軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

3-16

「本当に怪我はなかったんだよね? 防御の呪文はちゃんと効いた?」

「それがドレクスモルが水を被って興奮状態だったので効かなかったんです。なので、必死で水の攻撃魔法を使ったら、なぜか大きな水の玉が出てきてその中に閉じ込められました」

私が昨日の状況を説明すると、レナード様は真っ青になる。

「防御魔法の効かないドレクスモルを相手に一般の魔法で……!? かなり危険な状況じゃないか!!」

「えへへ、ちょっと死ぬかと思いました」

「笑い事じゃないよ! メイベルさん、もう絶対そんな危険なことはしないでね! ああ、領地訪問になんて同行せずに僕も魔術院に残っておくべきだった……!!」

「いや、それは行かなきゃ駄目ですよ! 重要な仕事じゃないですか!」

私は頭を抱えているレナード様に慌てて言う。

レナード様は、私をまっすぐ見て、もう絶対一人で危ないことはしないでね、と念押ししてきた。

気迫に押されるように、私はこくこくうなずく。

そろそろ騒ぎも収まった頃かと思い、私たちは教室へ戻ることにした。

教室まで歩きながら、レナード様は尋ねてくる。

「それにしても植物栽培室の近くにいたのは一体誰だったの? 立ち入り禁止だって知らなかったのかなぁ」

「ええと、それは……」

私は本当のことを言うべきか言うまいか迷った。ブラッド様の名誉のために、内緒にしておいてあげたほうがいいだろうか。

私が迷っていると、廊下の前方から騒ぎ声が聞こえてきた。

「ああ、そうなんだ。立ち入り禁止の場所に迷い込んでドレクスモルに襲われていた俺を、メイベルが颯爽と駆けつけて助けてくれたんだ! 鋭い牙や爪の攻撃をひらりとかわして一瞬で水の玉の中に閉じ込めてしまった!」

「それはすごいな」

「メイベルってあの子だろう? オーブリー学園長の特別訓練を受けているうちの一人の。やっぱり出来が違うんだな」

「出来が違うなんてものじゃない! ドレクスモル相手に凛々しく立ち回るメイベルのあの時の顔は女騎士のようだった……! もしくは戦場の女神だ! 俺はあの時、メイベルの魔法を見て、魔法とはこんなに強く美しいものなのかと感動したんだ……!」

「よくわからないけれど、すごかったんだな」

「ぱっと見普通の子っぽく見えるのにな」

やたらと熱を入れて語るブラッド様の言葉を、そばにいる男子生徒たちがそれほど興味のなさそうな顔で聞いている。

その横を通り過ぎるほかの生徒たちが、「女騎士のようだったんですって」「ドレクスモル相手に圧勝したらしいわ」と騒いでいるのも聞こえてきた。

どうやら、やけに誇張された噂の発信源はブラッド様だったらしい。