軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

729話 何歳だろう?

「透明のスライムっていたんだ」

お父さんの言葉に、マルチャさんが首を傾げる。

「目の前にいるよね?」

「えっ? あぁ、そうじゃなくて。ソラ達を見るまで透明のスライムを見た事が無くて」

「ん~、そういえば最近は全く見なくなったね。私が透明のスライムを見たのは、10代の頃だったよ。あの頃は、テイマー達がもっと魔物達に寄り添っていたよね。もしかして関係があるのかな? まさかね」

魔物達に寄り添っていた時代か、良いな。

それに透明のスライムがもっと姿を見せてくれたら、ソラ達はもっと自由になれるのにな。

「あるかもしれないですよ」

「えっ? 本気で言ってる?」

「はい」

お父さんの返答に、驚いた表情を見せるマルチャさん。

でも、その可能性が全くないとは言えないよね。

「もしそうなら、テイマー達が変われば透明のスライムを、また見られるかもしれないね。楽しみだね」

マルチャさんが、傍にいるクラさんを見る。

それに首を傾げる。

どうして今、クラさんを見たんだろう?

あっ、もしかしてクラさんはテイマーなんだろうか?

「クラ――」

マルチャさんがクラさんを呼ぼうとすると、捨て場に馴染みのある音が響いた。

きゅしゅわ~、きゅしゅわわ~、きゅしゅわ~、きゅしゅわわ~。

相変わらず、ソラが剣を食べる時の音は独特だよね。

あぁ、凄く満足そう。

「「えっ?」」

ガチャッ、ガチャッ、ポイッ。

ぐしゃ、ぐしゃ、しゅわ~、しゅわ~。

ソルも気に入ったマジックアイテムを見つけたのか、嬉しそうに口に放り込んでいる。

それにしても、ソルのマジックアイテムを解体する能力は高いよね。

あっ、結構な大きさのまま食べた。

ソルよりかなり大きかったけど……あっ、大丈夫か。

まぁ、そうだよね。

ソルも大きさを自由に変えられるんだから。

「……えっと、んっ? 何を見ているんだろう?」

マルチャさんの困惑した声に、視線を向ける。

彼は、お父さんと私を見て困った表情を見せた。

「あっ、ソラ達の食べ方は他のスライムと違ったんだった」

「えっ? あっ!」

お父さんの言葉に、他のスライムの食事風景を思い出す。

確かに、ちょっと違うなら誤魔化せたかもしれないけど、全く違ったんだった。

「えっと……まぁ、これがあの子達の普通です」

マルチャさんに笑って説明する。

こう言うしかないよね。

「てりゅっ! てりゅっ!」

んっ?

フレムの不服そうな声に、慌てて視線を向ける。

どうしたんだろう?

……しまった!

この場所にはポーションが無い!

「あの、すみません。向こうの捨て場からポーションを持って来ても良いですか?」

「ポーションですか? 俺、少しなら持ってますよ」

クラさんが、台車の上にあるマジックバッグから青のポーションを出してくれた。

「ありがとうクラさん。でも、ごめんなさい。欲しいのは、色の変わった赤のポーションなんです。フレムの食べる物が赤のポーションなんで」

「あっ、そうなんだ。えっと、持ってきます!」

んっ?

クラさんが持って来てくれるの?

でもそれは、凄く迷惑を掛ける事になるよね。

「待って下さい。お父さん、ソラ達の事をお願いしてもいい? フレムをもう1つの捨て場に連れて行きたいから」

私の言葉に、少し考えるお父さん。

別々に行動する事に、迷っているみたい。

でも、フレムの食べる物はここに無いし。

「あぁ、それなら私が持って来ればいいね。そろそろポポとミミを迎えに行きたかったからね」

マルチャさんが、台車の上を少し整理すると向きを変える。

「すみませんが、お願いできますか?」

お父さんの言葉に少し驚く。

まさか、お願いするとは思わなかった。

「はい、大丈夫ですよ。えっと、赤のポーションだけでいいのかな? 他にも必要なものがあるなら、持って来るね」

「青のポーションもお願いします」

お父さんの言葉に、嬉しそうに笑うマルチャさん。

「青のポーションだね。了解。すぐに戻って来るからね」

台車を引いて、マルチャさんとクラさんが捨て場から出ていくのを見送る。

お父さんを見ると、申し訳なさそうな表情をしていた。

「面倒事を押し付けちゃったな」

「そうだね」

マルチャさんとクラさんにお礼がしたいな。

「てりゅっ?」

傍に来たフレムを、ギュッと抱きしめる。

「少しだけ待っててね。マルチャさんとクラさんが、赤いポーションを持って来てくれるから」

「てりゅっ! てりゅっ!」

嬉しそうに鳴くフレムを撫でる。

「それにしてもあの2匹は、よく食べるな」

お父さんの視線を追うと、マジックアイテムを次々と口に入れるソルと、剣を次々と口に入れるソラがいた。

「食べる時間が早くなってるような気がするんだけど、気のせいかな?」

「アイビーもそう思うか?」

という事は、お父さんも早くなっていると思うという事だよね?

「やっぱり早くなってるんだ」

「あぁ、ソルのあの大きなマジックアイテムだったら、もう少し時間が掛っていたような気がするんだ」

確かに、大きなマジックアイテムは解体にも時間がちょっと掛かっていたから、食べきるまでに少し時間が必要だったよね。

それが今では、あっという間に解体して次々口に放り込んでいる。

「まぁ、大丈夫そうだから問題ないけどな」

「そうだね」

あっ、ソラが3本の剣を同時に食べ始めた。

ソルと早食い競争でもしているのかな?

ゴロゴロ、ゴロゴロ。

台車の音が聞こえたので、視線を向ける。

マルチャさんとクラさんの気配だったので問題ないけど、森の中にいるのだから、もう少し警戒をしないと駄目だな。

「お待たせ。どれくらい必要なのか分からないから、いっぱい持ってきたよぉ。えっとフレムだったかな? どうぞ、召し上がれ」

「てりゅ~!」

マルチャさんの言葉に、フレムがピョンと台車の上に飛び乗る。

そして積んであった赤のポーションを食べ始めた。

「えっ? 待て! 瓶がそのままだ!」

クラさんが、フレムを見て慌てている。

フレムは、クラさんの様子に体を傾ける。

「クラさん。そのままで大丈夫です」

「えっ?」

「テイマーになって、魔物と関わると驚く事も色々あったけど、まだまだ驚かされる事ってあるんだね」

マルチャさんが、面白そうな表情で台車の上で食事をしているフレムを見る。

「クラ。アイビーさんは、凄いテイマーだから勉強になるよ。アイビーさん、クラが色々聞いても大丈夫かな?」

やっぱりクラさんはテイマーみたい。

「はい、答えられる事なら大丈夫です」

あまり期待しないで欲しいけど。

「みんなとは、どこで出会ったんですか? どうやってテイムしたんですか?」

これは、答えても大丈夫なのかな?

クラさんとは契約していないよね?

「ん~、クラも契約しようか?」

マルチャさんの言葉に、クラさんが首を傾げる。

「どうして?」

「アイビーさんのテイムしているスライムが、凄く珍しいという事は分かるね」

「うん。こんなスライムがいるなんて、本にも載っていなかった」

「そう。つまり、それだけ珍しくて類を見ないスライムという事なんですね。で、誰かがこの子達を見たら、どうすると思う? いい人ならいい大丈夫。でも悪い人なら?」

なんだか、凄く幼い子に説明するような言い方だな?

クラさんを見る。

背丈は私と同じくらいだから、10歳ぐらいだと思ったんだけど違うのかな?

「手に入れようとする。じい、珍しいのは危ないんだね」

「はい。正解だね。契約はそれ以上は話しては駄目だよと、教えてくれる」

えっ?

契約ってそういうものではないよね?

「契約の仕方では、注意を促す方法があるんだ」

私の様子を見てお父さんが説明してくれた。

「そうなんだ。知らなかった」

「契約する。間違って話したら大変だから」

「そうしましょうね」

え~、こんな感じで契約を結んじゃって大丈夫かな?

凄く心配なんだけど。