところをやっていくけど過去の触って途中になっているのを忘れないようにしないとなあ。

美味しい朝ご飯を堪能して、貸本屋に向かった。

「おはようございます」

「あら、久しぶりね」

「これ、アンジェリーナさんからの頼まれ物です」

オルロさんには本そのままだったけど、今回は封筒に入っていた。触った感じは本だ。

するとその場で中身を確認しだす。

「うん、頼んでいた本だわ。ありがとう。そうだ、また届けてもらっていいかしら? これもあの子が頼んでいたものなのよ」

ああ、学院の受付の人ですね。

「任せてください」

貸本屋への貸しは全部アンジェリーナさんのためのものっ!!

「あ、お金は……」

「いいの、前払いしてもらってるから大丈夫、そのまま渡して」

「了解です」

そんなわけで学院へとんぼ返り。

「こんにちは、こちらの本を、貸本屋さんから預かってきました」

再び現れた俺に怪訝な目を向けるが、差し出した本を見てぱっと顔を輝かせる。

苦学生だって言ってたもんなあ。

「ありがとうございます!」

頬を上気させて喜んでいるソールさん。

ん?

あれ、頭の上に名前ができてる。あれ……。前はなかった。絶対なかった。

そしてソールさん……。

メインクエストじゃーん!!!