軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

285.起きたらおんぶ

ちょっとワクワクして少し早め、20時にログイン。

「なぜーっ!?」

「やあおはようセツナ」

俺、ヴァージルの騎獣に乗っているというか、紐で縛られてヴァージルに背負われていました。おんぶーっ!!

「あ、起きたか。じゃあ1度降りようぜ」

「柚子ちゃんはまだ寝てるわね~」

俺が意識を持ったらヴァージルのシュヴァルツが少し揺れる。

騎獣は主人以外を乗せたくないってやつだ。

紐の結び目が見えたのでほどいた。

「セツナ!?」

そのままぽいっと空中にぎょろちゃんの石を放ると、ぎょろちゃんがどろんと現れ、俺の体に長い舌を巻き付けた。

「シュヴァルツありがとな!」

おんぶで運ばれるの起きたときがびっくりだよ。

セツナ:

何時にINしたんだよ! ソーダお前だ、お前が1番遅いはずなのに!

ソーダ:

へへっ! 午後休とっちゃったぜー。いや、上司から有給消化しろってめちゃくちゃ言われてたから、午後休でごまかして行こうかと。

半蔵門線:

ダッシュしてすべてを最短で済ませたでござるね。19時INしたらソーダ殿はもういるし、他4人もぞろぞろ起きてきたので、次の町まで行ってしまおうという話になったでござるよ。

19時ログインはゲーム内時間15時だ。そりゃ……行けるよね。

案山子:

聖騎士たち、村で力仕事系のお手伝いたくさんしてたらしいよ! それも終わっちゃってたって。次の町は近いから、すぐ寝て次はまた午前4時出発するってさ!

ソーダ:

次の次の町で俺たちが寝たら、そのままヴァージル以外は聖地入りして、ヴァージルは一緒に聖地入りするって。聖騎士と一緒に聖地に入る方がめんどうな検査とかがないって言ってたけど、ようはヴァージルの加護がないと現地先入りできない仕様なんだろうな。

ピロリ:

由香里ちゃんも、お貴族様と一緒に1便早い飛行船で来るんですって~。絆ちゃんと一緒に奉納試合を見るらしいわ。

セツナ:

聖地情報、あれ?

ソーダ:

お前ログインに必死で飛ばしただろ。

今日聖地情報が公式から告知されたよ。で、飛行船発着の話も。

八海山:

聖地でポータルとれないって話もな。

半蔵門線:

ポタ屋爆死でござるっ!

ソーダ:

イェーメールからの飛行船に乗ってくるしかないそうだ。

おお、とうとう公開されたのか。あ、フレンドメールが瞬いてる。

「ぎょろちゃん、任せるね」

頭を撫でて俺はウィンドウを開いた。

うん、予想通り、アリンさんです。

『セツナ様、ご機嫌麗しゅう。今日の公式からの発表で聖地で聖騎士が奉納試合を行うとありました。もしやもしや、ヴァージル様も? それとも、先日イェーメールで聖騎士様御一行と移動されている姿を目撃されていて、別件でしょうか?』

そわそわしている姿が目に浮かびますね。

『ヴァージルは試合に出ないで、部下が出るって話でしたけど、今ヴァージルたちと一緒に陸路で聖地へ向かってます』

ついでにヴァージルが騎獣に乗っている姿を後ろから撮ったものも送ってあげた。

即レス。

『ああ、後ろ姿も尊い。シュヴァルツちゃんも、素敵ですわぁ~。みなにも伝えてよろしいでしょうか?』

『いいよー。また写真撮ったら送るね』

『いつもいつもありがとうございます。スクショは手紙とは別に送っていただけると、ログインせずにスクショだけ見るようにします。心拍数が上がってログアウトさせられないように……』

了解です。

写真なんかはゲームにログインせずに見て整理できるんだよね。確かにその方が安全。

セツナ:

みんなもフレンドに返信したの?

ソーダ:

主要なところはね。掲示板に情報流してOKにしたから全部には返してない。

半蔵門線:

拙者も同じくでござるね。忍者たちには基本共有してOKとして数名に送ったでござるよ。そうすれば自然と広まるでござる。

ピロリ:

まー、みんなだいたい察したみたいだけどね。

柚子はさすがに20時も難しいようで、そこは最初からピロリによろしくしていた。次の町について、宿を取り、聖騎士たちは案山子のご飯を食べて寝た。

柚子もベッドに放り込んで町の冒険ギルドに行き、ちょっとした依頼をこなしつつ、柚子と合流。

さらに村の柵用木を倒したりした。

戦闘で倒しました。

「いやー、これが本当に丈夫で長持ちする良い木なんですよ。助かりました」

木って結構モンスターなんだな。あっちこっちで木のモンスターに遭う。

ご飯を食べて空いた場所に木を詰め込んでいたのをドサドサと出すと大変感謝された。

ちょっと面白そうな木なのでお取り置きもしておく。いやね、こう、植木鉢の下に置く簡単なスノコみたいなのが欲しいなって。今、タンスの上に植木鉢直置きなんだよね。

この木で誰か来訪者に依頼してなんてちょっと夢見てみる。なんならマルスさんでも……いや、あの人、スキルあるから金取られるんだよね。

そんな風にお手伝いしているうちに明け方に。というか、村の人たち早起きだな。俺たちは夜中狩りしてました。今午前5時だよ。

宿屋の前に真っ白の鎧を着たヴァージルたちが現れた。

「おはよう! もう準備できた?」

「ああ、こちらはすぐ行けるよ」

ならばと騎獣をとりだす。

今日も長々空の旅だ。

『ヴァージルたちって報告は何をするの?』

『イェーメールの神殿の収支報告書の提出、治療院の書類の提出、騎士団の収支報告、周辺モンスターの討伐実績と状況、かな。特に大きな問題がなければ1日で終わることだな。アランブレは今回大変だろうけど』

ケルムケルサの話を報告しないといけないのか。

『俺も参加したから話をしたいとも言われている。そこら辺でもう1日。奉納試合の前に 細剣(レイピア) のスキルは教えてもらいに行こうと思ってるよ。騎士たちはみんな、奉納試合のために体を動かすだろうから、訓練場に行けば会えるさ』

『でもヴァージルは出ないんだろ?』

『そのつもりだよ。うちからは2人かな』

ヴァージルが顔を向けると、茶色の短髪の男性と、青にも見える黒い髪の長髪の男性が頷いていた。

『聖地は各星座神を祭る塔がある。その内側に中心の塔。塔より外側に聖地に住む人たちがいるから、たくさんの露店もあるし、初めてなら楽しめると思う。色々巡ってみるといい』

『12の門が各街へ繋がっているから、その周辺はその街の特色がよく出てる。まだ行ったことのない街があるなら、そちらの門周辺に行くと楽しいかもしれないね』

試合に出る茶色の髪の騎士が言うと、黒髪長髪の騎士も笑う。

『案山子殿は香辛料が必要ならそれぞれ全部を回らないとだな。急がねば、すぐ奉納試合になってしまう』

『絶対、回るッ!!』

『到着してから1週間ほどで奉納試合だから……眠る時間を考えれば早めに回らないとな。ぼったくられない宿屋は俺が案内するよ』

『聖地でぼったくりあるのか……』

『普段から聖地に訪れる人は多いが、やはりこの奉納試合がある3年に1度はかき入れ時だからね。普段よりどこも高めになる。とはいえ、安宿を選べば、それはそれなりにね。来訪者ならなおのこと一定以上の宿に泊まることを勧めるよ』

繁忙期が高くなるのはどこも同じだな。