軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

730話 大切なのは出会い

しゅわ~、しゅわ~。

しゅわ~、しゅわ~。

フレムとソラが、ポーションを食べる姿を観察しているクラさんを見る。

かなり気に入ったのか、ずっと見ている。

「クラは、去年テイマーだと分かったんだけどね。なかなかあの子だけのスライムと出会えないんだよね」

クラさんだけのスライム?

あっ、力でテイムしていないのか。

「去年? クラという子は幾つなんですか?」

お父さんの質問にマルチャさんへ視線を向ける。

「あの子は、6歳ですよ」

……やっぱり年下だった。

同じぐらいの背丈なのに。

「随分と大きな子ですね」

「あぁ、あの子の家族が皆大きいからね。あれは血筋だね」

羨ましい。

「それにしても、凄い速さで消化をするんですね」

マルチャさんの言葉に、お父さんと私は苦笑する。

まぁ、異常な速さで食事をするよね。

レアなスライムでも、ソラ達のような速さでは食べられないもんね。

「まぁ、この子達は……特別なレアなので」

お父さん。

レアは特別という意味だから、説明になってないよ。

「ははっ、確かに特別過ぎるレアですね」

言い方がおかしいけど、楽しそう。

「それにしてもアイビーさんは、どのスライムともいい関係を築けているんですね。みんな、良い表情をしてますね」

嬉しそうに私を見るマルチャさんに、ちょっと恥ずかしくなる。

テイムした魔物を大切にしているテイマーに、認められるのは嬉しいな。

「ほわっ」

「ポポ、どうした? あぁ、遊びに行きたいのか? アイビーさん、えっとシエルと遊ばせても大丈夫ですか?」

マルチャさんの傍に来たポポが、シエルと私を交互に見る。

このポポというスライムは、ソラ達ほどでは無いけど表情がコロコロ変わるな。

「はい、大丈夫です。シエル、お願いして大丈夫?」

「にゃうん」

「んっ?」

シエルの鳴き声に、マルチャさんが首を傾げる。

「「「……」」」

どうしよう。

シエルの事は言った方が良いのかな?

「まぁ、スライムの鳴き方は色々あるからね」

マルチャさんはそう言うと、ポポをシエルの前に置く。

「面倒見てもらっていいかな?」

「にゃうん」

「これは『いい』という事でいいのかな?」

「はい」

マルチャさんが私を見るので、頷く。

「そうか。では、お願いするね」

シエルとポポが、私達から少し離れた場所に移動するとぴょんぴょんとぶつかったり転がったり。

いつもの遊びをシエルが始めてしまったけど、ポポは大丈夫かな?

……あっ、やっぱり、驚いている。

でも、楽しそうだね。

よかった。

「ん~ミミは、少し緊張しているのかな?」

マルチャさんの言葉に少し離れた場所にいるミミを見ると、ちらちらとシエルを見ていた。

「あの子は、ちょっと恥ずかしがり屋でね。さっきもアイビーさん達がいたためか、緊張で表情が固まっていたからね。面白くて吹き出しそうになってしまったね」

確かに、もう一つの捨て場で見たミミに表情はほぼ無かった。

あれは、恥ずかしかったんだ。

それは、可愛いかも。

「うわ~」

クラさんの声に視線を向けると、ソラが大剣を飲み込んでいた。

そして捨て場には、消化する音が響いた。

なんだかいつもより、消化する音が大きいような気がする。

もしかしてソラは、クラさんが見ているから張り切って食べているのかな?

「少し気になったのですが、村の大きさにしては冒険者のゴミが多すぎるような気がするんですが」

お父さんの言葉に、マルチャさんがため息を吐く。

「ここにあるゴミの多くは、マーチュ村から出た物ではないんだよね」

えっ、違うの?

ゴミの山に視線を向ける。

あっ、村の大きさや大通りで見た冒険者の数から考えて、冒険者が出すゴミが多すぎるんだ。

あれ?

マジックアイテムの盾が異様に多いな。

「ゴミは、オカンノ村の方に大きな洞窟が3つあるんだけど、それに挑戦した冒険者が森の中に捨てていく物なんだよね。ゴミをそのまま放置すると、魔物がおかしくなるからね。だから仕方なく、マーチュ村で処理をする事にしたんだよね」

ここにあるゴミは不当に捨てられた物だったんだ。

「オカンノ村には、言ったのか?」

「もちろん、オカンノ村には何度も報告しているんだけどね。あの村は今、ゴミの問題がかなり深刻な状態だからね。森の中のゴミまで、対応できないんだよ」

マルチャさんの言葉に、お父さんが首を横に振る。

「ゴミの問題が深刻とはいえ、不当なゴミを放置するとは。オカンノ村は、そんなにひどい状態なんですか?」

「えぇ、少し調べて貰ったんだけどね。捨て場が限界に来ているという話だったよ。どうもオカンノ村のテイマー達はかなり質が悪いみたいだね。テイマーの中には、魔物に逃げられてしまった者までいるらしいからね」

マルチャさんの言葉に、少し衝撃を受ける。

フォロンダ領主が、テイマーと魔物との関係をよくすることが、ゴミ問題の解決に繋がると領主会で言ってくれたはず。

だから、少しずつ改善すると思っていたのに。

「対策方法が、広がってきているはずなんだけどな」

お父さんが眉間に深い皺を刻んだ。

「大丈夫。ちゃんと広まっていると思うよ。マーチュ村のような小さな村にも、対策方法はちゃんと届いているからね。だから、オカンノ村にもちゃんと領主会の報告は届いているはずだよ。ただ、それを受け取る側の問題だね。彼等は……駄目だろうね」

良かった。

ちゃんと改善する方法は届いているんだ。

それなら、オカンノ村は駄目だったとしても、他の村や町では改善されていくかもしれない。

ほんの少し、ちょっと気持ちを変えてくれるだけできっと変化は起こるはずだから。

それにしても、オカンノ村は何が駄目なんだろう?

「彼等とはテイマーの事か?」

あっ、テイマーの事か。

「そうテイマーたちの事だよ。彼等は、昔オカンノ村にいた冒険者テイマーを理想としていてね。彼は力が強く、中位魔物を力でねじ伏せて戦いに使っていたらしい。その歴史がある村だから、魔物に寄り添いましょうと言っても、言葉が届かないんだよね。現実をしっかり把握していれば、その方法では駄目だと分かるはずなんだけどね」

「なるほど」

マルチャさんの説明にお父さんが頷く。

「そんな村だと、何を言っても無駄だな」

お父さんとマルチャさんが、ため息を吐く。

「食べなくなった」

「わっ」

驚いた。

クラさん、まだ6歳なのに気配が薄いよ。

あれ?

さっきは、そんな事を思わなかったのにな。

「アイビーさん?」

「あっ、ごめん。教えてくれてありがとう」

目線、もしかしてクラさんの方がちょっと、ほんのちょっと高いかもしれない。

「どうしたの?」

「6歳なのに、大きいから」

ちょっと大きすぎるような気がする。

「俺は父ちゃん似。父ちゃんも背が凄く高い。父ちゃんも小さいころから大きかったって」

やっぱり血筋か。

「あの、さっきの質問」

クラさんの言葉に首を傾げる。

……あっ、そういえば契約の話になってクラさんの質問に答えてない!

「ごめんね。えっと最初にテイムしたソラとは森の奥で出会ったよ。どうやってテイムしたかというと……」

あれ?

どうやってテイムしたんだっけ?

いや、魔力をあげて名前を付けたんだけど、クラさんの訊きたいのはこれじゃない。

どうやってソラにテイムしていいか許可を貰ったか、それが訊きたいんだと思う。

「私は、指先にちょっとだけ魔力を溜めてソラに近付けたの。で、ソラの方から魔力を受け取りに来てくれて、それで名前を付けた……はず」

たしか、魔力を溜めた指先に体をこすりつけてくれたんだよね。

うん、間違いない。

「そうなんだ。やっぱり、俺を認めてくれるスライムと出会う事が大切なんだ」

クラさんの言葉に、頷く。

早く、クラさんだけのスライムが見つかるといいな。