軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

181話 戦闘狂!?

「それで、話とは? ゴトスが隠し通したアダンダラについてか?」

ギルマスさんは、何も言わなかったのか。

師匠さんの追及を凌ぐのは、大変だっただろうな。

「はい。そうです」

「そうか。……なら話を聞く前にアイビー、約束をしよう」

約束?

「ゴトスがあれほど隠すんだ。これから話すことは、知られたくない重要な内容だろう。だから」

師匠さん、いったいギルマスさんにどういう聞き方したんだろう。

ギルマスさん大丈夫だったかな?

「何を聞いても、誰かにその話を洩らすことはしない。またそれを利用することもない。口での約束だから心配だろうが、信じて欲しい」

いつもと少し違う話し方に、真剣な表情。

これがドルイドさんやギルマスさんが信頼している師匠なのかと納得してしまう。

「ありがとうございます。全て話します」

1つ頭を下げてから3人で椅子に座って話を始める。

まず、私が星なしのテイマーである事、そしてアダンダラをテイムしていること。

テイムした方法は不明なこと、ついでに崩れスライムも2匹テイムしている事など。

正直、どこまで話そうか迷った。

でも、真剣な表情で約束をしてくれた師匠さんを信じることにした。

ドルイドさんも保証してくれた人だ、きっと大丈夫。

それにソラも、反応しなかった。

「…………………………………………」

えっと、全て話したんだけど、師匠さんが反応してくれない。

困ったのでドルイドさんを見る。

「たぶん、予想以上の話だったから処理が追いつかないんだよ。しばらくしたら落ち着くから大丈夫」

予想以上か。

「ソラもシエルもフレムも、すごい存在ですもんね」

有機物、無機物を同時に処理できるスライム、上位魔物で存在そのものが珍しいアダンダラ。

一緒にいる時は感じないけど、人に話すと相手の反応で珍しい存在なんだと強く感じるな。

「そのすごい存在に、アイビー自身もいれてほしいな。あの子達をテイムしているアイビーも、すごいんだよ」

「えっ?」

私も?

それはないと思うけど。

「はぁ~」

師匠さんがいきなり大きなため息をつく。

えっと、何か問題でもあったかな?

「ハハハ、ゴトスが意地でも話さないわけだな」

「あっ、ギルマスさんにはソラとフレムの事は話していません」

「そうなのか? まぁ、アダンダラの事だけで十分だな」

「しかし、アダンダラをテイムしているか……。いや~死ぬ前に、そんな話を聞けるとは」

そんなに衝撃を受けることなのかな?

いまいち自分の事なので分からない。

「アイビー、いいか。この話はだれかれ構わず話すなよ。話す奴は必ず吟味してからだぞ」

あっ、まただ。

ソラたちを紹介すると、皆同じような注意をしてくる。

「はい。分かっています」

「なら、いいが。だがアダンダラが完全に問題ないと知って安心したよ」

どういう事?

「アダンダラは戦闘狂と言われるほど、戦闘行為が好きな魔物だからな」

ん?

戦闘狂?

「これで、実はアダンダラも敵だとなったら町を捨てて、危険でも他の町か村に避難するしかなくなる」

えっと……。

「あの、戦闘狂って……アダンダラという魔物は」

あれ?

何を聞きたかったんだっけ?

衝撃が強すぎて。

「師匠、アダンダラは戦闘行為が好きな魔物なんですか? あまり聞いたことはありませんが」

「あまり知られていないが、間違いないぞ。俺が若い時にアダンダラをテイムしようと躍起になったチームが複数あってな、今流れている情報はほぼほぼそいつらが持ち帰って来た情報だ。その中に、戦闘行為を好む性格と言うものがあった」

アダンダラの事は知りたかったけど、思っていた事と違うな。

それにシエルは特に戦闘が好きなようには……。

そういえば、グルバルを倒している時は楽しそうだったな。

「テイム出来た冒険者はいたんですか?」

「いや、アダンダラが強すぎてな。名の知れた冒険者が十人ほど死んで、その話は消えた」

「そんなに?」

名の知れたって事はかなり強い力を持った冒険者のはず、そんな人が約十人も……。

「まぁ、昔から『リュウ、スハバ、アダンダラに手を出す奴は愚か者』と言われるほど危険な魔物だ。テイムしようとする方が悪い。だからアイビーがテイムしたことに驚きだ。テイム出来た方法は全く思いつかないか?」

「はい。印……えっと。テイムしたら体の一部に現れる印を、シエルはソラのを真似て作っていたんです。それだけだったんですが、いつの頃からかその印から私の魔力を感じるようになって」

「印を真似る? そんなことできないはず……いや、アイビーが嘘を言っても……本当の話か」

師匠さんを、また困惑させてしまったみたいだ。

「よし、理解した。そういえば崩れスライムもいるって言っていたな」

「ソラとフレムはここにいます」

肩から提げているバッグを指す。

師匠さんが興味深げにバッグを見る。

「見ますか?」

「い、良いのか? 崩れスライムを見たことはあるんだが、すぐに消えちまうからな」

バッグの蓋を開ける。

「ソラ、フレム、ギルドの中にいるから静かにね。それと師匠さんが会いたいって。いい?」

私の言葉にソラもフレムも揺れて許可を示してくれる。

「ありがとう。師匠さん、どうぞ」

「おう。んっ、これが?」

師匠さんはバッグを覗き込んで動きを止め、眉間に皺を寄せる。

そして、首を傾げる。

「師匠?」

ドルイドさんが声をかけると、バッグから視線をあげて。

「崩れスライムか? 随分としっかりしているようだが」

あぁ、本などで紹介されている崩れスライムとはかなり違うだろうな。

師匠さんは、実際に見たことがあるみたいだし。

「最初はすぐに消えてしまいそうなほど、弱々しかったんです」

「そうなのか?」

「はい、でも少しずつしっかりしてきてくれて」

「ほぉ~、崩れスライムって成長するのか。他のスライムとは違うんだな」

スライムって、普通は成長しないの?

「それにしても綺麗な色だな。半透明のスライムか。そういえば、何処で2匹とは出会ったんだ?」

「えっと、最初はソラです。綺麗な花が咲いていた湖の近くで出会いました」

初めてテイムしたことで記憶に強く残っている。

「えっと、フレムはソラが産みました」

「はっ? 産んだ?」

あっ、ちょっと違うな。

「すみません。正確には、ソラが2つに分裂して、フレムが産まれたんです」

こちらが正確な言い方だな。

「…………スライムがスライムを産む」

「はい」

やはりこれも珍しい事なのかな?

「えっと、師匠さん?」

「やっぱり珍しいか」

ドルイドさんがバッグを覗き込むと、ソラが嬉しそうにプルプルと揺れる。

「分裂する現場に出くわしたけど、自分の状態の確認より目の前の物が信じられなかったからな」

そうなんだ。

私は混乱状態だったから、ドルイドさんの反応とか覚えていないな。

自分の腕を失うより、ソラの分裂って強烈な印象を与えるのか。

「悪いがアイビー。言っていないことがあるなら今のうちに話してくれ、心構えが必要だ」

心構えって、そこまで?

「えっと、話していないことですか?」

もう、大丈夫だと思うけど。