軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

322.我々の愉快な隣人

目の前の青年がメインクエストのソールであるということに動揺しつつ、あれ? と思う。見た感じ若い。かなり若くて20代に見える。

年齢と時間が合わない。

「ソールさん……他にウロブルにソールさんって方いらっしゃいます?」

「えっ……、いや、僕は知らないですが、いないとは限らないかと」

でもなあ、名前今まで表記出ておらず、このタイミングで名前が明かされるとか、そうとしか思えないのだ。

「うーん、ミトという名に心当たりはありますか?」

するとそれまでの穏やかな表情が一変、険しい物となる。

「ミトさんをご存じなんですか!? 最近まったく会いに来てくれなくて、連絡も取れなくて」

おー、これはなんというか、やっぱりそうなのか。となると年齢が……。

「ミトさんのお知り合いの学者さんはやっぱりあなただったんですね。実はミトさんは亡くなられて、これを持ってあなたに会いに行く予定だったとか」

そういってみんなの懐に分裂して現れたノートを渡した。

ソールは目を見開いてそのノートを凝視している。

「昔からのお知り合いだったような感じで聞いているのですが……ソールさんはその、大変お若く見えて」

「あ、ああ! 私は 耳長族(エルフ) ですので。耳はその、幻影の魔法でヒューマンとそう変わらないように見せているのです」

「エルフだと何か不都合があるんですか?」

「エルフは、その、笑顔の裏に何があるかわからないとよく言われまして。学院ではかなり重要な機密実験を行っていることが多々ありまして、警戒されると研究が進まないということがよくあるんです。年単位で付き合えば信頼関係を構築しているのでわかってもらえますが」

ぱっとファマルソアンさんを思いつきました。

「そうなんですね」

「セツナさん、ノートありがとうございます。今日、この後読みますのでまた来ていただけますか? ミトさんのことも一緒にお話したいです」

「はい。わかりました。またお伺いさせていただきますね」

読む時間が必要らしい。

セツナ:

ソールさんにノート渡したよ。

八海山:

早いな。

半蔵門線:

早すぎるでござるよ。そんなにわかりやすいところにいたでござるか?

セツナ:

学院の受付の青年だった。年齢は青年ではなさそうだけど。隠れエルフ。エルフの偏見から逃れるために耳を誤魔化してるらしい。

と言う話になって思い出した。

あれだよ、あいつ、眼帯男!! あいつの本拠地第7都市だったよな。

あいつもエルフやんけーっ!!

セツナ:

幻影を使って耳を誤魔化してるって言われたんだけど、幻影って何?

案山子:

時魔法だよッ。

エルフかなッ? エルフさん結構使ってる人多いよねッ。

セツナ:

時かあ。

案山子:

時魔法はスピード上げたり、幻使ったり面白いけど、取りに行くの大変だねッ。やる気あるなら手伝うよ、令嬢たちの熾烈な戦い終わってからだけどーッ!

セツナ:

面白そうだけど今はそちらを優先してください。

ノート渡したけど読み込む時間が必要らしいから、また別日かなって感じ。

ソーダ:

学院の受付なら他のプレイヤーもすぐ見つけるだろうから、情報流す必要なさそうだな。

確かに、学院に来たら絶対出会うだろう人。学院に潜り込んでいる人も多いらしいし、多分大丈夫。

さて、再びウロブルへ。まずは貸本屋からだな。【知の泉】育てたいし。

同じ本を読むなら貸本屋だ。

「ソールさんに届けて来ましたよ」

「ありがとうね~また来たってことは本を読むの?」

「はい、学術的な感じでモンスターの本、ミュスの本ってあります?」

俺の言葉に貸本屋のエルフさん、ユーファさんが少し悩んで立ち上がった。

「確かここら辺に載っていたはずよ」

渡された本のタイトルは『我々の愉快な隣人』『我々の闇の隣人』。

「なんか、真逆のタイトル……だけど書いてる人は同じ方なんですね」

「そうよ。モンスターにも属性があるでしょう? その中でも闇属性のモンスターについて書かれているのが後者ね。確かそこにミュスがあったのよね」

「えっ!? ミュスって闇属性なんですか!?」

【鑑定】したけどそんなの出てこなかった。あ、でも、ミュス王に遭ったときはまだ【鑑定】は覚えていなかった。

「ありがとうございます。読んでみます」

そしてここの貸本屋でも速読します。ほんと、この機能最高。

まずは『我々の愉快な隣人』から。

これは街のそばに出没する、ノンアクティブモンスターについて書かれていた。

『この世には数多のモンスターが蔓延っている。だが、街に入り込むモンスターは数が少ない。食物や作物に被害はもたらせど、こちらから攻撃をしなければ人に直接的な害をなすことのないミュスは特異な存在と言えよう。長い歴史の中、一定の期間ごとにミュスは街で溢れ、そのたびに我々は彼らを退治してきた。街に入れば撃退されると学びがあってもよさそうなものだ。しかしミュスは街への侵入を諦めない。彼らは我々と仲良くなりたいのだろうか』

なわけない! あいつは天敵ですよ。ミュスだよミュス。狂ってる作者だな、おい。

ただ、確かにあいつらくらいしか街にモンスターはいないのだ。

ここは間違っていない。年表みたいなものも載っていて、ミュスの街中での行動とか数値とか、結構詳しく調べてた……こいつ、ミュス大好きだろ。トムくんやハインリッヒぼっちゃんと仲良くできそう。

さて、2冊目。

『我々の闇の隣人』だ。

『魔物の属性を調べる方法はたくさんある。一般的に思われているものとは違う属性の時もあるし、2属性以上持っているものもたくさんいる。我らの愉快な隣人であるミュスは、そのあまりの弱さから無属性と言われがちだ。しかし、私が開発した属性判定機によると、彼のモンスターはなんと闇属性。そう、闇なのだ。他のおぞましいものたちとあまりにかけ離れたその姿に私は戸惑いを感じた』

マジか……ミュスって闇なのか……。

ほえええ……俺もすっかり無属性かと思ってたが。1発で倒せるし、何か魔法を使ってくるわけじゃないから……。

マジか……。

『闇の魔物、そう、原初の魔物のように、彼の物もまた闇の魔物だったのだ』