作品タイトル不明
2-10
「……少なくとも、メイベル嬢は立ち入り禁止の演習場に無断で忍び込んだり、人の婚約者と一緒にパーティーに参加したりしないと思うが」
「何よ、私がメイベルに劣っていると言いたいわけ?」
「……そんなことは言ってない。とにかく、メイベル嬢は魔獣退治に協力してくれているだけだから言いがかりをつけるのはやめてくれ」
エイデン様は疲れた声で言う。それから、通信機で部下を呼び、お姉様を演習場の外へ連れていくよう命じていた。
お姉様はエイデン様の部下に引っ張られる間も、ずっとエイデン様と私に向かって悪態をついていた。
「メイベル嬢、魔獣退治を頼んでしまったばかりに嫌な思いをさせて悪かった」
「いえ……。こちらこそお姉様がすみません」
「君が謝ることじゃないよ」
エイデン様はため息を吐いて言う。私はお姉様の言っていた、婚約者とうまくいっていないという言葉を思い出した。
「あの、エイデン様。不躾なことをお尋ねしてすみません。お姉様とはあまりうまくいっていないのでしょうか……?」
「……うまくいっているとは言い難いかもしれない。マーガレットはあの通りだし。……いや、私にも問題があるんだと思う。もうちょっとうまくやれるよう頑張ってみるよ」
エイデン様は苦笑いでそう言った。
何かフォローするような言葉を返したかったけれど、気の利いた言葉はろくに返せなかった。
***
そうして数日が経ち、いよいよフォスティ退治も終盤に差し掛かっていた。
明日は演習場内にある、鬱蒼と木々が生い茂って森のようになっている場所へ行くことになっている。そこではフォスティの中でも特に大きくて狂暴な個体が目撃されているらしい。
なので、いつもより準備を万全にして備えることにした。
夜、私はお屋敷の自室で、明日使う予定のバリアを念入りにチェックした。時間をかけて確認し、故障がないか確認する。
「よし、これならばっちりね!」
準備は完璧に行った。狂暴なフォスティを相手にするのはちょっとドキドキするけれど、いつも通りやれば問題ないはずだ。明日のために、今日は早めに眠りにつく。
バリアは念入りに確認したはずなので大丈夫だと安心しきって、私は周囲の様子なんて気にも留めずにぐっすり眠り込んでしまった。
それから翌日になり、馬車に乗って魔法演習場まで向かった。
「おはよう、メイベルさん。いよいよ今日が最後のフォスティ退治だね」
「レナード様、おはようございます! そうですね。今日で無事に終わらせられるよう頑張りましょう!」
私はレナード様と事務所まで歩いていく。そして事務所で待っていたエイデン様と合流し、フォスティ退治の最後の地点である森の中心部まで向かった。