軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

757話 罠を仕掛けよう

クラさんは、シエルの事を誰にも話さないと約束してくれた。

さすがにまだ子供なので、契約書で完全に縛るのはどうかと思った。

だから、信じる事にした。

それにソラ達の時の契約があるので、無意識に話しそうになったら注意をしてくれるみたい。

クラさんが、誰かに故意に話そうとしない限りは大丈夫。

「ここ」

クラさんの案内で、罠を仕掛ける場所に着く。

「ここが、フララから聞いたお薦めの場所なのか?」

「うん」

クラさんは、罠を仕掛ける最適な場所を冒険者のフララさんに聞いてくれていた。

「問題、ある?」

クラさんの言葉に、周りを見る。

木々に付いた動物や魔物の痕跡が、どういった種類のものなのか。

また、地面に残された足跡がいつ頃付いた跡なのか、1つ1つ確認していく。

「これは、ノットの痕跡だな。これなら、大丈夫そうだな」

「うん。最近ついた牙の跡もあったよ」

お父さんの言葉に頷く。

それを見たクラさんの表情がパッと明るくなる。

「罠、仕掛ける?」

「そうだな。ここは、俺とクラの罠を仕掛けようか」

お父さんの言葉に首を傾げるクラさん。

「罠は一ヶ所に纏めて仕掛けるより、数ヵ所に分けて仕掛けた方がいいんだ」

罠を仕掛けた場所に、狙った動物が来るとは限らない。

だから数ヵ所に分けて仕掛けるのだと、お父さんから聞いた事がある。

それに一ヶ所だと、その場所が駄目だったら全滅だからね。

「分かった。でも、この場所しか聞いてない」

クラさんが少し残念そうな表情をする。

「それなら、罠を仕掛けるのにいい場所を一緒に探そうか」

「うん」

お父さんの言葉に、嬉しそうに頷くクラさんを見ていると、やっぱりほっこりするな。

クラさんの態度が、そう思わせるのかな?

お父さんとクラさんが罠を仕掛ける場所を、それぞれ探し始める。

その様子を見ながら、罠を隠す落ち葉や枯れ枝を集める。

「ここにする」

クラさんが場所を決めると、マジックバッグから罠を取り出して組み立て出した。

「罠を隠す落ち葉と枯れ枝を置いておくね」

「ありがとう」

お父さんを見ると、お父さんも場所を決めたみたいだ。

急いで、落ち葉と枯れ枝を持っていく。

お父さんは、罠を組み立てるのも早いからね。

「落ち葉と枯れ枝を置いておくね。他にも何かいる?」

「ん~、いや。それで十分だ。ありがとう」

お父さんから離れてクラさんの様子を見に行く。

後ろから組み立てる様子を見ているけど、クラさんは器用なんだな。

もう罠が張れている。

「あっ。もう少し落ち葉があった方がよさそうだね。持って来るね」

クラさんの選んだ場所の周りには、あまり落ち葉がない。

なので、他の場所から持って来る必要がある。

「どうぞ」

「ありがとう」

大量の落ち葉で、罠を隠していくクラさん。

本当に楽しそうだな。

「出来た!」

「おめでとう」

あれ?

私、クラさんに対する言葉が、お父さんと同じになってない?

クラさんを見るが、気にしている様子はない。

それなら、いいか。

「出来たのか?」

お父さんの言葉に、クラさんが嬉しそうに頷く。

「それなら、次の場所を探そうか」

シエルを先頭に、罠を仕掛ける場所を探す。

ソラ達は、嬉しそうに私たちの周りを跳びはねている。

その様子を、楽しそうに見るクラさん。

というか、一緒に遊びたいのか走り出しそうな雰囲気だ。

「クラ、遊びたいなら遊んでいいぞ」

お父さんの言葉に、恥ずかしそうな表情をするクラさん。

でも、その傍をソラが跳びはねると、すぐに嬉しそうにソラ達を見る。

「遊びたい」

「どうぞ」

私の言葉に、跳びはねているソラ達のもとへ向かうクラさん。

見ていると、クラさんが跳びはねるソラ達を捕まえようとしている。

それをソラ達が、器用に避けているみたいだ。

「ぷっぷ~」

「てっりゅ~」

「ぺぺぺふ」

えっ、ぺぺぺふ?

あっ、木の枝にぶつかったせいで鳴き方がおかしかったのか。

痛そうに顔を歪めるソルに、笑ってしまう。

「ぺふっ?」

笑い声が聞こえたのか、パッと私を見るソル。

それに「ごめん」と笑って言うと、ちょっと拗ねた表情をした。

本当に可愛い。

「こけないようにな」

「分かった」

「ぷっぷぷ~」

「てっりゅりゅ~」

「ぺふっ」

いや、クラさんは分かるけど、ソラ達までどうして返事をしたんだろう?

ソラ達は、こけないよね?

「転げないぞ」という返事かな?

「わっ!」

クラさんの声に視線を向けると、クラさんの頭の上で揺れるフレムの姿があった。

急に飛び乗ったのか、クラさんがかなり驚いている。

ソラとフレムは、不意打ちが好きだよね。

「フレム。急には駄目だよ!」

「てっりゅ?」

「可愛く鳴いても駄目。驚かせると、振り落とされるかもよ」

急に飛び乗ったら、その可能性はある。

「えっ、大丈夫」

いや、クラさんが焦る必要は無いんだけど。

「てりゅ~」

あぁ、クラさんが庇うからフレムが自慢げに鳴いている。

「これは……大きいな」

お父さんの言葉に、視線の先の木を見る。

そこには、大きな爪跡があった。

爪の数が2本なので、変異したガシュみたいだ。

「この場所は、変異したガシュの通り道みたいだね?」

近くの木にも似たような跡が付いているし、足跡も古いのから新しいのまであった。

「あぁ、そうだな」

周りの気配を探るが、近くにはいないみたい。

「この爪跡、まだ新しいな」

木の幹を見ていたお父さんが、大きな爪跡を指す。

確かに、傷ついた部分の色に変化が起きていない。

「この爪跡、かなり大きいね?」

「そうだな」

前に見た変異したガシュの爪より、もう一回り大きく感じる。

爪の跡がこの大きさだと、体もきっと大きいだろう。

遭遇するのは危険かもしれないな。

「この近くに罠を仕掛けるのは駄目だな」

「うん」

前回の罠は、変異したガシュに潰された。

その対策で、カゴの強化をしたけど、実際に変異したガシュに耐えられるかは不明。

なので、変異したガシュが近付く場所は、罠を仕掛けるのには不向きの場所だ。

変異したガシュの行動を予測しながら、その場所を離れる。

しばらく森の奥へ進むと、木の実や果実が生っている場所に出た。

近くには小さな川も流れている。

「この場所はいいな」

「そうだね。あっ、ノットの糞があるよ」

私が指した方を見たお父さんが頷く。

よしっ、それじゃあノットの足跡を見つけて、通り道に罠を張ろう。

えっと、ノットの足跡、足跡。

「ここにある」

クラさんが教えてくれた場所を見る。

複数のノットの足跡があった。

「ありがとう。この跡を追うと……川で水を飲んでいるのかな?」

足跡を追うと、川に続いている事が分かった。

しかも、帰りも同じところを通っているみたいな跡がある。

「うん、この場所にする」

川が水飲み場となっているなら、またこの近くを通るはず。

「クラさん、ありがとう」

「うん」

クラさんにお礼を言うと、マジックバッグから強化したカゴと罠に必要な物を出す。

足跡の位置を確かめてから、罠の位置を決める。

「どうぞ」

罠を張り終わると、クラさんが落ち葉を持って来てくれた。

「ありがとう」

周りと違和感が無いように罠を隠す。

「完成」

「さすがに罠を仕掛けるのが、早くなったな」

お父さんの言葉に、お礼を言う。

今度こそ、ノットを狩れたらいいな。