軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

3-11

廊下を歩いていると、獣の唸り声のような音と、悲壮な叫び声がすぐ近くで聞こえてきた。私はそっとそちらへ近づいていく。

曲がり角のところで生き物のいる気配を感じ、足を止める。壁の後ろからそっと向こうを覗き込んだ。

向こうには、黒い鱗に覆われたドラゴンと、壁際まで追い詰められた黒いローブの男子生徒の姿が見えた。

その人の顔を見て私は口をぽかんと開けてしまった。

「く、くく、来るな……!! あっちへ行け!! うわっ、やめろ!!!」

金髪の男子生徒が、ドラゴンに向かって叫んでいる。ドレクスモルに追い詰められて真っ青になっているのは、ブラッド様だったのだ。

私は呆気に取られて目の前の光景を見つめる。

ドラゴンは威嚇するようにブラッド様に向かって唸り声を上げていた。ブラッド様が少しでも体を動かすと噛みつく素振りを見せる。あれではきっと逃げられない。

どうしてこんな遅い時間、こんな場所にブラッド様がいるのだろう。わからないけれど、とりあえず何とかしないと。

私は杖を構えて、ドレクスモルのいる方へ飛び出した。

「やめなさい! ブラッド様が怖がってるでしょう!」

「メイベル……!?」

ブラッド様は目を見開いてこちらを見る。

「どうしてメイベルがここへ……」

「説明している暇はありません! 私がドレクスモルを引きつけておくので、ブラッド様はその間に逃げてください!」

「メイベルが!? 君にそんなことできるはずがないだろう! そんな無謀なことはやめ……」

「黙っててください! 少なくともブラッド様よりはうまくやれるはずです!!」

「は、はい……」

思わず大声で言うと、ブラッド様は途端にしおしおしてうなずいた。

私はドレクスモルの前に足を踏み出す。ドレクスモルは金色の目をぎろりとこちらに向けてきた。

私はできるだけ冷静に、先生に教わった呪文を唱える。しかし、呪文は間違っていないはずなのに、ドレクスモルにはちっとも効く様子がない。

おかしい。この呪文を唱えれば、数分間はドレクスモルの動きを封じられるはずなのに……。

ふと、私はドレクスモルの体が不自然に濡れているのに気づいた。床にもぽたぽたと水の垂れた跡がある。

はっとしてブラッド様の方を振り返る。

「ブラッド様、ドレクスモルに水をかけたりしませんでしたか?」

「え? ああ、そいつが襲いかかってきそうだったから、そこにあった桶の水を浴びせかけたが……」

「それです! ドレクスモルは水を浴びると防御力が上がる性質があるんです! これでは呪文が効きません!」

「え!? なんだその性質は!!」

ブラッド様は目を見開いて驚いている。

驚いているけれど、多分、ブラッド様のクラスでも先生はそのことを注意しておいたと思うんだけれど……。