軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

251.正面衝突

王宮からまたもやぐるっと脇道を通り、正面へ向かう。

向かいながら、プレイヤーがやりたい放題やってるのを眺めていた。

どれだけの人数参加してるんだろう。

「よくサーバーが保つでござるねえ」

「だいぶ補強してるんでしょうけど。魔法は簡易表示バージョンになってますね。あれになると、的になってるときに気付きにくいから当たっちゃうんですよね~」

「わかるー。避けるのは結構自動とはいえ、どうしたって視覚依存の部分もありますから」

避けるのが自動!?

なんかスキルがあるのか……?

俺の表情を見て、半蔵門線が首を傾げる。

「……そういえばセツナ殿、斥候選んだことないでござるな」

「ない……ね! 戦士と魔法使いだけだった」

今は付与師。

「ステータス的には十分だし、1度斥候職をやって、【自動回避】を身につけた方がいいでござるよ。パッシブスキルで有能なので、素早さがある程度ある者はみんなこれ目当てに1度斥候になるくらいでござる」

「マジかーっ! 今度やってみる」

「セツナ殿ならジョブチェンジして、カウンターの前うろついてたらすぐギルド職員に話しかけられるでござるね」

なんという。そんなからくりがあったのか。

やっぱりネタバレとか言ってないでスキル一覧くらいは見た方がいいのかなぁと思いつつ、自軍近くに到着だ。その頃にはもう竪琴はだいぶ静かになってきていた。

諦めたのかな? と思ったら、半蔵門線が竪琴なでなでしてたよ。

手なずけてるのか。

ソーダたちがいるのが、結構な前線で、あちこちで戦いが起こっていた。

ヴァージルとアランはさらにその前にいる、と思ったら、アランのそばに、アランによく似た男性がいた。お兄さんかな?

お兄さんたちの軍勢+アランとヴァージル、そして肉壁女子。いや、男子も混ざってる。肉壁来訪者たち、だな。

『セツナもスキルで敵倒しておけよー、貢献ポイント来るやつだぞこれ!!』

『おお……何の役に立つかわからない貢献ポイント!』

それでも着実に積んでるんだよな。この間の情報ギルド解禁のところでも地味にもらってるのだ。

さて、やっぱりやるなら雷かなっ!

「【雷付与】」

俺の 細剣(レイピア) の刀身が光る。

なるべく仲間に当たらないようにちょっと前の方に走っていって、さらに遠くを狙って振り下ろした。

「【万雷】」

バリバリっと音を立てながら空から雷が山盛り……落ちる!

『麻痺入ってるのもいるわね、いただき~♪』

嬉々としてピロリが突っ込んでいった。

というか、爆風で人が飛ぶのヤバいな。

同時にあちらからも攻撃が来るわけで。

「【聖なる盾】」

有翼(イータ) の風魔法、全体攻撃がかなり痛いらしく、あちこちで防御系魔法が展開されている。聖職者の風耐性バフも限界があるらしい。

「ヴァージルさん、MP回復剤どうぞー!」

きゃーって。女の子たち……みんな……嬉しそうで何よりです。

「【フロストサークル】【ダークストライク】」

「【メテオレイン】【ダークストライク】」

魔術師二人は二重詠唱待ったなしでガンガンやっている。【ダークストライク】はディレイが1番短いそうなので使い勝手がいいらしい。

俺は目の前の 有翼(イータ) の手元を 細剣(レイピア) で突き刺し、【絡め取り】からの、

「【引き寄せ】」

なるべく空っぽにしてきた【持ち物】、【アイテムポーチ】に収納だ。落としたら拾うしね。

得物の無くなった 有翼(イータ) は魔法を使うしかないが、半蔵門線に【なで切り】されてた。

『えげつねーな、セツナ。得物とりあげるとか……天才か!?』

『生活魔法マイスター本当にいいよ。効果が2倍になるから、剣も引き寄せられる。本来なら無理かも。重すぎて』

事実、俺のを見て【引き寄せ】持ってる人がやってみてたけど、出来てなかったもん。

『セツナ、他の 細剣(レイピア) のスキル見せてくれ』

突然のヴァージルからのおねだりだ。

どうしたのだろうと思ってあちらの塊に近づく。女の子たちが道を開けてくれるのがなんか……なんかね。調教されすぎじゃね?

「どーゆうこと?」

「さっきの【万雷】いいスキルだったから、他に見てみたいなって話してたんだよ」

アランが言うとヴァージルも頷く。おしゃべりしているとは、余裕があるなぁ。

「まあいいけどさあ。範囲攻撃はそんなないんだよなぁ。火で行くか」

せっかくなら派手にやってやろうかな。たぶん、仲間当たったら泣いちゃうやつだけど。

「【火付与】」

MP補充は柚子からされてるので余裕だ。

少し前に、巻き込まないように青い文字が散乱しているあたりめがけて。

「【青炎】」

振り下ろした 細剣(レイピア) の先から、青い炎があちこちに飛んで行く。その先で 有翼(イータ) たちの羽根にその炎が触れて燃え上がる。

ああ……よく燃えちゃった……。

「セツナ君、ヒドイ」

笑顔でサムズアップするアラン。

ヴァージルも、あーあ、みたいな顔をして前方を見てる。

いや、君らがやらせたんだぞ!?

「セツナ様……エグいです」

後ろでアリンさんがつぶやいてる。

俺だってこの惨状……青い炎、風魔法でさらに調子乗ってそばの 有翼(イータ) の羽根に移るんだよ。あれ、もしかして彼らの弱点属性火なの? いや、案山子の【メテオレイン】は普通に食らってるだけでこんな風にぽっぽぽっぽと飛び移らなかった。もしかしたら、【青炎】にはこういった特性のようなものがあったのかもしれない。

と己に言い聞かせました。

いや、それくらいひどい惨状になっている。

上手い具合に翼に移るんだよ。

と、こちらの軍勢の中で、明らかに良い甲冑を纏っている人が拡声器みたいな物を使って声を上げた。

「見よ!! 有翼(イータ) たちがその翼を無くし、蔑んでいた 無翼(ムルス) に成り果てた! 攻め押せ!!」

「おおおおお!!!」

と、騎士たちが声を上げる。

「おおお?」

「まあ、攻めどきだな」

ヴァージルも駆け出す。

みんな、駆けだした。

矢が放たれる。アランの矢だ。天に昇って行ったかと思ったそれが、無数の矢になり降り注ぐ。

ヴァージルの剣は赤く燃えていた。火が付与されている。アランの付与だろう。

何か叫び、その炎がいっそう増した。剣が振るわれると前方が炎に覆われる。

「きゃーっ!!」

黄色い歓声付き。

確かに飛んで上から魔法が降ってくるのは脅威だったが、地上の騎士たちも対策を立てていて、竪琴の防御さえなくなれば戦況は明らかにこちらに傾いていた。