作品タイトル不明
4-6
「レナード様。あれ、カレン様ですよね?」
「そうみたいだ。なんでここまで……」
レナード様は怪訝な顔で言う。
カレン様は大勢の人に囲まれて困っているように見えた。なんとかしたほうがいいのだろうかと思っているうちに、カレン様の視線がこちらに向く。
カレン様はレナード様を見ると、困り顔からぱっと明るい笑顔になった。
「レナード様! よかった、本当にここにいらしたんですね!」
「カレン様、なぜあなたがラネル魔術院に?」
「また会いに行くと申し上げたではありませんか。お宅にお邪魔するよりも、いっそ通ってらっしゃるという魔術院に行ってみようと思って。レナード様が普段どんなことを学ばれているのか気になってしまいましたの」
カレン様は小首を傾げて、可愛らしい笑顔で言う。
彼女を囲んでいた生徒たちがいっそうざわめきだす。
「レナード様の知り合いなのか?」
「わざわざここまで来るなんて、どういう関係の方なんだろう」
みんなカレン様を見ながらひそひそ囁き合っている。カレン様はそんな視線を気にも留めず、軽やかな足取りでレナード様の元まで歩いてきた。
「レナード様、制服姿もとても似合っておりますわ。そんな姿を見ると、私もここで学びたくなってしまいます。そうしたらいつもレナード様と一緒にいられますね」
「ご冗談を。カレン様は魔法に興味がないとおっしゃっていたではありませんか。無理をして学校に入る必要はありませんよ」
「確かに今まで魔法には興味がありませんでしたが、レナード様と一緒に学ぶなら楽しそうです」
カレン様はふふふと上品に笑う。
周りの生徒たちは、そんな二人を眺めながらレナード様を追いかけて学園にまで……なんて小声で囁き合っている。
カレン様は、レナード様の手を取ると、ぎゅっと握りしめて言った。
「レナード様、カレンはもっとレナード様のことを知りたいですわ。レナード様はどうしたらカレンに心を開いてくれますの?」
カレン様は潤んだ目でレナード様を見上げている。
そんなカレン様をレナード様は戸惑い顔で見ていた。
しかし、レナード様は突然はっとした顔になると、慌てたようにこちらへ視線を向けた。
レナード様とばっちり目が合う。
その瞬間、レナード様はさっとカレン様に握られていた手を解いて言った。