作品タイトル不明
4-1
私の名前はメイベル・ホワイト。今日も元気にラネル魔術院に通っている。
しかし、今、気になっていることがある。
「レナード様、もう一週間も魔術院に来てないな……」
私は空っぽのレナード様の席を見て呟いた。
同じ魔術院に通っている侯爵家のご令息のレナード様が、ここ最近ずっとお休みなのだ。
ラネル魔術院は非公式の学校であるため、出席に関してはそんなに厳しくない。実家のお仕事だったり、並行して通っているほかの学園だったりを優先して、しばらく出てこない生徒も多い。
レナード様もご実家の用事でお休みすることはよくあるけれど、今まで一週間連続で来ないということはなかったので気になってしまう。
先生に尋ねてみても、ただレナード様からは欠席の連絡をもらっているということしか教えてもらえなかった。
もしかして、ひどい風邪でも引いているのではないか。
……お見舞いに行ってみようかしら。
ふとそんな考えが思いついた。ラスウェル侯爵家は有名な家なので、お屋敷がどこにあるのかは大体わかる。実際に訪れたことはないけれど。
様子だけでも見られれば安心できそうだ。もし風邪ではなくおうちのお仕事でお忙しいようなら、すぐに帰ってきてしまえばいいし。
「よし、行ってみましょう!」
私は早速、今日の放課後ラスウェル侯爵邸まで行ってみることにした。
***
「わー、すごいおうち……」
馬車から降り、ラスウェル侯爵邸の門の前に立った私は、思わず感嘆の声を漏らした。
まるで宮殿のような豪奢なお屋敷に、広大なお庭、並び立つ衛兵。
タウンハウスであるこちらのお屋敷でこの大きさなのだから、領地の家はどのくらいの規模なのだろう。
同じ貴族とはいえ、ホワイト伯爵邸のこぢんまりとしたお屋敷との明らかな違いに、眩暈がしそうだった。
私が圧倒されていると、衛兵の一人が警戒した顔で近づいてくる。
「どちら様でしょうか。ラスウェル侯爵家に何かご用ですか」
「あ、突然すみません! 私、レナード様とラネル魔術院で同じクラスのメイベル・ホワイトと申しまして……」
私がそう言いかけると、衛兵は険しかった表情を途端に和らげた。
「ああ、あなたがメイベル・ホワイト様ですか。どうぞお入りください」
「え、いいんですか?」
自分から訪ねてきておいて、あまりにあっさり中へ通してくれることに驚いてしまった。もう少し詳しく素性を聞かれると思ったのに、不審人物ではないか確認しなくていいのだろうか。
「メイベル様のことはよく聞いております。すぐにレナード様を呼んでまいります」
衛兵はそう言うと、にこやかに私をお屋敷の中へ案内してくれた。