軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

283.祠で見つけたもの

崖の祠は普通の人は近づこうとも思わない、そんな仕様だった。行きもだけど帰りはもっと怖いよ。登りだしキツい。

『あ、ケルムケルサの王族の紋章だ』

『えっ……』

祠はそこまで大きなものじゃない。少しくりぬかれているだけで、1番奥に台があり、その台に石の箱が置いてあった。箱というのは、蓋が取れそうだから。

その蓋には丸の中に翼と槍が描かれている。

『ってことはやっぱり 空人(そらひと) たちのものなんだね』

あの女性気になる話し方してたしな~。

翼を得てから空に昇ったような言い方。浮島で暮らすうちに羽根が生えたんじゃないような。

『あ、ほら、セツナ、なんか入ってる』

『ちょっとタパパ君っ!!! こういうのは勝手に開けたらだめでしょうが!』

洞窟が崩れたり、罠が発動したり、俺はそういった前例をたくさん知ってます! 遭ったことはないけども!

しかし中にあったのは空色の玉。手のひらに乗る小さなものだ。

即【鑑定】すると、『 空人(そらひと) の種』とあった。

『なんだろうこれー』

なんでしょうね……えーこれ、 来訪者(ユーザー) も 空人(そらひと) になれるの?

『爺ちゃんに持って帰ろう!』

『そうだね。持って帰って調べてもらった方がいいね』

今回はこれで終わりのようだ。ファンルーアでお別れ。いやよかった。これ、始まりの平原まで送るってなったらイェーメールでまたご飯に捕まるだろう!

それじゃーと俺はタパパ君の前から姿を消すとクランハウスへ直行した。

ストレージを漁ってるピロリとばったりだ。

「セツナくんやっほー」

「お疲れ様です。タパパ君、寄り道長くて大変でした」

「タパくんねー! あの子たぶん、美味しいものに目がないのよ。今までの食生活がきっと単調だったんでしょうね。ファンルーアに置いてきた?」

「はい」

「後つけると片っ端から食べ物買ってるところに行き合うのよ。おねだりされて買い与えてる勢がいるわ」

あー、今までの反動か。

「空色の玉見つけるところまで行った?」

「今そこまでですね」

「【鑑定】した?」

「もちろん」

すると、きゃーっとピロリが叫ぶ。

「羽根生えちゃうのよ~、きっとヒューマンだったら 空人(そらひと) になれるルートあるやつよお!!」

やっぱりそうだよなぁ。『種』だったもん。

「職じゃなくて種族もわかれるんですかね。でもそうすると、ヒューマン選んでない人から 空人(そらひと) になれるならヒューマンにしてたのにって文句出るんじゃないですか?」

「出るでしょうね~まあそこら辺もまた救済するんだと思うわ。にしても、このヒューマンクエストしないとどうにもならないけどね!」

「 空人(そらひと) になるなら海の人になるルートもありそうですけどね」

「それよねー 海人(うみひと) ルートとかも生まれそうよね。ほんとここの運営はどこまで世界を広げるつもりなのかしら」

「 空人(そらひと) になったら騎獣取り上げられそう」

「え。やだ。それは嫌よ……ハナちゃんとわかれるなんて……でも、翼は生やしたいわ。私の厨二心的に」

羽根を生やしてみたいのはわかる。

「セツナくんはどうなのよ。翼はいらないの!?」

「アンジェリーナさん、普通にヒューマンタイプなんで」

「セツナくんに聞いた私が馬鹿だったわ……よし、ちょっと狩り行きましょうよ!」

そうやって連れてこられたのが空の国のクモダンジョンでした。

『これめちゃくちゃキツいんですけど!?』

火弱点の空クモさんたちがわんさかいるのだ。

そして地面が……トランポリン!!

『大丈夫だから、いけるいける。ほら、跳ねて!』

空クモさんたちは基本浮いているのだ。浮いているところから雲の糸を吐いて、こちらを捕らえて襲ってくる。この雲の糸を上手く避けてトランポリンで跳ねてクモを突き刺すゲーム。

クモの大きさは座布団くらいだ。そんなにでかくない。いや、十分でかいけどね。

『ちなみに、範囲攻撃魔法がある場合は、その属性バフをかけた腕力系が雲の糸を一身に受けて範囲に引きずり込むという狩りの方法が確立されつつあるわ」

『脳筋狩りですね』

『その通りよ! 基本狩りなんて最適解が見つかってしまえば固定パーティーで荒稼ぎになるのよ。だから、NPCからもたらされるクエストはいい。聖地、楽しみね~もうすぐでしょう?』

『次のログインの明け方出発でしたねー』

そう、聖地へ行くのだ! ヴァージル以外の10名の聖騎士とともに。大所帯過ぎて、何も起こらない気がする。火力すごいだろうよきっと。

『野宿でもいいよって言ったら、さすがにダメって言われたよ』

俺らログアウトしているとき、どんな風に見えてるんだろうな。失神者はなかったものにされてたけど。

『わりと村はたくさんあるんだって。ヴァージルたちが寝ている間は狩りでもしててって言われてるし』

『聖地への道とか、今までにないフィールドですもんねー。街の周り1マップは基本安全なのよ。NPCも通るからね。そこら辺にある農村はどうだろうなぁ。それでも少し奥に行かないとかしら』

『全滅して、俺らが消えてるとかヴァージルたち困るから、死なないようにしないとかなー』

『それだけは絶対ね』

クモダンジョンでペア狩りは大変だった。ぴょんぴょん大変だった!!

「お待たせしましたー」

「みんな揃ってるね。それじゃあ行こうか」

イェーメールの聖騎士団宿舎に集合した俺たち。とうとう聖地へ向かいます。

ヴァージル以外の騎士たち、しっかり鎧着込んで準備万端だ。こちらもばっちりOK。それぞれの【持ち物】、【アイテムポーチ】にご飯パンパンに詰めてきました。酒は無しだと言ったら柚子が泣いてた。

「よろしくおねがいします!」

明け方とは言え、来訪者はうろついている。

聖騎士の白い鎧に身を包んだ一団と、頭派手派手クランメンバーが揃っていると嫌でも目立つ。

『問い合わせ殺到してる。フレンドチャット切っておくわ』

『拙者もでござる。まだ運営、聖地の話出してないから説明面倒でござるよ』

そのままイェーメールの北の門から出発だ。この門利用したの初めてかもしれない。

「一応来訪者の特性は知っているが、5人が起きたなら1人はうちの騎士の騎獣に乗せて運んでしまうね」

前に騎獣に他人は乗せられないと言ってなかっただろうか?

「意識がない状態なら不思議と平気なんだよ」

「そうなんですね、よろしくお願いします」

運営の配慮だろうか?

「つまりねぼすけが担がれて行くんだな」

「ソーダ殿が1番率がたかそうでござる」

「ソーダでかいから迷惑だな」

「私とか柚子ちゃんならいけるわね~」

まあ、ソーダだろうな。

そんなわけで俺たちの目指せ! 聖地の旅! が始まった。