軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

284.聖地への道

そしてようやく聖地までの旅が始まる。

道を逸れなければそこまで強いモンスターがいるわけではないらしい。

話をしやすいように聖騎士団とアライアンスを組んだ。地上の先頭は半蔵門線、俺は1番後ろを飛んでいる。

ヴァージルはわりと立ってるものは親でも使うタイプだったのだ。

来訪者は起きている間は疲れを感じにくい、眠るときこてんと寝てしまって一切反応しなくなるという特性は知られており、初日の距離をなるべく稼いでできるだけ先の町に着きたいそうで、騎士団メンバーはただただ走り続ける方に注力することとなった。

俺と半蔵門線が【気配察知】でモンスターの接近を把握して、クランメンバーが中心として戦闘をするという。

こちらもそれには賛成。

ピロリ:

新しいモンスター来ないかしら~

ソーダ:

なんならネームドでもいいぞ~騎士団というかヴァージルいたら余裕だろ。

八海山:

騎士団に被害が出たら寝覚めが悪いからそれは無しの方向で。

半蔵門線:

紙装甲メンバーがコロリと死んだら困るでござるよ。

俺たち振り出しにもどっちゃうんだよねー。

旅は安全第一で行きましょう。

『特殊個体は見ていて飽きない』

『うちの騎獣も可愛がっているが、触れたくなるフォルムだな』

『その、舌を伸ばしているのは赤水晶をねだっているのか』

ぎょろちゃん大人気ですよ。可愛いからね。

騎士団が俺のぎょろちゃんにメロメロで、そして昼食時、案山子のご飯に大喜びだった。すでにイェーメールの騎士団はたらし込んでいるのだが、今回同行するとなったとき、希望者が殺到したらしい。

道の脇の、木々が少なく少し開けた場所で倒木に腰掛けたり、俺が広げたレジャーシート代わりの大きな布に座って、お昼はカツサンドだ。

簡単に食べられるのがいいよね。

「旨い! 最高!!」

「でもなんかこの間のと違う気がする……」

「さすが、ご名答ッ! 実はマスタードから粒マスタードに進化しましたッ! 好みだけどね~みんなはどっちが好きかなッ?」

騎士たちがまるで子どものようにはしゃいでどちらがいいと意見を述べている。

うん、遠足だ。

「あー、みんなとっととご飯食べきってくだされ。モンスターでござるよ。中型2体、小型5体」

調子に乗ってスープまで出してたし、美味しい匂いに引き寄せられたかな?

「あ、俺らやるんで少し後ろに下がっててください」

ソーダが言って盾を構える。

このあたりにはたいしたモンスターは出ないと言っていた通り、ソーダのタゲ取りと、柚子の氷で終わった。石投げて氷割りしました。

「戦闘も安定感があるな」

「そうだろう、ソーダたちに任せておけば大丈夫さ」

ヴァージルが自慢げに言う。

そしてまったく謙遜しないクランメンバーたち。

宿の町には夜の20時に着いた。

「それじゃあ我々はすぐ眠る。さすがに朝4時から移動し続けているからな。ソーダたちは朝から眠るんだろう?」

「ですね。そこから2日間ほどです。明け方には起きます」

「最低でも午前6時には出発する予定だ」

「それにはみんな間に合うと思いますよ。それより前に起きたら、迷惑が掛からない程度にそこら辺歩き回ってるかもしれないですけど」

宿屋にも来訪者だと告げて、眠りの予定を話しておく。

部屋割りはピロリと柚子が一緒(これは彼女さんと柚子に許容されている)。騎士たちが3、3、3で、八海山、半蔵門線、案山子が1部屋、俺とソーダと一緒にヴァージルが眠ることに。

経費削減だそうです。

聖騎士たちが宿に吸い込まれていく。

町はそこまで大きくはない。一応ギルドはあるらしいが、全部まとめて冒険者ギルドが扱っているそうだ。転職などはできない。ゲーム的にはあくまで途中の宿用の町のようだ。

別れるときにパーティーは組み直しているので、パーティーチャットでこそこそ相談する。

『さて、どうする?』

『むやみに周囲のマップをうろつくよりは、冒険者ギルドで何か困りごとはないか、できれば8時間くらいで済むようなことはないかと聞くのがいいでござるかな』

『そうね~時間取られたら就寝時間ですもんね』

そうしてぞろぞろと冒険者ギルドへ。

町は300人くらいの集落だそう。そこまで大きくはないが、聖地への道の途中にあるので、宿屋はあるし、食堂もある。農業と鳥、豚、牛を飼って、自給自足を目指している感じだ。

アランブレはもちろん、イェーメールの冒険者ギルドのような広さもない。宿屋より小さいくらいだ。カウンターがあるが、人はいなかった。

『まあ、主要都市以外なんてこれが普通だろうなぁ、実際』

『町があるから一応冒険者ギルドは置いてあります風でござるね』

ソーダと半蔵門線が話す横で俺はカウンター奥の扉へ向かって呼びかける。

「すみませーん。誰かいませんかー?」

すると女性が1人出てきた。

「こんにちは、俺たち聖地へ行く途中の来訪者なんですけど、一緒に来てる人たちとの睡眠の取り方がずれているので、今から8時間以内で済むような依頼とかはありますか? あんまりにも強いモンスターだとちょっと困るけど、そこそこのなら始末できますよ」

女性は目を丸くした後、少し待っていてくれと……ギルドを出て行きました。

「おー、どういうこと?」

「判断がつきかねるから、かしら」

「8時間で済むなら厄介ごとも解決しちゃうよッ!」

実力はあるんだけど、初見殺し系だと終わるんだよね。そういったものはお断り。普通の狩りなら是非したいそうだ。

と、大変おじいちゃんな人を連れて現れた。腕をとって介助しているレベルだ。

「おお、あんたがたが、モンスター退治をしてくれる人たちかい」

「8時間限定ですけど。寝る時間が決まってるんで」

「来訪者さんたちの特性はわかっているよ。それじゃあ、ほら、ハンナ、地図を」

そうして、定期的に村の家畜を食い荒らしに来るモンスター退治を頼まれました。

ついでにそいつがいるとおぼしきあたりに生えている薬草の採取も。

『ちょうど時間つぶしになるわね』

『助かるね~』

モンスターは俺たちでも余裕で倒せるものだった。まあ、やってたら奥からなんかでかいヤツが来たが、ぎょろちゃんに【フロストダイス】もしてもらってどうにかこうにか依頼完了。

《クエスト:村を荒らす困りもの をクリアしました》