作品タイトル不明
3-8
「君たちに、授業とは別に訓練を受けないか聞きたかったんだ」
「訓練?」
「授業とは別にですか?」
「ああ。君たちは我がラネル魔術院の中でも特に優秀だからな。特別訓練をしてさらに実力を伸ばして欲しいと考えたんだ」
学園長先生は機嫌のいい声で言う。
「訓練とはどんなことをするのですか?」
「主に攻撃魔法の実践訓練だ。訓練場を解放するから、放課後に私が魔法省時代に覚えた技術を伝授してやろう」
「まぁ……!」
放課後にまで訓練場を使わせてもらい、学園長先生直々に指導を受けられるなんて夢みたいな提案だ。ぜひ受けさせてもらいたい。
「ぜひ受けたいです!」
「おお、それはよかった。レナード君は?」
「僕もぜひ受けさせていただきたいです」
「うんうん。二人とも受けるのだな。それでは、早速明日からはじめよう。二人とも都合は大丈夫かね?」
学園長先生は私たちを順番に見て尋ねる。私もレナード様も明日の放課後は空いていたので、早速先生の訓練を受けることにした。
魔術院で授業を受けられるだけで幸せなのに、さらに授業まで指導してもらえるなんて。
私は明日が楽しみで、わくわくしながら学園長室を出た。
***
約束通り、翌日から学園長先生の訓練が始まった。
「メイベル君! 何をしている! 火の玉がそっちへ飛んだぞ!」
「ひぃ! 今、風のナイフを避けたばかりなのに!」
私は必死になって訓練場を逃げ回る。
訓練というのは、先生がひたすら攻撃魔法を打ってきて、それから逃げるか跳ね返すという割と原始的なものだった。
反撃してもいいと言われているけれど、逃げ回るだけで精一杯なので、とてもじゃないけれどこちらから攻撃魔法を放つなんてできない。
「メイベル君! なぜそっちへ逃げるんだ! そっちのは先ほどの火の玉が残っているぞ!」
「えっ? きゃあああ!!」
私は大慌てで目の前に迫っていた火の玉を避ける。
ふと壁際を見ると、レナード様がはらはらした顔でこちらを見ていた。今は交代で学園長先生の指導を受けている最中で、順番ではない者は手助けせずに見守ることになっているのだ。
ちなみに、先ほどのレナード様の番の時は私よりずっとうまく攻撃をかわしていた。
「つ……疲れた……」
ようやく指導が終わり、私はへとへとになって壁際に向かう。
「メイベルさん、お疲れ様」
「ありがとうございます……。全然うまくかわせませんでした……」
「学園長先生の攻撃は素早いよね。威力も凄まじいし。あれでもかなり手加減されてるんだろうなぁ」
レナード様はため息交じりに言う。
私にはすらすら攻撃をかわしているように見えたレナード様も、学園長先生の攻撃には苦戦していたらしい。
「メイベル君、レナード君、ご苦労だった。今日の訓練はここまでで終わりにしよう」
私たち二人を連続で相手にして強力な魔法を使い続けたはずの学園長先生は、一切疲れの見えない表情で言う。
差を改めて思い知らされながらも、私ははい、とうなずいた。