作品タイトル不明
第三百三十七話 白蓮話
「綺麗……」
「バカ。貴族相手に失礼だぞ」
桃源郷の転移駅に着き、近くの駅員らしき人間が顔を赤らめる。周囲には人がたくさんいたが、彼らの目が俺を捉え、驚いたように視線を向けてくる。
「そ、そうだった。申し訳ありません!」
思わず口にした言葉を慌てて謝るが、周囲の人々は俺の姿に興味津々で、ますますその視線を強めていく。背中から炎の翼を生やした女性の姿は、今の大八洲国ではなかなか見かけないようだ。俺自身は貴族ではない。
日本の探索者として、ここでの地位は大きくは見られていないだろう。しかし、吉祥天がいる。駅員が慌てて他の人々を下がらせる。
「こ、これはこれは吉祥天様」
「あなた今私が見えてませんでしたね?」
「いえいえそんなことありませんよ。連絡して下さればお迎えしましたのに。それでこの方は?」
駅員の口調が急に丁寧になる。彼の目が俺の顔を見つめて、心臓が激しく鼓動している音が聞こえる。もう一つの瞳を用意して、外からその様子を見ると、俺の肌は柔らかな光を受けて、まるで真珠のように輝いていた。
俺自身であるはずの女の姿は、まるで神話から降り立ったかのようだった。黒髪が、太陽に照らされて艶やかに輝き、その瞳は深い湖のように透明で、見つめる者を引き込む不思議な力を持っている。
まるで女の存在が、全ての美しさを凝縮しているかのように思えた。周囲の人々の目が女に引き寄せられ、俺の心は女の魅力に圧倒され、ただ静かにその姿を見守るしかなかった。
「新しく地球で貴族となられた鳳凰様です」
「ほ、鳳凰……たかが地球の貴族が?」
駅員は驚きのあまり、言葉が詰まっている。彼の目には明らかに敬意が宿っていた。
「今、何かおっしゃいました?」
俺の声には少しの威圧感が混じる。自分でも驚くほど、自然にその口調が出てしまった。周囲の注目が集まっていることを感じ、自らの立場を意識する。
「い、いえいえ申し訳ありません! それで、どちらへ?」
「【本洲・高天原前】でお願いします」
俺の言葉に、駅員はすぐに反応し、深く頭を下げた。
「畏まりました」
彼は自分たち専用の進行方向を指示し、俺たちを案内する。周囲の視線を感じながら、俺は少し緊張する。やがて、無事にブロンズエリアのゲートをくぐり、【千年郷・日本国】に到着した。
「先程はすみません。あの男はきつく叱っておきますから」
吉祥天様が申し訳なさそうに言うが、俺は笑顔で手を振った。
「必要ないですよ。そんなことで怒っていたら、きりがないでしょう。それより、吉祥天様」
「はい?」
「ここはちょっと目立っておきたいので、普通に飛びますね」
俺はそのまま空へ飛び上がった。空中で身体が変化していく。南雲さんのように大きな姿ではないが、翼を広げれば10メートルほどの大きさだ。俺は鳳凰の鳥の姿へと変わり、周囲の人々の視線を一身に集める。
翼を振る。すると、静かに空へと舞い上がる。新たに日本に現れたルビー級探索者・鳳凰の名前が、千年郷中に広がった。
姿が鳥から人へと戻っていく。炎が漏れる翼が消え、美しい翼が肌に変わると、俺は南雲さんの屋敷へと到着した。門のところでは、待機していた女性二人が優雅に頭を下げ、俺を中へと案内してくれる。
南雲さんの屋敷は、まるで別世界のようだった。さすがに弁財天の城のような華やかさはなかったが、その立派な洋館は独自の魅力を放っていた。目に飛び込んでくるのは、深い赤色の絨毯が敷かれた広々とした廊下である。
絨毯は柔らかく、歩くたびに心地よい感触が足裏に伝わり、この場所が特別なものであると感じさせる。精巧な彫刻が施された木製の柱が立ち並び、その間には美しい絵画が飾られている。
高い天井には、豪華なシャンデリアが輝いており、無数のクリスタルが光を反射して、周囲を柔らかい光で包み込んでいた。
「どうぞ、こちらへ」
女性が微笑みかけるその笑顔に心が和む。俺は再び歩き出し、案内された通りに進んでいく。しばらく歩いて行くと、扉が再び開かれ、そこには南雲さんが待っていた。サングラスをかけ、俺の顔を嬉しそうに見てくれた。
吉祥天様やシャルティーたちとはそこで別れ、南雲さんが案内していた女性たちもさがらせる。
「その姿は?」
炎の翼を生やした女性の姿をしていたため、俺は少し恥ずかしさを感じたが、同時に南雲さんの反応が面白そうだとも思っていた。
「俺は南雲さんに死んだことにされてますからね。ばれない方がいいでしょう」
「悪かったよ。怒ってるのか?」
「いいえ、南雲さんがそうしたんならそれが一番良かったんだと思います。俺の姿ですけど実は、【転生】して鳳凰族になりました」
俺はようやく【転生】できたことに自信を持って言った。この姿を南雲さんに一番見せたかった。『あの時助けた小僧がこんなに成長したぞ』って言いたかった。
「そうか……烏丸が急にルービー級で鳳凰なんて凄そうなのが現れたって報告してきていたが、やっぱ祐太か。レベル650だったか?」
南雲さんは笑みをこぼした。すでにレベルを知ってるか。きっとトップランキング1000をその人が見て南雲さんに報告したんだろう。
「もう知ってたんですね。せっかく色々驚かせようと思ったのに」
俺は肩をすくめた。
「バカ。こう見えて結構驚いてる」
「綺麗でしょ?」
調子よく微笑みかける。南雲さんが魅力90の俺の顔に一瞬見とれてしまい、気まずげに目をそらす。
「確かに綺麗だ。吉祥天が『序列1位は譲れません』とかわけわからん【意思疎通】を伝えてくるわけだ。ただ、その姿の中身は男だろう。まあ確かに抱き心地のよさそうな女だがな。俺はそっちの気はない。だが、お前がどうしても相手をしてくれって言うならしてやらんでもないぞ」
「え、遠慮しときます」
慌てて答えると、南雲さんは笑いながら俺を見た。
「だろうな。祐太、飯でも食いながら話そう。酒も飲めるか?」
「もちろん飲めます」
「じゃあ酒と、いや、もう少し狭いテーブルがいいな。変えるか」
南雲さんは、手をかざして魔法を使った。テーブルが小さくなり、二人が向かい合って座れるように配置される。
「フレンチで良かったか?」
「ええ、大丈夫です」
「ワインは何がいい? これだけあるぞ」
その瞬間、南雲さんから【意思疎通】が送られてきた。俺の頭の中に、南雲さんの屋敷のワインセラーの映像が浮かび上がり、どのワインを選ぶか自由に決めることができると示している。
ヴィンテージの高級ワインがいくらでもありそうだ。南雲さんの後宮にいる女性の中でワイン好きがいるのだろう。あまり高価なものを選ぶのは気が引けたため、できるだけ安いものを探して目を走らせたが、どれも高そうだ。
そもそもこの人に高いとか安いとかの価値観があるのかも怪しい。そんなことを考えていると、目に留まったのは【Château Haut Brion2021】というラベルが貼られたボトルだった。白ワインのようだ。
「じゃあ、シャトーオーブリオンの2021って書いてるのでいいですか?」
「相変わらず、あまり酒はわからないか?」
「正直、勉強してませんね」
俺の戸惑いの感情が【意思疎通】で伝わったようだ。
「そうか。まあ、それもなかなかいい酒だ。ついでやる」
南雲さんは、手をかざしてグラスを二つ呼び寄せた。グラスが空中に現れ【念動力】でコルクが開かれていく。
「さあ、飲め」
南雲さんは言い、俺が選んだ白ワインをグラスに注ぎ込んだ。透明な液体がグラスの中で光を受けて輝き、香りがふわりと広がる。フルーティーで甘い香り。少しスモーキーさも混じっている。
「すぐにルビー級になるとは思っていたが、もうレベル650か。やっぱり早いな。10年前の報酬というわけか?」
「ええ、どう考えてもらいすぎですけどね。迦具夜がそうしてくれてました」
「そうか……お前も残念だったな」
迦具夜が死んだことを意識しているのか、南雲さんの表情が一瞬曇った。
「ええ、まあ……そうですね」
実際のところどうだろう。迦具夜は死んだと言えるだろうか。死んだは死んだ。でも……。今もクミカがいる。そのことに気づいているのかいないのか南雲さんは言及してこない。
「すみません。なんか曖昧な返事で」
「俺もお前だからって全部喋れるわけじゃない。お前だって俺相手に全部しゃべれるわけじゃない。そんなもんだ」
南雲さんは、何かを思い悩んでいるようだった。俺にはその気持ちが少しだけ分かる気がした。心の中で秘めた思いを抱え、言葉を選ぶのは難しい。だが、その時、南雲さんが話題を変えてくれた。
「それよりよ。一番最初に死ぬべき俺が一番最後に残ってる。全くふざけた話だ」
南雲さんの言葉には、どこか寂しさが滲んでいた。
「弱音を吐くわけじゃないんだが、正直俺はあんまり人の上に立って指示するなんて柄じゃない。お前、さっさとレベル1000を超えて仕事を手伝ってくれ。ほとんどのことは他の奴らに任せてるが、どうしてもレベル1000を超えないとダメな部分もあるんだ」
「俺より千代さんとか、雷神様とか、ジャックの方がレベル1000を超えるのは早いんじゃないですか?」
俺は尋ねる。この3人は俺よりはるかにレベルが高く、戦闘能力も高い。
「そうだけど、あいつらだいたい俺と一緒じゃねえか。内政も外交も苦手っぽい」
南雲さんは苦笑する。確かに、3人とも話し合うよりも殴る方が好きそうだ。そして、それは南雲さん自身にも当てはまることだろう。
「ババアと田中が抜けたのが痛かった。どっちもかなりそういうのが得意だったんだがな。真っ先にババアは死ぬし、田中は鈴を選ぶに決まってるしな。最後に俺が残ったんだから逃げるわけにもいかん」
その時、南雲さんがパチンと指を鳴らすと、前菜となる料理がテーブルの上に現れた。美味しそうな牡蠣料理だ。新鮮さが伝わってきて、海の香りがふわりと漂う。俺も口に運ぶと、柔らかな味わいが広がった。
海の香りが鼻をくすぐり、思わず顔がほころんでしまう。
「全くですね。田中と天使様は今頃どうしてるんでしょう」
「悪神のくせに火星を開発してるらしい。目の良いルビー級のやつに確認させたが、結構栄えさせようとしてるみたいだ」
「その人火星まで見えるんですか?」
「見えるんだよこれが」
南雲さんの言葉に驚きつつ、俺はその光景を思い描いた。火星が開発され、悪神たちが新たな地で繁栄を目指している様子は、まるで壮大な物語の一部のように感じられた。
「ってことは他の国にもそういう人いそうですし、火星が見えればきっと焦るでしょうね」
火星の開発が進むことで、彼らの勢力がさらに拡大する。レダの領地でも見たが、悪神たちが必ずしも破壊を行っているわけではなく、彼らもまた自らの土地を栄えさせることを考えているという事実に、俺は胸の内で納得していた。レダが言った言葉を思い出す。
『そうしなければそもそも生物として存在できん』
その言葉が真実であることを、俺はこの世界での経験から学んでいた。
「とはいえ、あの二人がいる限り、火星はもう手を出せる場所じゃない。あそこでは悪魔族が繁栄していく」
「帰ってきたら田中と会えるの楽しみにしてたんですけど」
「そうだな。あいつが自分の幸せを自分で見つけた結果だ。2人で仲良くやってるならいいかと思ってる。いや、まあ、こんな話をしても仕方ないな」
南雲さんは言った。気を取り直し、
「それよりお前に言っておきたいことがある。お前が一番気になっているはずの伊万里のことだ」
「……」
名前を聞くだけで胸がズキリとする。今まで聞いた中で、勇者は俺と敵対する関係にあるようだった。まさか本当に殺し合うなんてことになったら、伊万里だけは殺せる気がしない。伊万里だけは、俺にとって特別だ。
思い返せば、レダが言っていた言葉を忘れてはいない。もしもその言葉の通りで伊万里が本気で俺の命を狙ってたら、俺は自分の生きている意味が見いだせる気がしない。心の奥底に冷たい恐怖が広がる。
「祐太。お前はダンジョンに好かれる。その"究極系"っていうのがどういうことか知ってるか?」
南雲さんが俺の目を覗き込んで、真剣に聞いてきた。
「究極系ですか?」
「ああ、そうだ」
「知りません」
レダに聞けば教えてくれるかもしれないが、それを南雲さんから聞きたかった。
「俺も知らなかったんだがな。白蓮の婆さんっているだろう? まあ見た目は子供だけど完全に年寄りの声をしてる人だ。実際年齢も1000歳ぐらいだと言ってた」
「いますね。俺はあったことありませんがエヴィーはあったことがあります」
「伊万里はもうすぐそいつと会えるって所で逃げたらしくてな」
「逃げた?」
「その後も伊万里とは接触できていたんだが俺が白蓮の婆さんと接触してから、俺も含めて伊万里とは誰も接触できてない」
「伊万里は白蓮様に会ってないんですか?」
「それどころか接触する手はずになっていた日、他の人間が白蓮様に会えないように妨害したみたいだな」
「何でそんなことするんです?」
「理由は想像がつく。順を追って話すから聞いてくれ。俺はな。お前が消えてしばらく経った頃、伊万里の代わりに、白蓮の婆さんに呼ばれたんだ」
南雲さんの言葉を一言一句聞き逃さないように、しっかりと聞き耳を立てる。その言葉を忘れることがないように、心に刻み込んだ。
「何か白蓮様は教えてくれましたか?」
「ああ、ダンジョンから好かれることの意味と、勇者というものがどういうものか教えてもらった」
白蓮様の言葉。きっと俺が知りたいことの核心に迫っている気がする。聞くのが怖いような、早く聞きたいような心境で胸が高鳴る。胸……そういえば、女の体だったな、と余計なことを思い出した。
南雲さんがまた指を鳴らした。エビのビスクの香ばしい匂いが鼻腔に届く。温かいスープに料理が入れ替わっていた。南雲さんが口に運ぶ姿を見て、俺も少し食欲が刺激される。
「だからお前が知ってることはだいたい俺も知ってる。多分戦争前に俺が悩んでたことをお前も悩んでるだろ?」
「それは……」
「世界をぶっ壊すぐらいなら自分が死ぬべきじゃないかってな」
「……知ってるんですね」
どこが現実感のない話。それを白蓮様も南雲さんに話したようだ。ということはつまり、俺がダンジョンを壊してしまうという話がレダの与太話ではないということになる。南雲さんは俺の手が震えているのを見た。
「祐太、冷めるぞ。冷めたスープはまずい。安心して口に運べばいい。お前と敵対するぐらいなら俺が一緒に世界を壊してやる」
「南雲さん……」
「気楽に行け。ババアは俺が死ぬかどうか悩んでる時に言ってきたんだ。『足りない頭で考えたって仕方ないよ。どっちみち、あんた一人が死んだぐらいで戦争がおさまるものか。そんなに簡単な話なら私がとっくにあんたをぶっ殺してるよ』ってな。俺はそのババアの言葉を信じた。お前も俺を信じろ。お前が生きてるか死んでるかで世界は滅びはしない。そんな単純なものじゃないだろ?」
「そうなんですかね」
少し自信がなくなりながら答えた。俺はスープに手をつけた。濃厚なエビの味が口の中に広がり、美味しさが心を和らげていく。南雲さんが用意してくれたパンも香ばしく、シンプルな味わいが素朴さを感じさせた。
「そう思っとけ。白蓮の婆さんもな。お前が死んでも一緒だと考えてるみたいだ。俺にお前を殺すべきだなんて一言も言わなかったぜ。あっちは知っての通り真性の神にして勇者だ。称号だけ見せてくれたがな【 神(しん) 勇者】になってたぞ」
「レベルいくつぐらいなんですか?」
「それは知らんが、白蓮の婆さんと翠聖様はその昔戦ったことがあるって伝説があるらしい。それでもあの婆さんたちはどっちも生きてる。それがどれほどのことかわかるだろう?」
「俺じゃ想像もつかないですね」
翠聖様は翠聖樹そのものだ。おそらく1万年なんてはるかに超えて生きているような化け物だ。レダですら翠聖様を化け物だと口にしていた。つまり、白蓮様はそれと同じくらい強いのか。
《どう思う?》
と、心の中でレダに問いかける。
《白蓮か……懐かしき名だ。昔、私のところに訪ねてきたことがある。『勇者について教えろ』と言うから対価を要求したのだが、払わずに姿をくらませた。後にも先にも私に対価を払わずに踏み倒した腹立たしい女はあいつだけだ》
《い、いい思い出じゃなさそうだな》
《宿代に追加情報をやろう。白蓮はロキのパーティーメンバーだったやつだ。喧嘩別れしたとは聞いていたが、勇者でありながらまだ生きてるか》
《やっぱりそれって奇跡的なのか?》
《奇跡などというものではないな。あれほどしつこく女神ルルティエラ様から命を狙われ、それでもまだ生きているのだから恐ろしき神の一柱だ。今となっては私でも正面から対価をもらうのは難しいだろうな》
レダの言葉には重みがあった。俺はその真剣さを感じ取りつつ、南雲さんが語る白蓮様の存在に驚愕していた。彼女がどれほどの力を持ち、どんな経歴を背負っているのか。
それを知ることで、俺の心には更なる不安が広がる。自分がその世界に巻き込まれていることが、ますます実感を伴ってきた。
「まあ、お前もわかってるみたいだが、あの辺は化け物すぎて正直俺も強さがよくわからん。それで白蓮様曰く、勇者っていうのはな。ダンジョンに好かれたものを殺す役目を帯びて生まれてくるものらしい」
その言葉に、俺は一瞬息を飲んだ。勇者という存在が、ただの英雄や救世主ではなく、ダンジョンを壊す存在を殺す存在であるという事実が、俺の心に重くのしかかる。ダンジョンから好かれたということは、俺もまた殺される。
「それはやっぱりダンジョンから好かれたものが、ダンジョンを破壊するという話があるからですか?」
「そうだ。機械神が勇者を生み出し、ダンジョンを壊そうとするダンジョンに好かれたものを殺そうとしてくる。だからこの点に関しては機械神と女神は対立しているそうだ」
「どうしてそんなことになってるんですか?」
「白蓮様の話じゃ、この2つの神はそれぞれ人のルルティエラに別の役目を与えられていると言われてる」
「人のルルティエラが一番上なんですか?」
俺はてっきり一番上は女神か機械神だと思っていた。
「そうらしいぞ」
南雲さんの言葉に、俺の頭の中は混乱した。人のルルティエラが一番上だなんて、想像もしていなかった。だが、思い返せば、俺たち人間はこの世界の根源であり、絶えず影響を与える存在なのかもしれない。
「でも人は死んじゃいますよね?」
疑問を口にすると、南雲さんは少し考え込んだようだった。