作品タイトル不明
5-1
またいつでも魔法を教えると約束したものの、公園に行って以降しばらくカレン様が私の前に現れることはなかった。
やる気が削がれてしまったのかしらと、心配な気持ちになる。
ラネル魔術院の廊下を歩きながら、私はカレン様をレナード様に話した。
「レナード様。レナード様のところにカレン様はまだ来ていますか?」
「ううん。最近は来ないな」
「そうですか……。やはり不良品の魔道具を買わされたことがよほどショックだったのでしょうか……」
「え? 不良品? どういうこと?」
レナード様は不思議そうに尋ねてくる。
私はカレン様に魔法を教えてほしいと言われた件を一から説明した。説明を終えると、レナード様が驚いた表情でこちらを見ていた。
「メイベルさんのところにまで来たの!? 魔法を教えてほしいって!?」
「はい。でも、魔道具が全て不良品だったせいで、ろくにお手本を見せることすらできなかったんですよね……」
「いや、それ、絶対不良品じゃないよ……! カレン様がわざと危険な道具を買ったんだよ!」
レナード様は真っ青な顔で言う。
私は首を傾げた。
「でも、カレン様、魔道具が危険なものだったことにショックを受けている様子でしたよ?」
「いや、それは多分、メイベルさんが全部あっさり壊したからじゃないかな……」
レナード様は困惑顔で言う。
そんなことはないのではと思っていると、レナード様に深刻そうな顔で言った。
「メイベルさん、僕の知り合いのせいで危険な目に遭わせて本当にごめん」
「いえ、全く問題ないです! ちょっとひやひやしましたが、けがひとつしてませんから」
「それは本当によかったんだけど……。メイベルさん、今後カレン様に何か頼まれても構わないでいいから。あの人が近づいてきたら、すぐに僕に知らせて」
「私は大丈夫ですよ? それに、せっかくカレン様がやる気になっているのですし、魔法を教えてさしあげたいです」
「いや、絶対に近づかないほうがいい。もうあの人と関わらないで」
レナード様はきっぱりそう言った。
私は出来ることならカレン様に魔法を教えてあげたかったのだけれど、レナード様があまりに真剣な顔で言うので、ついうなずいてしまった。
***
それから数日後、私が魔術院の帰り道に魔道具店で買い物していると、この前と同じようにカレン様が現れた。
カレン様は悲しそうな顔で近づいてくる。
「メイベル様、この前はごめんなさい……」
「カレン様。どうなさったんですか?」
「魔法を教えてほしいなんてお願いして、ご迷惑でしたよね……。レナード様から、メイベル様に近づくのはやめてほしいと言われてしまいましたの……」
カレン様はしゅんとした顔で言う。私は慌てて言った。
「迷惑ではありませんよ! お気になさらないでください。それよりも、不良品をつかまされたことでやる気を削がれていないか心配していたんです」
「本当ですか? メイベル様はお優しいのですね」
カレン様は微笑んで言う。それから、持っていた鞄の中から何かカードのようなものを取り出した。