軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

250.竪琴を探せ!

そういえば竪琴の影響でスキルが使えないのを忘れていた。さすがに 細剣(レイピア) で大剣はいなせない。やるなら手の握り部分を狙うくらいだが、俺はアレはいけると確信している!!

「【補水】【沸騰】」

「あつっ!!!」

本当に瞬間だけだが、大剣を握っている手に現れたコップ1杯分の水が、一瞬にして沸騰すると、あまりの熱さに剣を落とす。

「【引き寄せ】【補水】【沸騰】」

ついでに片手剣もやっちまう。

「あちぃぃぃ」

「【引き寄せ】」

俺の元にやってきた剣はぽいっとさらに後ろに投げ捨てた。

ついでだ、無傷で睨んでくるヒーラーさんの髪の毛に、

「【着火】」

一応ダメージも入ります。

「きゃああ!!」

まあ、アバターの髪に変化はないけどな。顔のすぐそばで火の手が上がるの嫌でしょう。

「セツナ殿! こっちへ!」

天井から呼ぶ声に、俺はさらに生活魔法を重ねた。

「【煙幕】」

以前半蔵門線をあぶり出したこの技。本来はこうやって逃げるときに使うのだ。

伸ばされた手にジャンプして捕まると、予想以上の腕力でぐいっと持ち上げられた。

なんとなく、

「【引き寄せ】」

大剣と片手剣、こっちにもらっておきますねー。裏切ったのが悪いんだぜ、へへっ!! 装備取られるのキツかろう。……キツいな。仕方ないから、彼らでは届かなそうな、すぐ横にあった照明に引っかけておいた。照明豪華だから引っかけるところたくさんありました。

今日も屋根裏を移動しているらしい。

「通路を見つけるスキルがあるでござるよ」

「それはもしや、忍者の……」

「そうでござる。憧れるでござろう?」

潜入したりは楽しそう。

「忍者目指す者は基本こういったルート好きでござるからね、生き生きしてるのばっかりでござるよ」

と話しているとまた歌声。

「お、これでござるね」

俺も地図を開くと、他の面子も聞こえているらしく、移動しつつ聞こえたところをマーキングしている。

「こっちのようでござるね、歌声の音量が上がっていってるとの報告があったでござる」

半蔵門線は彼らでパーティーを作っているようだった。

「うん、竪琴の奏者を捕縛したそうだが……うーん、竪琴が止まらない、でござるか」

半蔵門に連れられて、屋根裏を四つん這いで進む。かなり移動したところで、天井板を外して下に降りた。

中には普通の冒険者が6名。縄で縛られ猿ぐつわを噛まされている奏者が1人転がされていた。

「半蔵さん、こいつどうやっても止まらなくて」

竪琴は、なんか絵本で見た感じのやつだ。

大きさは両手で持ち運び出来るくらい。そしてその枠部分に、綺麗な女の人が……へばりついてる。

「リアルで見るとエグいですね」

その女の人が今なんかラララ~って歌ってるんだよ。

【鑑定】すると、『歌う竪琴、破壊不可』とあった。

「ふはははは!! そやつは1度奏でると止まるよう奏でないとずっと歌い続けるのだ。つまり、竪琴の演奏の仕方を読めないお前らはどうすることもできない! 竪琴の絶対防御は揺るがないのだ!!」

猿ぐつわされてるのになんかしゃべっている。

「うーん……ヒントかな?」

この奏者はNPCなんだよな。

竪琴はテーブルの上に置いてあり、その横には何やら冊子が。

「楽譜でもないんだよ」

俺の視線に、そばにいたプレイヤーが開いて見せる。

文字が並んでいるが、普通の文字じゃないやつだ。

「セツナ殿……」

実はまだ、未公開情報だが、表のみんなのことを考えるとやるしかないなぁ。あの雑貨屋にたどり着くルート確保できてないんだよ。案山子がふつーに行っても何もならなかったらしい。

「【翻訳】」

その場にいた半蔵門線以外がざわつく。

もらった冊子をぺらぺらとめくると、『竪琴の止め方』とあった。

「えー、まず、竪琴を優しく抱えます」

半蔵門線が代表して竪琴を持ち上げた。

「君の歌声は今日も美しかったと、竪琴を褒めます」

「ふぁっ!? そのような世迷い言……ぐぬ……『君の歌声は今日も美しかった』でござる……」

「竪琴の頭を優しく撫でます」

ぐぬぬぬって目をしながら半蔵門線がなでなですると、竪琴の女性は気持ちよさそうに目を細めた。

半蔵門線、相変わらず口元隠してるからな。目が雄弁に語っております。

「竪琴の耳元で、今日はありがとう。ゆっくりおやすみと囁きます」

「……『今日はありがとう。ゆっくりおやすみ』でござ……」

「最後に竪琴の弦を軽く弾きます。どれでもOK」

ぽろんと竪琴が鳴ると、歌がやみ、竪琴は目を閉じた。

『ソーダ、竪琴止まったんだけど、そっちの様子どう?』

『なんか魔法ぶち込んでみるのじゃ』

クランチャットで尋ねると、しばしの沈黙。

『総攻撃始まる!! 潜入組さんきゅ〜!!』

ちゃんと効果が消えたようでよかった。

それじゃあ俺たちも祭りに参加しに行こうと、再び天井裏移動だ。一応竪琴も持って行く。

「いやーそれにしても【翻訳】とは!」

「鑑定の先なんですけど、ちょっと特別なNPC経由で得たので、普通ならどう手に入れられるか模索中です」

「わかり次第情報流すでござるよ」

別にこっちは隠したくて隠してるわけじゃないんだが、案山子すらまだ手に入れられてないんだよなぁ。

「同じスキルでも別ルートで手に入ることがありますし、情報として先に【翻訳】がある、と流すのはありかもしれませんよ」

「確かに、それはそうでござるね」

あると知ってて探すのと、あるかもしれないと探すのでは確かに違うだろうなぁ。

「検討させてもらいますというか、あるということを広めてもらっても構いませんけど、ルートは提示できないです」

「固有NPCによるクエストで得たという情報も一緒に流しますね。そのせいで普通に手に入るルートがまだ確立されていないと」

「それがいいでござるねえ」

と、竪琴がパチリと目を開いて歌い出す。

「助けて~助けて~私を攫う者がいる~♪」

あー、そういやジャックと豆の木でもそうやって巨人に追いかけられていたなぁと思った。

「これはいかんでござるね、速さ勝負と参ろうか!」

天井裏は移動しにくい。ダッシュ勝負が始まった。

まあ、忍者たちとても足が速いのです。

しかも、正面で戦いが始まり、俺たちはまんまと王宮から逃げ出すこととなった。