作品タイトル不明
第三百四十四話 最終チェック
それはまるで人形のように見えたが、俺は目覚めぬ兎をマジックボックスの中に大切にしまった。それからシルバーカプセルも全て開けて、アイテムを整理し終わる。俺は教室のようなガチャゾーンの中に忘れ物がないか確認した。
ストーンガチャのアイテムでも市場価値がバグって、何気に1億円ぐらいするものがあったりする。
「1億円を忘れたなんてことになったら大変だ」
口にしながら、もう一度部屋の中をよく確認した。古ぼけた教室の景色。こういう景色にはあまり良い思い出がない。ついそんなことを思ってしまいながら、忘れ物がないか確認して外に出ると、クミカがすでに待っていた。
「そっちの方が早かったんだな」
クミカは何も言わずに俺の影の中にスッと入り込んできた。教室の前で1人で待ちぼうけするこの時間が嫌だったのだろう。すぐに心がつながれ、クミカのステータスと手に入れたアイテムが、頭の中に流れ込んでくる。
クミカもシルバーの専用装備が完全に揃い、さらにゴールドの専用装備が5つ揃っていた。その中でもクミカがルビー級の専用装備を1つ手に入れていたことが嬉しい。
【闇帝・エルレス】
その魂が使われたルビー級専用装備だ。クミカの専用装備の武器はどれもメインが日傘になっている。俺の影の中で黒く強大な気配を放っている日傘があるのがわかった。これによって能力も大きく向上する。
事前にできることはした。しなければいけなかった用事は一通り終わったと言える。あとは米崎を迎えに行き、シルバーエリアの入り口で待っているはずの雷神様も連れて、ゴールドエリアの支配を開始する。
ルビーエリアから外に出ると、【千年郷】の太陽光がまぶしく照りつけていた。俺は最後に頭をもう一度整理したくて、クミカにも頼んで2人のステータスを表示させた。
名前:六条祐太
種族:鳳凰族
レベル:650
職業:千年郷の主
称号:桃源郷神の聖夫
HP:11517(+4875)
MP:5978
SP:9117(+4875)
力:11221(+5175)
素早さ:12300(+5175)
防御:11250(+5175)
器用:9374(+5175)
魔力:5433
気力:10797(+4875)
知能:4787
魅力:90
ガチャ運:9
装備:ルビー級【炎帝・羅刹の刀】六条祐太専用装備
ゴールド級【赤竜・垓の額当て】六条祐太専用装備
ゴールド級【赤竜・垓の胴鎧】六条祐太専用装備
ゴールド級【赤竜・垓の脛当て】六条祐太専用装備
ゴールド級【赤竜・垓の籠手】六条祐太専用装備
ゴールド級【赤竜・垓の陣羽織】六条祐太専用装備
ゴールド級【赤竜・垓の魔法護符】六条祐太専用装備
ゴールド級【赤竜・垓の物理護符】六条祐太専用装備
ゴールド級【赤竜・垓の刀】六条祐太専用装備
ゴールド級【赤竜・垓の指輪】六条祐太専用装備
ゴールド級【赤竜・垓の履き物】六条祐太専用装備
ブロンズ級【美火丸の首飾り】六条祐太専用装備
サファイア級【天変の指輪】
魔法:シルバー級【機密保持】(常時発動可)
ゴールド級【徹甲爆弾レベルMAX】(MP200)
ルビー級【バリア】(MP1~∞)
ルビー級【自動人形】(MP300~∞)
ルビー級【赤天核】(MP1000)
ルビー級【転移レベル6】(MP300)
ルビー級【異界化レベル3】(MP500)
ルビー級【マジックボックスレベル3】(3000㎏)
サファイア級【時間停止レベル1】(MP1500)
スキル:ルピー級【紅炎鳥】(SP400)
ルビー級【紅炎龍刃】(SP500)
ルビー級【金剛力レベル4】(SP200~)
ルビー級【超自然レベル1】(常時発動可)
ルビー級【念動力レベルMAX】(常時発動可)
ルビー級【探索界レベル4】(常時発動可)
ルビー級【索敵糸】(SP1~∞)
ルビー級【炎蛇百連撃】(SP500)
ルビー級【韋駄天レベル8】(常時発動可)
ゴールド級【認識物可視化】(常時発動可)
ストーン級【永続睡眠耐性】(常時発動可)
ルビー級【意思疎通レベル7】(常時発動可)
統合魔法:サファイア級【鳳凰鏖殺翔】(EP10000~)
装備スキル:ストーン級【縛糸】(SP8)
ストーン級【斬糸】(SP13)
ストーン級【炎流惨】(SP18)
ストーン級【斬糸繰々】(SP25)
ブロンズ級【灰燼】(SP52)
ブロンズ級【獄斬】(SP70)
ブロンズ級【煉獄斬】(SP99)
シルバー級【炎華鏖殺陣】(SP113)
シルバー級【糸華死縛陣】(SP143)
ゴールド級【叢雲焔】(SP300)
ゴールド級【焔閃光】(SP300)
ルビー級【 金華火繚乱(きんかかりょうらん) 】(SP700)
ルビー級【絶火】(SP800)
サファイア級【天炎】未承諾
種族スキル:ルビー級【超速再生レベルMAX】(SP1~600)
ルビー級【炎無効】(常時発動可)
サファイア級【復活】(1日1度)
サファイア級【鳳凰飛翔】(常時発動可)
クエスト:二階層S判定 三階層S判定 四階層S判定 五階層SS判定
六階層S判定 七階層S判定 八階層S判定 九階層SSS判定
十階層S判定
シルバー級昇格キークエストSS判定
ゴールド級昇格キークエストSSS判定
ルビー級昇格キークエストSSS判定
入国許可:大八洲国 ユグドラシル国
資格:ダンジョンシステムアクセス権・D
「こうしてみると【ルビーの果実】もだけど、他の果実も数が集まると馬鹿にできないな」
俺の中にいるレダに声をかけた。
「総合して+4000ほどか。これにルビーの+が合わさるとステータスの合計が+1万4000。馬鹿にできないどころではない。ガチャを回した後と前とで、別人のステータスのようになっている。ここまで極端に変わるやつも珍しい」
いつも一番伸びが良い素早さがガチャの前は10450だったのが、ガチャの後だと12300まで上がっている。装備も一新され、今の自分のパワーに追いついてくれるゴールド級【赤竜・垓】に入れ替わり、さらに【炎帝・羅刹】がいる。
俺は自分が確実に強くなったことを実感しながら、クミカのステータスも確認した。
名前:クミカ
種族:精霊族
レベル:650
職業:鳳凰の守護精霊
称号:精霊王
HP:8394
MP:10655(+3950)
SP:4780(+1000)
力:8951
素早さ:8914(+3650)
防御:10115 (+3000)
器用:10785(+3950)
魔力:11310(+3950)
気力:4780(+3650)
知能:8072(+3950)
魅力:90
ガチャ運:7
装備:シルバー級【闇の精霊チェルシーのヘッドドレス】クミカ専用装備
ゴールド級【黒の女王グレイスの姫袖ブラウス】クミカ専用装備
シルバー級【闇の精霊チェルシーのレッグウォーマー】クミカ専用装備
ゴールド級【黒の女王グレイスのお袖留め】クミカ専用装備
ゴールド級【黒の女王グレイスのスカート】クミカ専用装備
シルバー級【闇の精霊チェルシーの魔法護符】クミカ専用装備
ゴールド級【黒の女王グレイスの物理護符】クミカ専用装備
ルビー級【闇帝エルレスの日傘】クミカ専用装備
シルバー級【闇の精霊チェルシーのチョーカー】クミカ専用装備
ゴールド級【黒の女王グレイスの靴】クミカ専用装備
ブロンズ級【マルシェの首飾り】クミカ専用装備
シルバー級【マジックバッグ】(200㎏)
魔法:シルバー級【機密保持】(常時発動可)
ルビー級【バリア】(MP1~∞)
ルビー級【影喰い】(MP1000)
ルビー級【超重力】(MP500~∞)
ルビー級【影転移レベル7】(常時発動可)
ルビー級【異界化レベル4】(MP1000)
ルビー級【マジックボックスレベル4】(10000㎏)
固有魔法:ルビー級【爆発】(レベル依存)(常時発動可)
ルビー級【鑑定】(レベル依存)(常時発動可)
ルビー級【束縛】(レベル依存)(常時発動可)
ルビー級【心眼】(レベル依存)(常時発動可)
ルビー級【黒死】(レベル依存)(常時発動可)
精霊魔法:ルビー級【水精使役】(1000体)
ルビー級【光精使役】(1000体)
ルビー級【闇精使役】(1000体)
スキル:ゴールド級【金剛力レベル1】(SP120)
ルビー級【超自然レベル1】(常時発動可)
ルビー級【念動力レベルMAX】(常時発動可)
ルビー級【探索界レベル4】(常時発動可)
ゴールド級【韋駄天レベル5】(常時発動可)
ゴールド級【認識物可視化】(常時発動可)
ストーン級【永続睡眠耐性】(常時発動可)
ルビー級【意思疎通レベル7】(常時発動可)
統合魔法:サファイア級【三精の集い】(EP10000~)
装備スキル:ストーン級【影操作】(SP8)
ブロンズ級【黒腐り】(SP70)
シルバー級【闇の夢】(SP150)
ゴールド級【死の唄】(SP320)
ルビー級【夜闇】(SP900)
種族スキル:ルビー級【超速再生レベルMAX】(SP1~600)
サファイア級【状態異常耐性】(常時発動)
サファイア級【蘇生】(1日1度)
サファイア級【精霊対話】(常時発動可)
クエスト:二階層SS判定 三階層SS判定 四階層SS判定 五階層SS判定
六階層SS判定 七階層SS判定 八階層SS判定 九階層SS判定
十階層SS判定
シルバー級昇格キークエストS判定
ゴールド級昇格キークエストS判定
ルビー級昇格キークエストS判定
入国許可:大八洲国 ユグドラシル国 盤国 蓬莱国 ムー国
資格:ダンジョンシステムアクセス権・D
クミカの方にも果実がいくつかあったようで、彼女は俺がそうしていたから、自分が出した果実を消費する方針で、すでに食べている。そのことで合算で+2000ほどステータスアップをしたことが頭の中に流れ込んでいた。
「結構装備が色とりどりだな」
俺はレダの部屋で言った。クミカが寝てしまっているので、彼女の装備についてレダと考えを巡らせる。彼女の装備は、
シルバー級【闇の精霊師チェルシー】
ゴールド級【黒の女王グレイス】
ルビー級 【闇帝エルレス】
この3種類の装備が混在している。さらに、俺の美火丸のようにストーリーが解放された装備は【マルシェの首飾り】で、それによって4つのステータスに+300がついている。装備によるバフをクミカのつないだ心から、詳しく聞く。
今の時点で、
シルバーが6ステータスに+650
ゴールドが7ステータスに+2000
ルビーが8ステータスに+1000
の効果を与えていた。ストーン級の専用装備だったマルシェがフロンズ級の首飾りに成長して、一番影響を受けているステータスは+3950になる。クミカもガチャ運はいい方なので、俺ほどではないにしろかなりガチャの後でステータスが変化したと言えた。
「普通は新しいガチャを回した後はこのようになるな。ガチャ運がいくら良いものでもゴールド級ぐらいから専用装備を揃えるのには時間がかかって、むしろ、装備が完全に統一されている方が珍しい」
「確かに、俺もルビー級ぐらいから揃えるのには時間がかかりそうだな。でも俺のステータスよく見ると羅刹のバフが加算されてないんだな」
「お前は二刀流ではないし、ちゃんと装備してるのは【赤竜・垓】の方だ。当然バフがあるのは垓だけとなる」
二刀流というスタイルもあると聞くが、二刀流の場合、同じ等級から武器が2つ同じ刀で出てくるらしい。俺はそのスタイルではない。専用装備には大抵武器が2つあるのだが、それぞれ全く別のものだ。
今回のもう一つの武器は【赤竜・垓の指輪】。どうやらアウラの糸の能力が俺の魂に染み付いているようで、力の形となって現れることが多い。【赤竜・垓の指輪】は指輪から炎の糸が出る。そして射程がえげつなく長い。
敵を殲滅してしまいたい時には、これがどこまでも長く伸びて相手の首を焼き切ってしまう。そういう暗器に近い武器のようだ。
「それでもバフが十分に大きいよな」
俺の最大バフがかかっているステータスで+5175。その他の変化としてはクミカが装備スキルとして生えた。
シルバー級【闇の夢】(SP150)
ゴールド級【死の唄】(SP320)
ルビー級 【夜闇】(SP900)
俺の装備スキル。
ルビー級 【金華火繚乱】(SP700)
ルビー級 【絶火】(SP800)
サファイア級【天炎】未承諾
である。
「クミカはどれもかなり変わったスキルだな」
クミカは黙ったままで、俺はレダとばかり喋ってしまう。まあ彼女はそれをずっと聞いているだけが好きなのである。しゃべりたいよりも聞いていたい。そういうタイプなのだ。
「だが、固有スキルが強すぎて、ほとんど魔法もスキルも使う必要がないだろうな」
「それな。正直いろいろ生えてもミカエラが持っていた固有スキル【爆発】だけで、ほとんどの攻撃魔法を補えちゃうんだよな。【束縛】も【心眼】も補助として強力すぎるし、名前も変わらないままちゃっかりルビー級になってるし」
かつてミカエラが俺に【大爆発】という魔法を唱えたことがある。しかしそれもミカエラが口に出してそう言ってただけで、クミカと共有した情報を確認する限り、ただ【爆眼】に大きく魔力を込めた爆発だったようだ。
その威力が今も上限なく上がり続けてるのだ。
「まあミカエラはそうじゃなかったらとっくに、死んでただろうしな」
クミカを構成する3人はそれぞれに良いところを持っているが、ステータスに関しては圧倒的に恵まれているミカエラ。かつてのクズすぎるパーティーメンバーが足を引っ張り、それが逆にミカエラを強くした。
だが、自分の特異性を知っただけに、その俺よりもまだ強いのではとすら思えるミカエラの固有魔法が特異に見えた。
「どう思う?」
「わからん。ただ極めて稀に様々な要因が重なってバグのようにステータスが良くなる探索者はいる。そしてそういう探索者がサファイア級をさらに超え、真性へと至る。昔の私のステータスと比べると、クミカは近いものがあるな」
「なるほど……レダみたいに才能が豊かだってことか」
ともかく一通りガチャの結果を確認し、ステータスに反映させて頭の整理が終わった。俺は歩き出すとそのまま廊下を戻っていき門番に軽く挨拶をして、学校の門を抜けていく。外の空気を吸い込んだ。
「入学するんじゃないのか?」
俺が学校をもう一度確認しようと振り返ると、男の門番が俺に声をかけてきた。
「ええ、まだやらなきゃいけないことがあるの」
女性がしゃべるように自然と喋っていた。
「そっか。なんかあんたは大変そうだし、頑張れよ」
《ちっ、入学しないのかよ。残念すぎ——》
クミカが俺に目の前の男の考えていることを教えてくれる。しかし必要ないと思うとすぐにそれが途切れた。
「その時はよろしくお願いします」
俺は微笑み返す。彼の顔が赤くなっていくのが少し可笑しかったが、俺はそのまま外に出た。
「——10年半ぶりか……。ここで弁財天とも知り合ったんだよな」
桃源郷にある六条屋敷にようやく帰ってきた。門をくぐると六条屋敷には内部が確かめられないように認識阻害がかけられている。だから気配をすぐに戻した。シャルティーが先に帰っていて、喜んだ顔で切江と出迎えてくれる。
そしてその後ろにからくり族の女性が控えていた。
「シャルティー、その人は?」
見た目が機械的だったから人には見えなかったけど、だからと言って『そのからくり族は?』と聞くのは見下しているようで憚られた。
「ご主人様。このからくり族は米崎博士のお造りになられたヒノエですわ。ヒノエ、私と切江のご主人様がようやくお帰りです。ご挨拶を」
「鳳凰様。博士よりお聞きしております。私は女性型からくり族、赤城ヒノエと申します。凡庸戦闘型でありレベル276ほどの戦闘能力を博士より頂いております。中へとご案内いたしますので、ついてきてください」
「随分と流暢に話すもんだ」
俺は感心する。見た目に機械的なところがいくつか見えたから、もう少しロボットらしい感じかと思ったが、喋ると人間と変わらなかった。ヒノエはスリムでありながら、筋肉質でしなやかな体型をしていた。
人間の女性と同様のプロポーションを持ち、肌は滑らかで、目は大きく、黒目の部分がカメラのレンズのように光っている。長い黒髪には光るストリップが組み込まれていて、それは未来を感じさせるデザインだった。
服は、伝統的な和風のデザインを取り入れた装いである。丈は膝上で、少し大胆な印象を与える。そのからくり族に案内されるまま中に入った。
「この辺は俺がいなくなった時のままだ」
「博士は主である鳳凰様に無許可であまりいじるのは良くないと、できるだけ表側には手をつけていないようです」
「へえ、裏側は?」
「怒られないか心配だと言っていました」
「そっか。この10年この屋敷はどんな感じだったの?」
「はい。それは——」
この屋敷が10年も経過したらなくなっていてもおかしくないと思っていた。米崎がどうやら管理運営してくれていて、俺がいなくなった最初の頃は、日本側の探索者も自由に出入りしていたが、徐々にその頻度を減らしてくれたようだ。
今はパーティー仲間以外では南雲さんぐらいしか利用しなくなり、俺が帰って来やすいように他の目は徹底的に排除してくれている。おかげで、今は人目を気にする必要もなく、気楽な気持ちでいられる。
男に戻るかどうかも悩んだが、外に出るときにまた男に戻るのが面倒だったため、そのまま中へと歩いて行く。いつか見たことがあるような、片付けられない資料だらけの部屋へと通された。間違いなく米崎の部屋だった。