軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

180話 進化? 成長?

シエルが助けたことはいい事だけど、問題になってないかな?

「あの、シエルの事はギルマスさんどう言っていましたか?」

「心配しなくても大丈夫。ギルマスというか師匠が、アダンダラは頭がいいからそう言う事もするって断言したらしい」

「そうなんですか?」

「いや、聞いたことはないんだ。おそらくギルマスの態度を見て、何かあると判断した師匠が場を収めるために言ったんだろう」

後で師匠さんには事情を説明しよう。

その方が、良いような気がする。

「それでアイビー、シエルのことなんだが師匠には話していいだろうか? あの人の事は俺とギルマスが保証する。絶対に人に言い触らすような人ではないから」

「問題ないです。私も師匠さんには知っておいてもらった方がいいと思いますから」

「ありがとう。師匠を味方に付けておけば、何があってもアイビーとシエル達は絶対に守ってもらえる」

すごい信頼だな。

そう思わせることを、師匠さんがずっとしてきたって事なんだよね。

今度ゆっくり昔の話を聞きたいな。

……ドルイドさんとギルマスさんの過去の話とか、面白そう。

「ぷ~?」

ソラの声にドルイドさんの頭に視線を向けると、ソラが私たちのいる反対の森に向かって鳴いている。

何かあるのかと気配を調べるが、特に何もない。

「ソラ?」

どうしたのだろう?

何の気配もないのだけど……。

「ぷ~、ぷっぷぷ~」

あっ、元に戻った。

何だったんだろう。

「大丈夫?」

「ぷっぷ~」

大丈夫みたいだ。

気になるけど、気配は感じないし。

ソラの言っていることを理解したいけど……さすがに無理だよね。

「大丈夫そう?」

「はい。大丈夫みたいです。何だったんでしょう?」

「分からないけど、ちょっといつもと鳴き方が違ったな」

確かに何か疑問に思うような、ちょっと語尾が上がった鳴き方だった。

語尾を上げる鳴き方なんて初めてのような気がする。

なので少し身構えたが、問題ないようだ。

ソラは既に機嫌よく、ドルイドさんの頭の上で縦運動をしている。

見慣れてしまったな。

「さてと、シエルには悪いがそろそろ戻ろう。森に長くいると門番が探しにきそうだ」

まさか、それは無いと思うけど。

まぁ、心配かけているのは分かっているからな。

「ごめんねシエル。今回は町の人を助けてくれてありがとう。でも無茶なことはしないでね。怪我をするようなことは駄目!」

「にゃうん」

分かっているのだろうか?

心配だな。

シエルと別れて町へ戻る道を歩く。

ソラはドルイドさんの頭から降りて、周りをピョンピョンと跳ね回っている。

どうやら、かなりご機嫌だ。

「ソラ、そろそろバッグに戻ってくれる?」

「ぷぷっぷぷ~」

ピョンと大きく跳ねて、そのまま私の腕の中へ。

あれ?

もしかして、距離をしっかり測って飛び跳ねた?

今までは私が調整して、捕まえていたんだけど。

今は、自然に胸元へ飛び込んできた。

「ソラ……まぐれ?」

「ぶ~」

……『ぶ』?

「おっ、新しい鳴き方か? 確かにその鳴き方の方が文句を言っているようには聞こえるな」

隣を歩くドルイドさんの感心した声が耳に入る。

聞き間違いではないようだ。

「ごめんね。それにしてもすごいね、しっかり距離が測れるようになったんだね」

「ぷ~」

進化なのか成長なのかどっちなんだろう?

どちらにしても、今までよりもう少し気持ちが分かりやすくなったな。

「ありがとう、ソラ」

「ぷっぷ~?」

あっ、語尾が上がった。

可愛い。

ソラを思う存分撫でてからバッグに入れる。

フレムはソラが入ると、大きなあくびをしてまた寝てしまった。

「もう、フレムは」

仕方ないか。

フレムにはフレムの成長が……欠伸なんて初めて見たかも。

ソラの欠伸は、見ていない気がする。

欠伸、これも進化や成長なんだろうか。

悩むな。

ゆっくり町へ戻っていると、遠くからこちらに向かってくる気配を感じる。

しばらくすると、3人の門番さんたちが重装備でこちらに向かってくる姿が目に入る。

「やっぱりな」

ドルイドさんの呆れた声。

まさか本当に来るとは。

それに、まだ数十分しかたっていないと思うのだけど。

「心配で様子を見に来た。もう用事は終わったのか?」

「はい。ありがとうございます」

「では、俺達が警護に就くから帰ろうか」

警護って、もう少し歩いたらすぐに門なんだけど。

「お前らな、大丈夫って言っただろうが」

「もしもがある。未来ある子供を死なせるわけにはいかん」

一番年長に見える門番さんが、言い切る。

なんだか、すごい燃えているような気がする。

気のせいかな?

「はいはい。ギルマス達はどうした?」

「少し前に戻って来たぞ。グルバルとチジカの肉を確保してな」

「そうか。アイビー、ギルドに顔を出すが、どうする?」

「一緒に行きます。師匠さんにお礼を言いたいので」

そこで話を聞いてもらおう。

「そうか。お疲れ」

「ありがとうございました」

無事、門から町へ入ったので門番さん達にお礼を言う。

3人とも満足そうだ。

「すごいですね。本当に迎えに来るなんて、思いませんでした」

「ハハハ、それより師匠には俺から話そうか?」

「いえ。私の事なので私が話します。ありがとうございます」

師匠さんは、スライムの事やアダンダラのことに詳しいかな?

もう少し大切な仲間の知識が欲しいのだけど……。

ギルドに近づくと、その周辺に多くの人が集まって来ていた。

「どうしたんでしょう?」

「たぶん、状況を知りたい町の人だな。あと、グルバルとチジカがどういう魔物か、確認しにきているんだ」

よく見ると、ギルドの前に2種類の魔物が数匹ずつ転がっている。

シエルが倒した魔物かな?

「チジカも大きいですね」

グルバルより大きく、牙もかなり太い。

足はグルバルより長く、太い。

体格もかなりガッチリしている。

「森の奥が縄張りで、怒らせない限り温厚な性格だったんだが」

グルバルもチジカも凶暴化して、行動範囲が広がっている。

何がそうさせているのだろう。

「行こうか。こっち」

「はい」

ドルイドさんの後を追って、人をぬうように進みギルドに入る。

初めての経験で、ちょっと大変だった。

「はぁ~」

「大丈夫か? 想像以上に人がいたな。悪い」

「いえ、大丈夫です」

背が小さいから、何度かもみくちゃにされてしまった。

その度にドルイドさんに助けてもらったけど……二度と経験したくない!

ギルドの中は外ほど人が多くはないが、それでもいつもより多くの人が集まっている。

どの人の表情もかなり険しいな。

「お~、こっちだ」

階段の上から師匠さんの声がするので見ると、手を振っている。

階段を上がると、師匠さんに似た年代の男性が2人。

誰だろう?

「やっぱり来たか。あの2人は師匠の元仲間だ。あの3人でチームを組んでいたんだよ」

ドルイドさんが言っていた通り、仲間に声をかけてくれていたのか。

「おはようございます。お久しぶりですね」

ドルイドさんの言葉に、2人が挨拶を返している。

師匠さんとは違って、真面目そうだ。

「アイビーも一緒か、おはようさん。紹介するわ、マルアルとタンバスだ」

2人が手を振ってくれるので、頭を下げる。

「初めまして、アイビーです」

「よろしく。マルアルだ」

「初めまして、タンバスです」

「さっき話したことはこのアイビーが発見したんだぞ。賢いだろう」

「ほ~、すごいな」

発見?

何の事だろう。

「俺達は下の魔物を調べてくる。何か分かったら報告する。マルアル行くぞ」

マルアルさんとタンバスさんが階段を下りて、外の魔物を調べに行く。

あそこで解体でもするのかな?

あっ、それより師匠さんに話があるんだった。

「師匠さん、聞いてほしい事があるんですが」

「ん? 今は忙しいから、後でもいいか?」

「師匠、先に話を聞いてください」

ドルイドさんの真剣な表情に、師匠さんが近くの部屋を指す。

「ありがとうございます」

3人で部屋に入ると、師匠さんが何かを取り出す。

見ると、ボロルダさんが持っていた会話を外に漏らさないマジックアイテムと同じモノ。

やはり、上に上り詰めた冒険者の人は持っているんだな。

秘密が多い私もほしいな、あれ。