作品タイトル不明
4-2
外観同様、目が眩むほど煌びやかな応接間に通された私は、ビロード張りのいかにも高級そうなソファに座らされ、かちこちになってレナード様が来るのを待っていた。
(それにしてもすごい……。レナード様、こんな別世界に住んでいるような方だったのね。気軽に来てよかったのかしら……)
私はついきょろきょろ部屋を見回してしまった。
金色の刺繍の入った、これまた高価そうなワインレッドのカーテン。壁に飾られた私でも知っている有名な画家の絵画。天井にかかっている繊細なシャンデリア。
魔術院にいる時は特に意識していなかったけれど、レナード様は私とは遠く離れたところにいる存在なのだと思い知らされる。
そんなことを考えていると、扉が開いてレナード様が入ってきた。
今日のレナード様は、当然魔術院の制服ではなく私服姿だった。白いシャツに銀の刺繍の入ったグレーのベスト、黒色のズボンという貴族らしい恰好をしている。見た限りでは元気そうで、体調を崩しているようには見えない。
レナード様は驚いた顔をしてこちらへ近づいてくる。
「メイベルさん! うちへ来るなんて一体何があったの?」
「突然お邪魔してすみません。レナード様が一週間も魔術院にいらっしゃらないので、心配になって来てしまいました」
私がそう言うと、レナード様は目をぱちくりさせた。
「え……、僕を心配して来てくれたの?」
「はい。今まで一週間もお休みされることはなかったので気になってしまいまして。お風邪など召されていないでしょうか?」
私がそう言うと、レナード様は両手で口を覆って何かつぶやき始めてしまった。
「メイベルさんが……メイベルさんが僕を心配してうちへ……」
「レナード様? あの、お邪魔でしたでしょうか」
「いや、全然! 来てくれて嬉しいよ!」
レナード様は勢いよく否定してくれた。私はその答えにほっとする。
「実は父上に魔術院に行くのを禁止されててさ」
「えっ、なぜ……!?」
「それが、僕がなかなか婚約者を決めようとしないから痺れを切らしたみたいで……。ここ数日、毎日貴族のご令嬢を家に呼ばれてお見合いみたいなことをさせられてたんだ」
レナード様はげっそりした顔で言う。
予想外の理由に驚いてしまった。
「まぁ、そんなことになっていたんですね」
「うん。全員断ってるし、父上にももうご令嬢達には会いたくないって言ってるんだけど、全然聞いてくれないんだ」
レナード様は疲れた顔で笑いながら言う。その表情からは、この一週間の苦労が透けて見えた。
私は気になったことを尋ねてみる。