作品タイトル不明
4-13
しかし、カレン様の用意した魔道具は全て危険なものばかりだった。
魔法をかけたとたん体を締め上げようとしてくる植物だとか、襲い掛かってくるクマの人形だとか、ナイフが飛び出してくる箱だとか。
その度に魔法で叩き壊していたけれど、全部の魔道具を試し終わる頃にはさすがに息切れしてしまった。
「カレン様……! もうやめておきましょう。危険な道具ばかりです!」
「ええ……。そうですわね……」
カレン様は地面に転がる大量の壊れた魔道具を見て、虚ろな目をする。
「カレン様ご本人が試さなくてよかったですね……! どれも初心者には危険な道具ばかりですから。ほかにも購入した魔道具はありませんか? もったいないですが、使わずに処分したほうがいいと思いますよ」
「え、ええ……。購入した魔道具はこれで全部なので大丈夫です」
カレン様は虚ろな目のまま言う。
はじめて購入した魔道具が不良品まがいの危険なものばかりでショックを受けているのだろうか。気の毒に。
私は気落ちしているカレン様に向かって、励ますように言った。
「元気を出してください、カレン様! 魔道具の種類は多岐に渡るので、初めての買い物で失敗してしまうのは仕方ないですよ。よろしければ私がおすすめの魔道具店を教えてさしあげますから」
カレン様はこちらに引きつり笑いを向ける。
「そうですわね、お願いしようかしら……。けれど、今日のところはメイベル様もお疲れでしょうし、引き上げさせていただきますわ」
カレン様はげっそりした顔でそう言った。
結局、魔法を教えることもできなかったし、まともにお手本を見せることもできなかった。
レナード様がきっかけとはいえ、せっかく魔法を学ぼうとやる気になっていたのにお気の毒に。魔法はとっても楽しいものなのに。
ここへ来る当初は乗り気ではなかった私だけれど、気落ちしているカレン様を見たら同情的な気分になってしまった。
「カレン様、あまり気を落とさないでください! また来てくだされば、いつでも魔法をお教えしますから!」
私がそう言うと、カレン様はなぜか目を見開いて驚愕した顔をする。
それから、口元をひくひくさせながらも笑顔になった。
「ええ、それではお願いします」
「任せてください!」
私は笑顔で言う。
結局、カレン様は最後まで引きつった顔のままだった。