作品タイトル不明
2-12
(あれ……? 今、バリアがちゃんと作動したかしら? あんなに近くまで迫ってきたのに、何も反応がなかったような……)
以前バリアが発動したときは、フォスティがもう少し離れたところにいる段階で跳ね返していた気がする。しかし今は噛みつかれかけるほど近づいたのに、何にも反応がなかったように見える。
私は不思議に思ってバリアのプレートを懐から取り出す。
取り出したプレートを見て青ざめた。
昨日確かに故障がないか確認したはずのプレートの鏡部分に、全てひびが入っていたのだ。これでは効果があるわけがない。
「きゃ……!!」
私は思わず悲鳴を上げる。レナード様が驚いた顔でこちらを見た。
「メイベルさん? どうしたの?」
「バ、バリアが壊れていました!!」
「え!?」
レナード様は目を見開く。
その間にも、フォスティはどんどんこちらへ集まって来ていた。先ほど魔法がかかって眠ったはずのフォスティたちまで目を覚まし、こちらへ近づいてくる。
「メイベルさん! こっちへ来て! 近くにいれば防御魔法で守れるから!!」
「はい……っ」
私はレナード様の元へ近づこうとする。しかし、それを邪魔するようにフォスティの一匹が私に向かって飛びかかってきた。
よろけながら慌てて避ける。しかし、そのフォスティは避けても避けても何度も私に噛みつこうとしてきた。フォスティから逃げるうちに、レナード様達のいる方向と反対方面に離れてしまった。
「メイベルさん!!」
レナード様は焦ったように言い、私を追いけかけてこようとしてくれる。しかし、レナード様の足にもフォスティ達が絡みついて、足止めされてしまっていた。
レナード様達の元に戻りたいけれど、フォスティから逃げるのに必死で思うように進めない。
「ね、眠れ! 眠りなさい!」
走りながら、破れかぶれに魔法を使う。しかし走りながら使うブレブレの魔法が巨大なフォスティに効くはずもなかった。
必死で逃げているときに、石に躓いて転んでしまった。慌てて体を起こそうとするが、腰が抜けて力が入らない。フォスティが目の前まで迫ってくる。
(もうだめ……!)
私はぎゅっと目を閉じた。
その時、突然体から魔力が噴き出るような感覚があった。気を失いそうになるような強い反動を感じる。
おそるおそる目を開けると、目の前には透明のガラスの膜のようなものがあった。フォスティが膜に向かって噛みつこうとするが、あっけなく跳ね返される。
(なにこれ……バリア?)
状況がわからず目をぱちくりさせた。魔道具のバリアは確かに全部壊れていたはずなのに。それに、以前魔道具が発動したときとは少し様子が違うような……。