軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第271話、ウィスペル島は謎だらけ

接近中の飛空艇がどこの所属かはわからなかった。

ミストが魔力眼で見てくれたが、シンボルとか旗などが見つからなかったせいだ。

そして悪いほうの予想というものは当たるもので、飛空艇は、こちらに発砲した。

しかも、電撃砲で。

「撃ってきやがった!」

不明飛空艇の放った紫電は、ゴールデンウィング二世号の展開する防御障壁に弾かれた。

「向こうさんも電撃砲かよ!」

ライヤーが唸った。火薬式の大砲ならば、もう少し射程は短いし、命中精度も落ちる。

ソウヤは伝声管をとった。

「爺さん、障壁が敵の電撃砲を防いだ」

『おそらく距離のせいだろう。電撃砲は射程は長いが、遠ければ遠いほど威力が下がる傾向にある。もっと近づかれたら、障壁は抜かれるだろうね』

「なら、こっちも反撃だ!」

ゴールデンウィング二世号の右舷側の電撃砲を動員して、お返しだ。威力が多少下がろうが、相手に同じような障壁がなければダメージを与えられる。

「敵さんも、防御障壁を持っていたら?」

ライヤーが言ったことは、ソウヤも思った。だが――

「当てなきゃわからん!」

ゴールデンウィング二世号の艦首側旋回砲が右へ指向。右舷側の電撃砲とともに、近づいてくる敵性飛空艇に電撃が放たれる。

電撃弾は、敵船に吸い込まれたように見えたが……果たして当たったのか?

「ミスト」

「命中したけど、弾かれた。あちらも障壁があるみたい」

魔力眼で観測していたミストが答えた。

一番厄介なパターンだ。お互いに同じ武装と装備がある。ダメージを与えるには距離を詰めなくてはいけないが、その分、こちらも被害が出る。飛行能力を失えば、この島に――取り残されることはないか。

少なくとも、ミストが無事なら、ドラゴン形態で戻ることはできる。仲間たちはアイテムボックスに収容していけば、全員帰ることはできる。

「効かねえなら、逃げようぜ、ボス!」

ライヤーは言った。

「攻防決め手に欠けるなら、数で勝る敵さんのほうが有利だ。二対一はさすがにマズイ!」

「相手はゴーレムだろ? 逃してくれるとも思えんが……」

しかし、敵性とはいえ、正体がわからない相手には違いない。どこかの大国のものという可能性もあるわけだ。

――とっさに反撃してしまったが……まあ、殴られたら普通は殴り返すもんだ。

「ようし、攻防は同じなら、スピードはどうだ? こちとらジェットエンジンだ。ライヤー、反転して距離をとれ。それでも追ってくるようなら、その時はぶっ潰してやる!」

「了解!」

「ええっ!? ソウヤ、反撃しましょ! やられたらやり返すものよ!」

ミストが言葉を強めた。ドラゴンは売られた喧嘩は買う主義なのだ。

「追ってきたらな。……よくよく考えたら、ゴールデンウィング二世号は軍船じゃない。戦闘は極力避ける」

「……」

「そんな顔をするなって。さっきも言ったが、しつこいようなら沈めてやる! オレもやられっぱなしってのは趣味じゃないからな」

ゴールデンウィング二世号は敵性飛空艇より距離を取る。ジェットエンジンの出力をあげて、その速度で引き離しにかかる。

――さて、振り切れればそれでよし。だが、そうならなかった時のことを考えようか。

二隻を相手に、こちらの損害少なく勝つ方法を。

・ ・ ・

『ソウヤ。どうも追っ手は追撃を諦めたようだ』

伝声管を通して、ジンが報告した。

ジェットエンジン全開のゴールデンウィング二世号は、追尾船を引き離しつつあった。魔力レーダーの観測で、完全に引き返したらしい。

「ふぅ、助かった」

ライヤーが一息つくと、明らかに不満顔のミストが、ほとんど見えなくなった敵性飛空艇のほうを睨んだ。

「腰抜けー!」

「いや、逃げたのおれらだから……」

苦笑するライヤーだが、ミストにギラリと見られて黙った。

「せっかく返り討ちにする算段がついたんだがな」

ソウヤは首を傾けた。障壁、電撃砲持ちの飛空艇相手に、被害少なく勝つ方法を考えたが、実践することなく終わってしまった。

「ミスト。魔力眼で敵を追尾。連中の正体が知りたい」

「わかったわ」

「ソフィアー!」

甲板で、追っ手の様子を見ていた少女魔術師に、ソウヤは声をかける。

「使い魔を出して偵察。オレたちが進めなかった辺りを探ってくれ」

「りょーかい!」

「ボス、これからどうする?」

ライヤーが聞いてきたので、ソウヤは頷いた。

「ここで待機だ。まずは情報が欲しい」

クラウドドラゴンを探しにきたのに、まだ見つけていない。このまま何の成果もなく帰るわけにもいかないのだ。

甲板に降りると、リアハがやってきた。

「やはり、この島から人が帰ってこないのは、先ほどの飛空艇の仕業なのでしょうか」

「かもしれない。肝心のクラウドドラゴンがどうしているかにもよるな。……疾うの昔にくたばっているってオチじゃないよな」

精霊の泉を囲む嵐を取り除くためにも、生存していて欲しいのだが。

「まずは、偵察だな」

すべてはそれからだ。

・ ・ ・

ミストによる魔力眼の追跡、ソフィア、そしてジンの使い魔によるウィスペル島の偵察が行われた。

その結果、敵性飛空艇は巨大な都市遺跡を拠点にしているのが判明した。

「遺跡?」

「そう、古い都市、その遺跡ね」

魔力眼で見たミストは、そう報告した。

「そしてそこに人間や亜人、魔族などはいなかった。いるのはゴーレムや自動人形ばかりだったわ」

「人が誰もいない!」

どういうことだ。ソウヤは首をひねる。

「人が居ないなら無人だけど、確かにそこに存在している!」

いったい、どうなっているんだ、この島は!