軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

249.ヴァージルが来た理由

現在撤退し、竪琴の防御の範囲内で空の国が回復と立て直しに励んでいるということで、こちらも少し落ち着いているという。

「魔法は基本風を使ってくるんだ。風耐性バフは飛んでくるんだが、わりと物理攻撃が混じってて、それが結構ダメージ食らうんだよ」

「ヴァージルが【聖なる盾】何回かしてくれたのじゃ」

「じゃあ、MPキツくないッ? 俺渡そうかッ!」

案山子の提案にヴァージルが首を振り、アランがニヤニヤして、ソーダたちがものすごく微妙な笑みを浮かべていた。

何?? という顔をしてヴァージルを見ると、彼はにこりと微笑む。

「お嬢さんたちがMP回復ポーションの差し入れをくれるんだよ」

きゃーっと周りで悲鳴。

これ、ヴァージル死ぬルートないなっ!!

「よしっ! 俺も王宮内部潜入してくるわっ!」

後顧の憂いは消え去った!

肉壁が大量にいるなら大丈夫だろう。

「それなら俺も行こうか?」

「スキル攻撃効かなくなるよ、今の王宮内部。あと、ヴァージル潜入とか向かないから」

俺が言うと、本人もまあ、そうか、とつぶやいた。

自覚はあるようです。

「潜入するのに表で暴れててもらうと助かるよ」

「まあ気をつけて。半蔵門線と合流するのもいいと思うぞ。あいつらでパーティー組んで部屋片っ端からチェックしてるらしいし」

「了解」

それじゃあ、と手を振り、周りの女子たち向き直る。

「ヴァージル死なないようによろしく」

「「「はーーーーい!」」」

めちゃくちゃいいお返事もらった。ストーカーたちよ、頼んだ。

俺は来た道を戻る。ぐるりと大回りだが仕方ない。王宮へ入る道筋はいくつかあるらしく、共有の地図に印がつけられていた。この機能も便利だなぁ。更新するとどんどん新しく情報が載るのだ。

空の国の宮殿は、真っ白いタージマハルによく似た形をしていた。そして後ろに2階建てくらいの同じく白い建物が続くのだ。その内の1つの、1階からひょいっと侵入。扉がついているようなタイプの宮殿ではない。1階はどの部屋も出入り自由。ただし、巡回の兵士がいる。

表で大暴れしているのでその数が少なくなっている。おかげでなんとか、掻い潜りながらいける。

【気配察知】がいつも通り大活躍だった。

1階は捜索が終わって、今は2階を攻めているという。

セツナ:

半蔵門線さん、俺も遊びに来たっ!

半蔵門線:

おお、今2階を調べているところでござる。イベントであるからして、好きに行動するといいでござるよ。2階はちょっと警備が多いので、他を見て回るもよし!

2階調べるのを手伝ってと言われなかったが、まあ、行こうかな。ここ、地下はないから。地下は……突き抜けちゃうからね。

いくつかある階段の、確実に行けそうなところを探す。そろりと階段を上ったところで、巡回の兵士が近づいていた。

慌てて近くの部屋にひょいと隠れる。2階は扉がついている部屋がほとんどだった。

そしてなんと、本がたくさん!

図書室?

おおー。暇があったらちょっとラインナップチェックしたいところなんだが、あんまり暇はないんだよ。

場所覚えておこう。こっち陣営勝ったら閲覧できるかも、じゃん? 面白いのあったらアンジェリーナさんに教えてあげたいし。

そうして近くの通路を行く見回りをやり過ごし、他の、まだチェックの入っていない部屋の方へと向かった。

空の国の王宮の調度品とか、普通にすごく金が掛かっていそう。物資不足という設定だったはずなのに、これはどういったことか?

そういえば、運営による妨害だとソーダが言っていたが、全部が全部そうなのかなぁ? という気もする。貴族も何か繋がってるんじゃないのか?

とはいえそこまで深く追求し出すと無理なんだろうな。この短い時間で。

起きる時間(ログアウト) 問題があるのだ。

と、綺麗な音楽が聞こえた。微かだが、カタカナにするとポロロンって感じの……つまり、竪琴!!

『半蔵門線さん! 竪琴の音が聞こえたんだけど!!』

『セツナ殿今どこでござるか?』

地図には手書きで区画が書いてあるのだ。共有地図すごいなあ。俺も書くモードにしてココと自分のいる位置を示す。

『見えます?』

『わかったでござるよ。セツナ殿、隠れられているならそこにいてまた聞こえたら教えて欲しいでござる』

そんな話をしているとまた聞こえる。

『同志も聞こえたそうでござる。その近くをしらみつぶしするでござるが……やはり警備が多いでござるね……』

なんて話をしていると、俺のいる部屋の扉がばあんと開かれた。

びくぅっ! てなっちゃった。

「いたわね、ネズミよ!!」

「なにっ!? ミュスがこんなところに!?」

俺が周囲を確認する。本とミュスなんて最悪の組み合わせ! 囓られるっ!!

だが、さらに2人入ってきて、俺はその顔にピンときた。

「ピロリ通報したって言ってたけど……」

俺のつぶやきに、女性アバターのヒーラーさんが目を見開く。

「あっ!! 金羊毛持ち逃げ野郎!!」

「人聞きの悪い」

お三方、例の羊マップで倒せないのに倒せと言ってきて、最終的にモンスターなすりつけて隠れた子たちだ。ピロリが一応通報しておくと言ってた。

「あんたのせいで1週間のアカウント凍結にあったのよ!?」

自分たちのせいですよ。

「ヤるわよ!!」

ヒーラーのくせに生意気だ。

というのも、彼女たち、頭の上の文字が青くてケルムケルサと書いてあった。つまり裏切り者たちです。

「せっかくそっちの作戦流したのに、攻撃をさらに1日早めるなんて、恥知らずめ!!」

「言ってることむちゃくちゃなんだよ……」

襲いかかる大剣。いや、タンクだろお前。だいたい、タンクが大剣もよくわからなかったんだよね。あ、タンクじゃないの? そんな大きな盾背負って。盾、それ飾りか!? この間も盾使わずに大剣ぶん回してたもんな。

ただ、この狭い部屋で大剣使うのは悪手じゃね? て、ここも本が多い部屋なんだよ!

「本、傷つけるなよっ!!! 【突貫】あ……」

スキル出ないんだった。だけどあっちは出る。

「馬鹿ね! 竪琴の加護がこっちにはあるのよ!!」

うーん。それなら、あれしかないな。