軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第三百六十六話 アメリカ

桜の大樹の下で、南雲さんに誘われアメリカに行くかどうか悩んでいた。一番の悩みポイントは弓神ロロンが怒るということよりも、本当はエヴィーの反応が怖かった。もしも彼氏面してアメリカまで行って、

うわー、こいつ、マジかよ。お前10年前の元彼だから。

みたいな顔をされたらショックで立ち直れない自信がある。

「俺だけだったらまあ確かに見つかったら問題になるかもしれないけどよ。お前はエヴィーのパーティーメンバーだったんだし、見つかったら『仲間に会いに来ただけだ』とか言えばいいんじゃねえの?」

こういうところ生い立ちは似てるみたいなのに、南雲さんって相手の反応とか全く心配しないみたいなんだよな。羨ましい。人の機微が気にならないんだろうか?

「いや、でも、俺まだ死んだままでしょ」

「正直その辺はもうお前のレベルから言っていつバレても構わん。お前が正式に発表するのは待ってほしいって言うから、後回しになってるだけだ」

「まあそうですけど、俺的にも行動を起こす前に公にはしたくないと言うかなんと言うか」

悩んではいるが実際のところかなり南雲さんの言葉になびいていた。南雲さんはノリだけでかなり悪いことをしようとしている。そんな気がしないでもない。ただ、俺がエヴィーのパーティーリーダーだったことは間違いない。

そしてそのリーダーが仲間にどうして帰ってこないのかと確かめるために来た。それってものすごく自然なことだ。何よりも俺の【転移】だと近づく過程で多分バレてしまう。でも南雲さんなら一発で、アメリカについてしまう。

それなら大丈夫な気がしないでもない。

「行きましょうか……」

南雲さんがいいというのだからいい気がしてきた。

「じゃあ手を出せ、手を」

「はい」

南雲さんの手と俺の手が触れ合った。

「ところでどこから行くんですか?」

「ニューヨーク。そこに万年樹が出現したって話は結構有名だ」

「ニューヨークに万年樹か。どんな感じなんでしょうね。景観的にかなり対極な感じしますけど」

「俺は見たことあるけど、説明するより見ればわかる」

一瞬の違和感が体を襲う。【転移】の時はいつも目を閉じるようにしている。南雲さんの気配を一応俺が一緒に消してあげる。俺もこのレベル帯の人たちにとっては大して気配を消すのが上手くないらしいが、南雲さんよりマシだ。

「——着きました?」

気配を消し続けているから南雲さんとの手は離せない。レダの話では、よほど気配を読むのが得意な人間がそばにいない限り、相手の気配を察知するというのは結構難しいらしい。人間は本来五感で感じることに慣れている。

【探索界】などのスキルは本当に危険な状況ならともかく、地球で常に発動し続けるのは、余計な情報を常に頭の中に流れ込ませ続けることにもなり、煩わしいのだそうだ。だから大抵の人は所持していても普段は【探索界】を切る。

「ああ、俺も久しぶりだ。ニューヨークも変わったもんだな。俺ってこう見えて"気配を消すスキルが何もない"からよ。さすがにここはバレるかなと思って、戦争が起きてからここ何年かは遠くからしか見てないんだよ」

「南雲さん、苦手とは聞いてたけど、マジで気配を消すスキル何もないんですか?」

「ないぞ」

「いっそ清々しいほど堂々としてますね。俺から手を離したら絶対ダメですからね。気をつけてくださいよ」

「かか、祐太。言うようになったな! いつの間にか保護者が交代したな!」

本当にこの人、俺が気配を消してないと、その気配がダダ漏れだった。隠れる気ゼロである。エルフさんこの人の保護者は大変だっただろうな。苦労が偲ばれる。

「ちょっとは覚えようと思ったことないんですか?」

「ないな」

「それで敵に見つかったらどうするんですか?」

「見つかったら殴ればいいと思ってる」

「お強いことで」

「褒めるなよ」

今のは褒めてないんだけどな、と思いながら周囲を見渡す。先ほどまで桜の大樹に覆われていた景色と一転していた。かつてのビジネス街として栄えていたマンハッタン。その中でも緑豊かなセントラルパークだと気がつく。

昔、南雲さんとここに来て、あの時も寒い季節だったのを覚えている。ということは1年前にもここに来て、また1年後の冬にここに来てる。あの時、エヴィーは俺に会えると思って、俺が来た後にここに来ていたらしい。

エヴィーの頭ではここで俺と二人でドラマチックに再開をする予定だった。

『それがかなり間抜けなことになって、私はニューヨークで泣いたわ』

と何度か愚痴られたものである。俺は悪くないと思うのだけど、俺はそれを言われるとよく謝ってた。そしてなぜかいつも慰めるのだ。

俺の中では1年ぶり、エヴィーの中では11年ぶり。それだけかけてエヴィーとニューヨークで今度こそ逢えたら、確かにドラマチックだ。そうすれば嫌なことなど全部忘れて、昔に戻れる気がした。

「雪だな」

「雪ですね」

エルダーリアでも雪が降っていた。ニューヨークも雪が降っていた。雪の積もった古いベンチを見つめた。そこには、まるで誰かが描いた絵のように、ふんわりとした雪がふんだんに乗っている。誰もそれを踏み荒らすことはない。

以前なら人の笑い声や、犬が雪の中を駆け回る姿があったのに静かだった。足元には新しい雪が積もっていて、目を上げると、灰色の空からはまだ降り続ける雪が、しんしんと舞い降りてくる。街の喧騒が遠い昔のようだ。

ニューヨークは随分と違った様相に変わり果てていた。

俺は息を吸い込み、冷たい空気が肺に広がるのを感じた。

「あれが万年樹……」

異界からのエネルギー循環炉。万年樹というものがそういう存在だと最近わかった。それは俺たちがいる場所から少し離れてた場所。千年郷の巨大桜ほどではない。まだそこまで成長していない。きっとまだ苗木なのだろう。

それでも、常識外れの大きさには変わりない。

【万年樹】

それは、その辺の山など比べ物にならないほどの大木。ニューヨークの大都市を支配している。圧倒されるほどの迫力。ビルディングが立ち並ぶはずの景色は、ずいぶんと老朽化が進み、自然の勢力が都市を侵略している。

地球にもし人がいなくなって1000年もすればほとんどのビルは崩れ去り、人がいた形跡は見ただけでは分からなくなると言われてる。それぐらいコンクリートやプラスチック。アスファルトといったものは永続性がなく、劣化しやすい。

100年も経過すると相当脆くなる。現代建築は強固に見えて常に人の手が入り続けないとすぐに消え去るハリボテのようだった。人の手が入らなくなってどれほど経ったのだろう。

万年樹の強力なエネルギーは周囲の環境を呑み込んでいき、ニューヨークなどと呼ぶにはあまりにも自然豊かな光景が広がり始めている。あらゆるビルが苔むして、ビルの代わりに巨木が育ち、立派な高層ビルが崩れている。

「ポツポツと人の気配がありますね。この気配は探索者だ」

「まあここには特級ダンジョンがあるからな。そりゃ探索者もいるだろう」

「南雲さんって気配を読むのは得意なんですよね?」

「任せろ。そっちは問題ない。お前がいくらそっちが得意だって言っても俺よりは低いはずだ」

「まあそりゃ南雲さんに勝ってるスキルなんて、気配を消すことぐらいでしょうけど」

レベルが違いすぎる。ここまでレベルが上がってもまだ南雲さんの方が倍ぐらいレベルは高いのだ。しかも10年よりもっと前から探索者最強火力と言われる南雲さんである。まだまだこの人には勝てっこない。

「ちょっと待て……そうだな……ロロンたちはいないみたいだ。あいつらは外では気配を消すタイプじゃないから、いればすぐに気付く。まあ、あいつらも今はダンジョンに集中してるって話だ。エヴィーの面倒もかなり見てたみたいだしな」

エヴィーが俺たち以外の探索者に面倒を見られる。いや今となっては弓神ロロンと瞬神ゲイルの方が仲間かもしれない。そう考えるとかなり胸がモヤモヤする。これで瞬神ゲイルとすでに付き合ってるとか言われたら。

だめだ。考えただけで瞬神の顔を殴りたくなってきた。

「エヴィーはどうだ? 【意思疎通】を送ってみろ」

南雲さんから言われて余計なことを考えるのはやめようと頭を振った。切り替えて【意思疎通】をエヴィーに送ってみる。でもダンジョン内にいるともっと上の【意思疎通】じゃないと届かないんだよな。返事がない。

しばらく待ってみたが声が返ってくる様子はなかった。そこからエヴィーの召喚獣全員に連絡を取ってみる。リーンとラーイはどんな時もエヴィーのそばにいるから期待していなかった。予想通り声は返ってこない。

黒桜と猫寝様にも送る。これも返ってこなかった。最後にクーモだが、喋れないのでちゃんと言葉が返ってくることを期待できない。でもクーモも【意思疎通】を使うことはできたので、念のために送ってみた。

これで何の返事もなかったら、みんなを待たせている状態でエヴィーを探し回る暇はない。何の手がかりも得られずに帰るしかなくなる。他の人間のものになったエヴィーを見るぐらいならその方がマシか……。

《誰……いや、六条様!?》

予想外のことに声が返ってきた。しかもしゃべれないはずだから声が返ってきても、感情が伝わるだけだと思ったのに、はっきりと人間の言葉だった。

《クーモか?》

《そうだよ。クーモだ。六条様。ようやく会えた。10年経ったし、もうすぐ私に会いに来てくれるんじゃないかって、ここで待機していたんだ。やっぱり私の予想は正しかった。今すぐそっちに行くから動かないで! いや、六条様、どこにいるんだ!?》

《えっと、ここ》

【意思疎通】で送ってからすぐのことだった。驚くほど自然にそして突然にクーモが俺の後ろに現れていた。南雲さんは最初からそっちを見ていた。相変わらず気配は消せないけど、相手の気配にはかなり敏感なようだ。

俺の方は一歩遅れてそっちを見た。そこにいたのは……。

「アウラ……」

見た目は違う。でもそう感じた。アラクネと呼ばれるものたちの中で俺の命を助けたアウラという女。そして俺の炎の能力と全く別系統の糸という能力は、その女が俺に混じったことでできている。

昔、俺はミカエラに完膚なきまでに破れて、本当はあの時に死んでた。それでも生きてるのがアウラのおかげだ。そう思うと未だに俺を守るように糸の能力が出続けていることが、暖かくもあった。

光沢のある赤い甲殻にも見える装甲が、上下のつながった水着のようだ。アウラと同じく人間と同じ手と足が生えているし、胸もお尻もある。アウラと違い背中に蜘蛛の足もない。

アウラは20代後半の大人の女性だったが、クーモは10代後半の少女のような若さが感じられた。ただその後ろには、うっすらと50mを超えるような巨大蜘蛛の姿が見えた。

「お母様と同じように見てくれるなんて嬉しい。あれから種族進化を繰り返して、今は蜘蛛神アラクニスという単一種族になってるんだ」

「そうか……えっとクーモって呼んでいいのか?」

「もちろん。私の名前はいつまでたってもクーモのままだ」

なんだかどちらかと言うと男っぽい名前だし、どう見ても女性には似合わない名前な気がした。それでも本人が気に入っているのだから問題はないのだろう。それにしても何気にクーモの奴、俺より間違いなく強いんだが……。

クーモの後ろに見える巨大蜘蛛が一瞬でも動いた瞬間、死ぬと感じられた。

「本当に成長したんだな」

「それは当然だ。六条様が帰ってきた時のためを思って、私はエヴィーの元で強くなったんだから」

「俺のためって。俺がお前に何かしてあげられた記憶なんてないんだけど」

強さは格段に上がった。それをひしひしと感じる。与えてくるプレッシャーに南雲さんと似たものを感じる。それだけエヴィーは俺よりも強いんだ。まあ俺のパーティーメンバーで、俺より弱いのは玲香だけだけど。

エヴィーがまだ俺達のパーティーメンバーでいるつもりなら、強さの上でトップは間違いなくエヴィーだと感じられた。

「お母様がお前を好きだった。私にはそれだけで愛しい」

「アウラもそんな感じだったよな」

アウラからして俺を好きになった理由が、分からなかった。そもそもアウラは俺がミカエラに殺されかけて、意識を失って、目が覚めたらいなくなっていた。そして俺はアウラに命を救われたことだけが漠然と分かっただけだった。

「何も不思議はない。モンスターが自分に勝利したものに対して恋心を抱くのはよくあることだ」

そんなことをレダが教えてくれた。そういえばつい最近そういうこともあった。バルガレオルはどう考えてもオスなので好きなどという感情ではないだろうが、勝った後は俺に従ってくれた。アウラの俺に示した献身がずっと不思議だった。

その理由が今、少し分かった気がした。

「人には理解できなくていい。私がそうならそれでいいんだ」

「そうか……」

「ところで六条様。こいつは……?」

クーモが南雲さんを少し警戒しながら見た。

「南雲だ」

「お、お前が南雲っ! では、お前が大戦犯か!?」

名前だけは分かるのかクーモは目を見開いて驚いていた。

「クーモ。あの戦争のことを言ってるのか? それなら取り消せ。こっちから言わせたらロロンと王の方が大戦犯だ。分かったか?」

「あ、いや、ごめんなさい。えっと、と、ともかく、2人とも私に触れ。もう少し気配を消さないと、人に見つかるぞ。特に南雲友禅。お前は強すぎるのに気配をだだ漏れにさせすぎだ。ここに喧嘩を売りに来てるとしか思えんぞ」

「ああ、悪い悪い」

「すみません。南雲さんの気配を大きすぎて消しにくいんですよ」

俺と南雲さんでアウラの右手と左手を握った。その瞬間自分たちの気配が限りなく薄くなっていくのに気づく。この感覚、千代さんの【超自然】と同じぐらい自分の存在が薄くなっていくのがわかった。

クーモが気配を消すのが得意なのは今も変わらないようだ。俺も【転生】したおかげか、以前のような苦しさは感じなかった。それでも自分が実際そこにいるのかいないのかかなり分かりにくい。

「それで六条様の用事はやはりエヴィーか?」

エヴィー……主と呼ばないことに若干違和感を覚えた。

「そうだ。エヴィーは元気だよな? 他のみんなは?」

俺はその質問には緊張した。これでエヴィーが伊万里と同じく、俺と敵対していたらどうする。レダの言葉からして、俺のダンジョン破壊も理解した上での裏切りだったらどうする。

「エヴィーは元気にはしている。私も不本意だけどエヴィーのことは守ってるから」

「エヴィーと喧嘩でもしたのか?」

召喚獣が1体でここにいた。明らかに主と違う行動をとっている。

「それにどうして主と言わないんだ?」

俺が仲間としているような形だけの召喚獣ではない。エヴィーに完全に従属する形で、クーモは召喚獣になったはずだ。

「エヴィーは六条様のパーティーを抜けてここに来た。その時点で、私は一瞬でもエヴィーに仕えるのは嫌だった。でもラーイから、『祐太が10年後に帰ってくるのは確実なのだ。それまでにそんな弱い姿でいるつもりか。今のままの強さでは、祐太が帰ってきても何の役にも立たないぞ』そう言われて仕方なく、3日ほど前までは従ってたんだ」

「今は?」

「召喚獣の契約を解除してもらった。六条様、私は今日からはあなたに仕えるから」

クーモの戦力はかなり魅力的だ。おそらくクーモは今の全開状態なら、伊万里より強い。そしてクーモが仲間になれば、隠密行動もやりやすくなる。しかしそれはエヴィーの方にも言えること。

何よりもレダの言葉が気になっていた。エヴィーも面倒なことに巻き込まれている。それも伊万里の事よりも大きいという。それでもクーモの契約を解除した。そして俺に渡そうとした。そのことにほっとしてしまう。

エヴィーは俺から心が離れているわけではない。少なくともエヴィーの心は伊万里ほど複雑怪奇にはなってない。そう思った。そう信じたいのかもしれない。

「クーモ。俺に仕えるのか?」

「そうだ。もともと私は六条様に仕えたかった。意味はないかもしれないけど召喚獣と召喚士の契約がしたい」

自分で口にしているあたりクーモも理解している。召喚士でないものの、召喚獣になっても、なんのメリットもない。バルガレオルも召喚獣の契約ではなく、ただ従うとだけしたのは、契約を結んでも意味がないからだ。

俺の召喚獣になったところで、エヴィーの時の半分の力も発揮できない。それぐらいジョブというのは大事だ。自分に合ってないものになろうとしても無理なのだ。

「最初にじゃあ命令をさせてくれ」

「何でも言って」

サッと片膝をついてクーモが俺に頭を垂れた。俺から命令されるのが嬉しくて仕方なさそうだ。俺が言うべきことは決まっていた。伊万里よりもまだ面倒な状況になっている。そんなエヴィーから戦力を引き抜くなど考えられなかった。

「じゃあエヴィーのところに帰って、エヴィーの召喚獣として働け」

「……それが命令?」

「嫌か?」

「いいえ、それが六条様の望みなら叶える。それなら納得して動ける」

「ありがとう。クーモ、他の仲間は?」

「リーンとラーイと猫寝。全員元気にしている。ただ、黒桜は死んだと聞いた」

「そうか……」

飄々としていて一番死にそうになかった。あんな陽気なやつが死んだと聞いて、俺は下唇を噛んで、どうして10年もいなかったんだと自分が腹立たしくなった。唇を噛みすぎて血が流れた。それがすぐに回復してしまう。

「こういうことがあるたびに自分の弱さが嫌になる」

隣から頭にポンと手を置かれた。南雲さんだった。

「まあ元気だせ。俺もババアが死んでる。未だにマジで死んだのかって思える時がある。でも死んでるんだよ。それは仕方ないことだ」

仕方がないと思う。そうやって何度も受け入れて、また歩いていくしかない。神であれなんであれ死ぬのは仕方がない。そういうものなんだ。

「クーモ」

「なんだ?」

「俺の考えではよっぽど長引くことがない限り、1ヶ月以内には再びここに来れる。クーモ、1ヶ月ぐらいエヴィーは大丈夫か?」

「10年大丈夫だったのだ。急に死んだりしない。六条様に言われたから私も今から戻って守る。ご心配なく」

「じゃあ1ヶ月後にエヴィーを連れてここに来てくれ。無理でもできればここに来てくれ。もし俺が直接ここに来れなくても他の誰か……」

チラッと南雲さんを見てしまった。

「OK。祐太が無理でも俺が来てやろう」

「了解。エヴィーが嫌がっても引きずってでも連れて来るから安心して」

「あんまり無理するなよ」

「分かってる」

「じゃあ行け。今頃きっとお前がいなくて、エヴィーは困ってる気がするからさ」

「はっ」

クーモは俺たちから手を離すと同時に、巨大蜘蛛ごと再びその姿がすうっと消えた。そこからもう俺にはクーモがどこにいるのかわからなくなった。