軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

114.ビッグゴールデンフリース

『ヴァージルさん、何か別のモンスターが来ます』

『この近辺に現れる他のモンスター……セツナ、少し離れて』

そう言ったと思ったら、ヴァージルが剣を抜いて構える。

「【薙ぎ払い】」

その時は、羊が5匹、周囲にいた。俺が1匹か2匹を相手にできるよう、常に他の羊を素手で牽制してくれていたのだが、一瞬で羊たち真っ二つでした。

【薙ぎ払い】は短剣では難しいスキルだなこれ。剣の長さが必要だ。

そして、気配が間近になって、現れたド派手な羊におののく。

『ビッグゴールデンフリースだ』

牡羊座のもととなっている金羊毛を持つ羊さんだ。すでに、シープでなくフリースになってるのが笑う。

『倒したとき、ほとんどが普通の白の羊毛に変わってしまうが、たまに金のまま残ることがある。そうして採れた金羊毛は、かなり高値でやりとりされると言うよ』

金の匂いしかしない。

『セツナがやってみるか? 【ひと突き】もかなり熟練度が上がったろ? 無理そうなら俺がとどめを刺すからやってみるといい』

……結局ヴァージル先生に頼みました。

スキル持ってても、パワーが足りないし、やはり普通の羊さんとは違って、なかなか【ひと突き】発動しない! 発動してもイマイチだった。

『お疲れ様。もう少しスキルの熟練度が必要かもしれないね』

笑顔で慰めてくれる。今、熟練度3。5くらいいるのかなぁ。

『セツナ、すごいじゃないか! 金羊毛が手に入った』

『おお!! やった!』

『俺は別に必要ないからセツナが持っているといいよ』

『え、売っちゃいますよ!?』

『構わないよ。魔法剣士を目指すなら、付与に耐える剣を買う資金も貯めないといけないだろうしね』

やったー!

あーでもこれ、牡羊座の門開くときとかに必要なのかなぁ。とっておいたほうがいいのだろうか?

『さあそれじゃあもう少しスキルの熟練度アップを狙うか?』

『はい。せめてもうワンランク』

4にしたい。

粛々と羊の眉間を【ひと突き】する。

しかし、人がいると沈黙も悪いなぁという気になって、つい口を動かしてしまう。

『ヴァージルさんは、どんな風に訓練してるんですか?』

『んー、そうだな。俺の担当街はイェーメールだから、イェーメールの民が平和に暮らせるよう周囲で増えすぎたモンスターを狩ったり、あとは聖騎士団の中で訓練だな』

『聖騎士団と、アランブレのお城の騎士団は別なんですよね?』

『そうだね。我々の所属は神殿だ。12神に仕える、神々の 下僕(しもべ) だね。アランブレの騎士団は国に仕える方たちだよ。それでも、街の人々が安心して暮らせるようにという気持ちはどちらも変わらないだろうね』

建前ではそうなっているのか。

『前にも話したが、この世界には邪教と呼ばれる者たちがいる。彼らを取り締まるのも仕事の1つだな。彼らは執拗に12神を貶そうとしてくるんだ。闇魔法の使い手が多いのも彼らの特徴だ……闇魔法使いの全てが悪い訳ではないから、そこは気をつけて』

噂の闇落ち魔法使いさんとかかな?

闇魔法かっこよさそうだもんなぁ……。

『興味があるなら今度聖騎士団を案内するよ。聖地に行ってみたいなら、連れて行ってもいいしね。来訪者は好奇心が強い人が多いらしいし』

半日で行って帰ってできるなら、行ってみてもいいけれど、それが無理ならまだいいかなー。ポータルで近くまで行けるようになってからで。

3日間アンジェリーナさんに会えないと禁断症状出ちゃうからさ、俺。

『属性魔法からの、付与魔法は、便利だと思うよ。ただ、剣士ならもう少し筋力がいるかな? それか、属性付与を各種持って、その相手のモンスターの属性に合わせて付与魔法を変えるという手はあるね。そうやって戦う場合は……もう少し勉強が必要かな』

知力が必要ってことか。

【知の泉】はどこまで働くのかなぁ。もしかしたら、100冊で1回だけの称号かもしれない。

最近読書量加速している。知力が上がったら読むスピードが増しました。

とはいえ、200冊まであと30冊は読まねばならない。

『あ、ヴァージルさん、荷物がそろそろ限界ですね』

『そうか、じゃあこれを片付けたら帰ろうか』

最後はヴァージルが【薙ぎ払い】をして、周囲を片付ける。

『今度は、魔法使いギルドで教えてもらっておいで。そのあと付与が派生するようにスキルを育てやすい狩場に案内するよ』

『ありがとうございます』

本日、2LVあがった!

新しいスキルも手に入れたし、肉と角と羊毛が山盛り手に入った。

セツナ∶

ビッグゴールデンフリースの金羊毛って、店売りじゃダメ?

案山子∶

裁縫師号泣するッwww

相場90万シェル!

セツナ∶

高っっ!!

あ、ヴァージルさんにお茶とお菓子お出ししました。ストレージからいただきました。

案山子∶

クランストレージは好きに食べていいよッ!

てか、普通の羊毛も裁縫師は常に欲しがってるし、角は、角笛になるし、羊肉はジンギスカンしますッ。

今クランハウスだから、食べるなら作るよッ!

セツナ∶

捨てるところがない! クジラと同じだ。

ヴァージルさん一緒にいるんだけど、ヴァージルさんも食べるって言ったら誘っていい?

案山子∶

あの劣等感を抱かせるイケメンッ!!

ウェルカムッ!!

『ヴァージルさんジンギスカンって、食べたことあります? クランメンバーが羊肉あるならジンギスカンパーティーするかって』

『お邪魔していいのか?』

『一緒に狩ったお肉ですし』

羊毛とか全部好きにしていいって言われたけど、経験値といい、全部俺もらっちゃうの気が引ける。

あわよくばクランメンバーもフレンドになれというイケメンの呪いをかけたい。

帰りもぎょろちゃんは注目の的でした。

でもすぐヴァージルの方にみんな視線が行くから助かってる。

そう言えば、狩場に他のユーザーいなかったなぁ?? ヴァージル専用マップ?

連れ立って歩きながら(罰ゲーム)、クランハウスを目指す。

「いらっしゃーいッ!」

テーブルが、セッティングされていた。ランチョンマットとか作ってるよ……テーブルクロスだけじゃなかったらしい。

肉を渡すと、これでも食べていてとチーズとハムを出された。クラッカーがついている。

「お酒どうするッ!? ワインあるし、ウィスキーと、ビールとニホン酒もあるよ!! みんな柚子っちの秘蔵の酒だけど、許可出てるッ!」

ヴァージルを見ると彼は首を傾げたまま。

「お酒って飲んだらダメなんですか?」

「いや、嗜む程度には頂くよ。ニホン酒というのは?」

「ああ! ローレンガのお酒です。イェーメールでも売られ始めてるはずなんですが……」

「新しくできた酒屋で売っているものか!」

なんでも、 小人族(ドワーフ) が買い占めてしまうのでなかなか出回っていないという。

あいつら……。