軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

244.プレイヤーの望み

来訪者(プレイヤー) の望みとしては、

1.空の国のフィールド開放

2.ただちょっと大規模戦もしてみたい

3.アランブレなどを通るときに通行税が掛かるのは困る=戦争には勝ちたい。

だった。

プレイヤーたちが接触したNPCが口を揃えて言うには、『地上で戦えばこちらに勝ち目はないだろう』という点だ。

つまりそれは、開戦は空の国で行えということだ。

「戦闘はこちらから仕掛けないとだな。1日前でいいか?」

ソーダの言葉に円卓を囲んだプレイヤーたちが頷く。

黒豆だけが首を傾げていたのを、ソーダはめざとく見つけて説明した。

「開戦は1週間後って言ってたろ? ここの運営がよく使う手なんだけど、これ、タイムリミットなんだ。1週間後には強制戦闘が始まりますってことで、その前に仕掛けることはOKだ」

「逆に言えば、1週間後にはあちらの準備も万端だってことなの。だから、こちらから戦闘を仕掛ける方がメリットが大きい」

「あと2日で空の国の情報をなるべく集めよう。翼の有り無しでどんな不満があるか、そこを分断できるかなんてことも調べるといいかもしれないな」

「島から島へは、島渡しという気流を発生させている魔法を使うらしい。もちろん翼が無い人ね。有る人は普通に自分の翼で飛んでいくそう」

「荷物なんかは 有翼(イータ) が運ぶそうよ。作物なんかも。 有翼(イータ) が生活の基盤になってるのね」

「騎獣はないのか……騎獣で島の間を移動は出来るらしいよな、飛行型なら」

「それ以外の移動方法を見つけた方がいいのかしら? 先に戦争を仕掛けるにしても、地上の軍にも呼びかけるでしょう? で、正面から突破してもらって、そっちに引きつけている間に他の島から移動し、空の国の弱みでも掴んでしまった方がいいかもね」

由香里が言うと、他の面々も頷く。

NPCを囮に使う気だ!

恐ろしい……。

「空の国が無敵なのは竪琴の絶対防御って言ってたよ」

俺が後ろから口をはさむと、円卓のみんなが首を傾げる。

「それって、ジャックと豆の木だよね?」

「竪琴で防衛は完璧ってこと?」

「竪琴の範囲はどこら辺までだろう……つまり、竪琴を奪わないとダメージが通らないってことか」

そんなお話をしたので、俺は今日も今日とて空島へ向かいました。少年少女のところね。ちなみに案山子付き。

『セツナっち! 大胆ッ!!』

『さすがに村に入るときは様子をうかがいますよ。エルフ目立つからちょっと隠れてて』

村の周りは開けているので、俺だけ【隠密】で近づくことにした。

村の中は先日と同じく閑散としている。噂の島渡しのところへ行っているのだろう。それだけ1カ所を集中して見回っているということは、やはりそこしか移動手段がないのだろう。

1番手薄な島を乗っ取ろうというとんでも作戦の話が出ているところだった。人のいない島があればいいのだが、中央に向かえる島はほとんど村人がいる。

しかも、島渡しの気流は村人の中でも風魔法が使える人が使っているらしいので、自然に発生するものではなかった。だが反対に、魔法使いがそれを学んでしまえばいいのではという話になっていた。こっそり眺めることが出来るかが勝負だ。わりと見ることが習得のきっかけになることが多いそう。

理想は5つくらいの島から魔法使いが気流を発生させて中央の島へ飛ぶというものだ。

まあそんなわけで、今日は案山子を伴ってきたのだった。俺たちいざとなればクランハウスへ戻れるしね。ただそれは、見つかったという判定になるらしく、次から捕まりやすくなるそうです。捕まると、クランハウス帰還できなくなってしまう。

村の手前に案山子を置いて、俺は【隠密】であの2人の兄妹の家へ向かった。

今日は母親も一緒にいるようだ。他に気配はないので、俺はノックもせずにするりと中に入った。

「お邪魔しちゃいましたよ~」

「わっ! セツナ!! いらっしゃい!」

「お兄ちゃん! また遊びに来たの!!」

子どもたちは無邪気にお出迎えだが、母親の表情は曇る。

険しいというわけじゃないのでまだ大丈夫そう。

「この間のカツサンド美味しそうに食べてくれてたから、また持ってきちゃった」

そう言って、【持ち物】からスープやらパンやらを取り出した。

チラリと、母親を【鑑定】。まだ栄養失調状態。

「お母さんにはこっちを。卵粥です。食べ慣れないものかもしれないけど、消化にいいので」

スプーンと一緒に椀を渡すと、とても困った様子だった。

「お兄ちゃんこれ美味しいね」

「だろう! 俺の友だちの料理はとっても美味しいんだ! 夕飯の分まで置いてくから、仲良く食べてね」

「ありがとう!!」

もぐもぐしながら話している。勢いがすごいってことは、やっぱりご飯足りてないんだなぁ……可哀想に。

2人が満足したあたりで、母親がまた子どもたちに羊の様子を見に行かせて、追いやった。

「やっぱり空の国は戦争を始めるつもりですか?」

俺が単刀直入に聞くと、母親は頷く。

「平和的に解決できればよかったんですけど、難しそうですね。正直、子どもがお腹を空かせているのを見るのは辛いです」

母親は俺の言葉にぐっと口を結ぶ。

「戦争って、空の国の人の総意なんですか??」

俺の最後の質問に、母親はようやく話始めた。

「 有翼(イータ) は、そうでしょうね。この状況は悪くないもの。 無翼(ムルス) は 有翼(イータ) に頼って生きざるを得ない。……そうでない道があるのなら、そうできればとは思う。今は、子どもを産むのにも制限がある。島の中での人数制限がね」

口数を減らすしかない状況なのか。

厳しいな!

「島の人はそんな感じなんですね。王侯貴族たちは?」

「 有翼(イータ) が多いから、不自由さなんて感じてないわ」

「 無翼(ムルス) の貴族や王族は、多少話し合えるって感じ、かな?」

母親はこれには答えなかった。

接触できればいけそうかなぁ。

「 無翼(ムルス) の王族が住んでいる島は、ある」

俺がびっくりして母親を見ると、彼女は顔を背けた。どこかと聞いても答えてくれなさそうだが、俺はそこに心当たりがあった。

返還された姫君が住んでいた島だ。

「2人にお腹いっぱいご飯が食べてもらえるよう、交易が復活するといいですね」

「 有翼(イータ) が政治を動かしているうちは無理でしょうね」

これは結構いい情報が得られたんじゃないか? と思ったところでワールドアナウンスだ。

《裏切り者が発生しました。以降、陣営を選べるようになります。空の国への入り口で陣営を選び直してください。選び直しを行わない場合は地上の国陣営となります》

『にゃんとッ!!』

『どーゆうことでしょうね。空側につくってこと?』

『たぶん、そーゆうことッ! 掲示板、気をつけないとかな?』

『紛れ込んでるんだろうし?』

ソーダ:

専用掲示板がユーザーID入力ログイン必須、陣営選び必須になった。豆の木の根元で国選ばないと閲覧不可。

ピロリ:

まあ、そうしないと空の国側につく人は情報取り放題よね。

柚子:

とっとと陣営決めるのじゃ~

面白くなって参りました?